人類を代表して最愛にねじこんだペニスは
ぼくをまるで岬の突端に立たせていたのだった
風が吹いていた
ここに地終わり、海始まる、
愛の最前線とはこんなところだったのだ
クリムトの描く至福の顔にお ....
くっくくるくるくるまの子
るっくくまのこくるまの子
くるまな子
くるまの子
おーい、くまの子くるまな子
おーい、くまの子くるまの子
みんなのおもいでつまってる
....
ぼくは良家の息子の匂いをぷんぷんとさせている
K先生に新しい患者さんに間違われても
おまえと平気にインドまでゆくような男だから
百一匹わんちゃんが連れられている夕方の街路樹
お ....
東京の空がせまいと言ったのは
ちえこだった
彼女は感覚と真実を
せまい世界から発信していた
ぼくはひとつの特権だ
ぼくしか聞こえないちえこなのだから
ひとりカフェでのむ珈琲
この炭汁を彼女にも分 ....
それはだれかに
しってもらいたいから
そんなだれかに
ほめてもらいたいから
宇宙のかたすみに
おれがあらわれたのは
きっとその理由からさ
宇宙のかたすみで ....
おまえは正しい
人間として正しい
最愛がほかにいることを
そいつにきちんと話したのだから
きっといまの苦しみは昇華される
これが業なら今回のことで消滅する
だから気 ....
これを説明していては
この事件は
詩にはなれないのだろう
夜道を歩いていると
マンションの明かりや
外灯にてらされて
かげは俺ひとつきりしかなかった
それでも秋虫はないていて
孤独と ....
鍾乳洞のような碧がうまれるまで
洞窟のなかでふたり
じっと性的なリズムを聴いていた
ほほ笑みがこぼれあふれ
愛液がみたされるのをいたわり、温めてくれるひと
精神をこすりつ ....
真向かいにすわると遠く感じられた
目をあわせるのが居心地わるかった
スペインの夜はにかいめだった
ぼくはまるで中二の秋だった
彼女のうしろでは予約客たちが
食事を楽しまん ....
たぶんさびしいだろ
たぶんかなしいだろ
たぶんうわついてら
たぶんしたみてるさ
きみもおんなじだろ
おれたちはそうだろ
商店街をふたりであるいた
天井の高いふといアーケードを
ふたりはわらいながらあるいていた
仲良しだった
ずっとふれあっている
それでもふたりはきのうもっと
あのとき ....
めざめると午前のひかりがくっきりとしていた
きょうの天気をもう決めたかのようだった
ベッドわきのまどをすこしあけて
ベランダもあけるとカーテンの透き間から
ひらべったい雲が水い ....
向かいあってつながっていた
ユディットがめのまえで揺れていた
しりの肉をつかみ上下に揺すった
目をほそめたユディットが弛緩していた
すすり泣くのが絵からこぼれているようだった
....
有楽町で吐き出されるとホームには、冷えた焼肉の匂いがながれていた。
あたりは、群青だとかすみれいろの狭い空を背にした明かりのついたビルばかりだ。
この懐かしさはなんであろう。(私は暫く)ホ ....
青の敷布には
愛し愛されるふたりによって
波もようができていた
それはまるで
遠くから眺める海のようだった
波は変化してやまないはずなのに
青い革にできた皺を見 ....
学生のころ
留年すれすれだった彼女と試験期間中
ラブホテルに十連泊した
ゼミイチだったから
ぼくには後期試験は関係がなかった
フラ語を教え、経済原論を教え、
商業簿 ....
やみはひかりで青くなる
そんな発見は
とおいあまい日々のなか
さびしくてくるしいのは嫌なの
愛しているのに
そんな言葉を吐かせていた
不倫がふしぜんなことならば
しぜんってやつはどこ ....
風を抜け
夜を駆け抜けろ
かならず
一緒になるらしいから
あしたの天気は
誰も分からないから
根拠のない約束する
女ごころだから
風を抜け
....
たくさんの虫が
星の音色で鳴いている
ぼくは目を閉じている
このリズムで眠りにつこうか
ダイブ
夢で会えたらよろしくな
(待ってるね)
(また愛してな)
....
ひとに相談などしてこなかった
でもさいきん
はじめて登る山みたいに
ぼくは彼女に相談するようになっていた
じぶんのむかしの日記あげちゃうみたいに
おとこなのに
彼女 ....
どこにでもある希望が
悲しくもないのに
瑠璃いろのこの街で
つまらねえなと声をもらしている
だれにでも開いているのではない
希望しかないのに
どれだけの時が過ぎたのだろう
世界はひかり ....
ドキドキごころの靴音たてて
地下鉄の風に吹きあげられて
黒い帽子のかぜひきの魔女
修業でつけた魔法のちからは
五六ねんまえの魅力のまんまだった
やっぱり魔女はなんにも ....
ふたりで見つけた
ビルのあいだに
駐車場のうえに
ベッドの窓辺に
きみのからだに
月の青い影を手で
ふたり探している
ビルのあいだに
駐車場のうえに
....
高速道路のうえに月が照っている
喫茶店なんかもうやってないだろう
コンビニでホットを買って
クルマんなかでじぶんを愛してみよう
光があたっているだけなのに
光のかたち ....
おれはおまえに似ているのか
だれかに言われたそのことを
おまえから聞いたのは十年前
秋も終わりかけのころだった
ふたりのあいだのせつじつを
わたり鳥のようなせつじつを ....
ぼくはこどもの老人ホームみたいなところにいた
親と暮らせないこどもは
この世に多いような気もしていたし
周りがそんなふうな子ばかりだったから
そう思っていたのかも知れない
....
上司にこころを許してはならない
仕事ができる部下たちのそれが鉄則だ
仕事とは愛人のようなものだ
最愛を具現化した愛人のようなものだ
愛人の白い肉を
部下にたわめられて ....
ねころがって
窓からの緑を見つめている
緑を見つめている
緑に見つめられている
緑のふちどりと空のコントラスト
ふちどりが風を見つけて揺れている
微笑んでいる
....
窓辺からずっと虫の音がしていた
部屋をくらくしてそれを聴いている
目を閉じているのか
目を暗やみに開いているのか
もうわからなくなるくらい
虫の音につつまれていた
....
おおきな雨のあとだった
朝の坂道を電動自転車であがっていた
坂道のうえの空がいつもより狭く見えた
木々のみどりがせり出していたのだ
夏も終わろうとしているのに
せり出した ....
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