春の電撃作戦。開始。
街のいたるところで僕らは耳に手をあてる
どかん
それは小さな破裂
作戦が始まった合図だ、ほら
そしてまた、どかん
コンビニで働くあの娘、最近きれいになったね
と ....
もぐらが穴を掘るわけは
ほんとは空が見たいから

トンボが空を飛ぶわけは
海を泳いでいたいから

夕日が海に沈むのは
赤く染まる波々の
向こうにおうちがあるからで

とうさん帰 ....
肉体を支えるものが骨であるならば
空を支えている骨は人の想念である
人が空を想うかぎり空は空であり続け
けして空は空から落ちてくることはない
つまりそれは
人が人であり続けることと同 ....
花に水をあげている君を見て
ああ、じょうろのまま一生を終わるのも悪くないな
と思ったのは、もう
うつらうつら
していたからなんだろう

背中の取っ手から
ひんやりとした手の温もり ....
ココロ コロコロ 転がって
コオロギ コロコロ 鳴きました

ココロ 凍って ロココ調
コールタールのナタデ・ココ

ここは 露天の 六本木
今宵 ロックが 心地良い
 ....
ドーナツの穴から覗くと
世界はいつも
いいにおいがした
食べ物で遊んではいけない
そう教えてくれた人が
今ではもういない
友人の部屋の隅っこに
ネジが一本転がっているので。

「このネジ何?」
「どうやら俺のものらしい」
拾い上げて見ると確かに友人の名前が書いてある
「そりゃそうだろう、お前の部屋に落ちて ....
あら、困ったわ
が口癖の君が困った様子なんて
今まで見たことがない
あら、困ったわ
なんて言いながらも
トントントンッとまな板の上で大根を切ったり
ザッピングをし続けた挙句の果ては ....
開け放たれた音楽室の窓から
合唱部員たちの歌声が聞こえる
放課後、行き場の無い僕らは
校庭の隅にある鉄棒に片足をかけたままぶら下がり
いっせいの、で誰が好きかうちあけると
やはり同じ子が ....
君の笑顔は椅子に似ていて
笑うと誰もが顔に座りたがる

散歩途中のお年寄りや
旅に疲れた旅人
アイスキャンディーを持っている人
ただ夕日を見ているだけの人

誰かが座ると嬉しそうにする ....
サードとショートは楽しそうに話をしている
ああ、いいなあ、と思ってセンターを見る
そこには人数あわせの地蔵
ということはチェンジになるごとにあれをベンチまで運ばなければいけない
はるか彼方 ....
檸檬は今にも飛んでいきそうな色と

形をしているけれど

決して空を飛ぶことはない

朝、テーブルの滑走路で
ふと右を見ると三塁手が君だったので
僕はすっかり安心した
うららかな春の日、デーゲームは淡々と続いている
スタンド、ベンチ、フィールド
いろいろなところからいろいろな声が飛び交っている
 ....
ハロー、ハロー
周波数はあっているか、こちらはDJ
十三年ぶりに新種のサンショウウオが発見されたそうだよ、皆さん
サンショウウオが好きなDJとしては久しぶりに嬉しいニュースだ
寒い日が続く ....
あなたの背中に吹いた風が

ここまで届くようにと窓を開ける

どこからか

たどたどしいリコーダーの音が聞こえる

この星はとても小さい
今日も朝から
洗濯機が大声で歌っている
オペラのつもりのようだけど
音痴で
しかも、時々声が裏がえる
近所迷惑だからやめてくれと言っても
聞く耳をもたない

ありったけの洗濯物を押 ....
(た)

たーちゃん
僕は「たもつ」だから
君は僕を
たーちゃん
と呼ぶ
たーちゃん、それとって
たーちゃん、あれしまって
たーちゃん、どう思う?
君の声に
溶けかかった僕は
 ....
まんじゅうの中には多分



があるのだろう

だから
こんなにも甘くて
どこかに行きたくなるのだ
日曜の朝刊はテレビ欄から読むのを習慣にしている
新しい連続ドラマなどやっていないだろうか、なんて
A4サイズに畳まれた新聞をA2まで広げたとき
私はテレビ欄に挟まれていた1本の髪の毛を発見し ....
今朝、レモンを産んでしまった
それは、色も形も匂いもレモンそのものだった
もし産んだのが卵だったら対処のしようもあったろうに
なんでレモンなんか産んでしまったんだろう
レモンに耳をあてると ....
やったあ!やったあ!
風呂だ!風呂だ!
やったあ!風呂だ!
風呂だ!やったあ!
ふろふろふろふろふろふろふろふろふ
こすれ!こすれ!こすれ!
こおおおすうううれえええ
あかあかあかあ ....
○ところで皆さん!

