長崎の夜景がきれかった
それを見て
こころもそう
動かない俺なのに
ひとりで口に出していた
街ぜんたいが
坂にこんもりとしていて
それは
生き物たち ....
木犀が息をする
星が散らばる
中天に傾く
オリオンを探す
あっちが南か
僕は独りだ
夜はとめどなく
秋の透明な孤独を
人はとめどなく
見えない ....
夜を待っている
ふたしかな
悠久が続いている
喫茶店の
明かりが濃く輝いた
そとは秋の夕暮れ
木琴の奏でる音楽
良実という名前を
胸で鳴らせている
....
出張で
たまに訪れる
このホテル
秋のくすんだ
悲しみ
いつも
おそわれる
湖畔の
このホテル
出張で
たまに訪れる
このホテ ....
街から香りが消えた
祖国の英雄は
今どこで何をしているのだろう
季節は空白に満ちていた
さよなら
言葉たちよ
透明が流れている
さよなら
言葉たちよ ....
そんなこと
神は言わない
俺達もそうだ
俺達は神話だ
俺達は神だ
俺達は全能ではない
大きな計画のまえで
求めるものがないだけだ
神は言わない
....
未来とは
刹那の最果てのことである
未来とは
刹那のはじまりのことである
未来とはつまり
現在、という
この一点に包含され
現在、という
この一点を包含 ....
あのとき
つい最近のことだが
今もそうなんだが
勝ち負けにこだわってみた
そいつにこだわると
じぶんの小ささがよく見えてきた
勝ちにこだわって
負けてしま ....
湖畔の部屋
ガラス窓には
夜のみずうみが
黒い火事のようだ
町にむかう橋
ふたり見つめる
光たちの流れ
ふたり去来する
湖畔の部屋
ガラス ....
車を降りる
星が散ってる
金木犀薫る
きみの笑い声って
三年後の秋にも
届いてきてるんだ
車を降りる
星が散ってる
金木犀薫る
柔らかな
カンキツ系の
懐かしくて
重いそいつは
金木犀の
匂いじゃないのか
ひとの悪口を
本気で受け流して
僕はひとりで
傷ついていようか
....
中学二年のとき病室に住んでいた
学生寮を退寮になって
遠い親戚の病院に住まわせてもらっていた
頑丈なベッドしかない部屋だった
病室は2階にあった
塀をよじのぼって
....
夕方が透明になる
桃いろが黒ずむせつな
夕方は透明になる
そして
藍いろは夜に向かうのだ
桃色の夕方は
いっしゅんで
冬に向かう夜になっていた
目をはなすと
世界はいつも
そうやってゆき過ぎてゆく
またあした巡りあえる
それはわからない、と
....
きみの髪の毛のいただき
ため息をこぼす
まだ間に合った
あかるく鈍感に
きみを離すこともできた
がらがらくじをまわした
一等がでた
そんな感じで
人生のいちぶが
がらがらとかたちになる
とまどいは
変化をきらうひとの常
しあわせは
もうあるのか ....
蜘蛛の巣には
いくつもの欲望
仕掛けた消費に
そこにダイブ
先生と呼ばれて
足もとすくわれ
32階の部屋を
俺は選ぶだろう
蜘蛛の巣には
....
変わらない時間
それが繰り返されている
そういう場所が
きみの心にはありますか
きまりきった場所を、
足ばやに、ゆき過ぎる、
魂を、みがく暇すらありません、
....
振りむいてみる
この影は
月の影か
夜空の月
鏡のように照る
宇宙の
影は実体だろう
宇宙の
鏡は生命だろう
振りむいてみる
この影 ....
ならんだふたつの石を見つける
それだけで寄り添いあえていた
それに我々をかさねていたのだ
きょうも中秋の月は輝いていた
三叉路で
大人たちが行く先を探している
ならんだふたつの石を見つ ....
あの夜も
こんな秋の月だった
真っ暗な林をあがって
滝をふたりで見にゆく
あいつのジーパンをずらして
ぬるぬるのなかに立ちバックした
あいつは泣きながら
俺にからだをつかまれていた
....
藍いろの町に
ワルツの煙り
雨のアスファルトに
やわらかな音
寂しいことも
おんなの吐息が
俺の台詞を語りだす
秋のともしびが
俺の町にながれだす
....
長所と短所
うらおもて
さびしくなろうよ
九月の雨は
人に優しく
おまかせしようよ
藍のいろ
煙っている
アスファルト
ただの夜のいろ
....
必然は
哀しいことのほうが
多いようです
偶然は
寂しいことのほうが
多いようです
藍の色
夜のはじまり
中秋の
月が鏡のよう
必然 ....
知覧へは
これで三度目になる
そんなこと
当たり前なのに
単純にそう思う
戦争はXだ
知覧へは
これで三度目になる
桜島
あいつは
男だ
芋焼酎
かるかん
黒豚
さつま揚げ
知覧
指宿
桜島
加治屋町の偉人たち
社員旅行で鹿児島にゆく
ただの土地だよ
それをさぞ楽しそうにす ....
地球の影うつして
内臓の色をして
赤い月うかんでいる
みんな、幸福になりたい
そんなフォームを探している
やり方や考え方を探している
そんなものがあると信じてい ....
藍色のなかを
冷えてゆく町
この色のなかに
おまえたちのカルテが
ある
形なきものから
藍色のなかを
冷えてゆく町
この色のなかに
おまえ ....
相承とは
そんなからだの現象だった
結ぶ印の
そんなからだはなかにいた
しずかな鳥肌が立ち
筋肉ではないなにかが
からだを膨らませた
相承とは
....
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