ところで皆さん!
口を開けてください!

と、日記に書いた

書いたのは私一人
読むのも私一人
そこから先が続かずに
皆さんが口を開けて待っている

 ....
夜が

よるが

よ る が

唇に夜

指でなぞって



来ている



+



夜は沈殿する夜
夜を沈殿する夜
夜に沈殿する夜

なん ....
夏、庭にアリクイが迷い込んだ
首輪をしていないところをみると
たぶん、野良アリクイだったのだろう

アリクイは庭で蟻を食べ続けた
長い口先から長い舌を蟻の巣めがけて伸ばし
舌に小石や砂 ....
ワイパーを身体につけたんだよ
ネジでさ、おへその穴に固定してね
勤続十五周年だもの
いろいろな人が去っていったもの
自分へのせめてものご褒美だもの

憧れていたんだ、ワイパーのある ....
君が積木など買ってくるものだから
僕らは積木遊びをするしかなかった

家をつくって
壊し
城をつくって
壊し
他につくるものなど知らない僕らは
やがて一つ一つを並べ
街をつくり始 ....
足のないネクタイは
人の首にぶらさがって移動する
それも不便だろう
足をつけてあげると
嬉しそうに部屋をかけまわり始めた
帰ってきたら
スキップの仕方を教えてやらねば
今日も足のつい ....
私はポツンだ
宇宙のポツンだ
名も無く朽ち果てていく
歴史のポツンだ

それでも大地に立ち
呼吸をし
飯を喰らい
排泄し続ける

この私という存在
母さん、
ほら、春の風が吹いて

そろそろ僕も
行こうかと思います

春の風は早足で駆け抜け
いつも、僕は一人残されてしまうから
風のすべてが海の向こうに渡る前に

そろそろ行 ....
コーヒーをいれました
二杯
一杯はわたしのために
そしてもう一杯はあなたのために

並木のイチョウは黄色く色づき
風が吹くと何かの音をさせる季節
けれども窓は閉じられていて
見るこ ....
たもつ(1780)
タイトル カテゴリ Point 日付
春の電撃作戦自由詩2004/4/15 8:45
となりの我が家自由詩1004/4/12 21:48
空の骨自由詩19*04/4/10 18:21
春眠自由詩1004/4/8 22:05
転がるココロ自由詩5*04/4/7 9:46
世界自由詩3904/4/2 17:33
ネジが転がっているので自由詩1904/3/29 13:54
あら、困ったわ自由詩5004/3/26 21:48
Stabat Mater自由詩1504/3/23 12:48
似顔絵自由詩18*04/3/19 14:42
豊穣な三遊間自由詩904/3/16 12:22
静物の地平自由詩1504/3/12 10:57
饒舌な三遊間自由詩1604/3/10 14:09
ハロー、こちらDJ自由詩2004/3/6 11:28
アノマロカリス自由詩15*04/3/3 12:45
夏の風自由詩1704/2/27 8:59
「たちつてと」(「五十一のデッサン」より)自由詩504/2/23 14:07
まんじゅう自由詩1704/2/18 10:19
毎朝、新聞を読むためには自由詩1604/2/10 8:50
レモンの日自由詩4204/1/30 10:02
風呂自由詩1404/1/26 23:53
小詩集「なんでだろう」自由詩1704/1/24 7:40
夜への自由詩1104/1/22 22:17
くぼみ自由詩804/1/20 23:34
ワイパーのある生活自由詩2204/1/15 8:39
朝のこない団地自由詩2304/1/6 15:03
ネクタイ自由詩904/1/2 21:11
存在自由詩803/12/31 9:08
旅立つ自由詩1603/12/28 8:18
テーブルクロス自由詩803/12/26 8:33

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