ふつうのふりして
やすらかなふりして
やさしくはなくなって
アナタガコエヲアゲル
ぼくだけが
けがれてゆく
コンナニヌレルノオレダケカ
あなたは
きれいなままだ
コンナカタ ....
ああ、なんときれいに忘れていたのか、
いぜん毎日会っていた日々を
ああ、なんと都合よく忘れていたのか、
ぼくは弱いといわれた
ぼくは否定していたが
しかし思い出してい ....
なんでこんなにあふれてるんだろう
なんでこんなこときくんだろう
なんでそんなこといわせたいんだろう
なんでこんなわがままきくんだろう
なんでこんなにあふれてるんだろう
な ....
おとこが獣を放っている
意に反して荒々しく
意に反してやさしく
おたがいの素肌を
性器をさらけだす
タイミングを計っている
おんながほの暗い覚悟の目をして
そ ....
いろいろ伝えたいのに
この言葉しか書けない
それが悲しくて泣いた
ふつう、とはなんだろう?
ふつう、でないことに人はひとり傷ついている
ふつう、そんなものあるのだろうか?
俺はそれを見つけたのだろうか
ふつう、ではない人はどうしたらいいのだろ ....
689年まえのぼくの誕生日
その三人は殉教した
ぼくはそのうちの一人の生まれ変わりだ
だからその信仰には
まるで興味が湧かないのだ
絶対なものなどないことが
す ....
十一月の凛とした
午前のひかり、風、匂いのない匂い
カーテン越しでさえ
きみの部屋を充たしている
カーペンターズが流れている
ノンビブラート
体温を超えることの ....
できれば富士山にはなりたくない
日本で二番目に高い山ぐらいがいい
だれにも名前をおぼえられない
そんな存在ならなおいい
たとえばまもるなら
どうでもいいものにいのちを ....
プラスチックコップのなかの氷に
ウイスキーをかける
透明に琥珀がながれる
いつもの儀式をはじめている
コップをゆらして
ウイスキーを
氷のつめたさに近づけるのだ
カタカタカタ、コトコト ....
市営住宅を取り囲む塀のなかで
ぼくはひとり能の練習をしていた
隣接の公園でこどもたちの遊ぶ声が
やわらかなガラスみたいになって空を引っ掻いている
能を教えてくれたのはお母さんの ....
それはまるで鉄条網のまえで
雨にうたれる哀切なる群衆のようだった
おまえとキスをして
おたがい探しまわって
ふたりして群衆を見つめていた
哀切./i
それがまるで鉄 ....
花も実もある人生
どちらかひとつ選べというなら
ぼくはたぶん実のほうをとるだろう
それは考え方なのか
感受性なのか
それとも宗教なのかはわからない
サミュエル・ウルマンには悪いけど
ひ ....
おお、そうか、薔薇か、薔薇を育ててみたいのか、
彼らはそう言ってとても喜んだ
それなら、この本を読みなさい、とくにここは口に出して何度も読みなさい、
彼らはそう言って励ましてくれた
....
きみの住む町を見つめている
夜も朝も昼も夕も
季節も
きみの住む町につながっている
天気いがいつながっている
こころも
記憶も
あらゆる
感情も
....
夜の地球には宇宙からだと
約20くらいの大きな光が見えるのだそうだ
そのなかでいちばん大きな光は
ニューヨークでも上海でもパリでもなくて
東京なのだと
ぼくはそのことがと ....
イガタアヤコとランチに出掛けた
会うのはメールでセックスしていらいだった
ファミレスにはいった
となりのテーブルに四人の女とこどもが一人いた
アヤコもシンゴもおなじことを考えていた
....
この雄大な大地に拮抗しうる音楽は
中島みゆきでもモーツァルトでもなく
チャイコフスキーの交響曲第五番だけだった
そんなかっこいいコピーがあった
今朝これをガンガンにかけた車か ....
高速道路からの風景には慈しみをおぼえる
あらゆる労苦や不便をとり除いてやりたくなる
仲良くなりたかった
なにか役に立ちたかった
日本ではよくそういう気持ちになった
この国は広い
生活圏に ....
新幹線にキモチを乗せて
かつての少女がマスクをして
黒いフェルト帽をかぶって
青色のヒートテックを着て
ブランケットも連れてきて
50分発の新幹線に乗り込む
新幹線 ....
夷をもって夷を制す
いまの中国のデモは
そんな知恵なのではないだろうか
革命が頓挫するたびに
既存の権力はリミッターを外してしまう
統制の度合いをより強めてしまう
....
中国共産党はあちこちに
この国を舞台とした日本人による戦争の
モニュメントや史料館をつくっている
中国共産党の正統性は
日本軍を中国から追い出したことに尽きるから
た ....
見えないものを交わしていた
きおん20度
しつど50%
そんな粒子につつまれていた
愛の数だけ矛盾はあるけれど
見えないものを交わしていた
きおん20度
....
せつなくて
やらしい気持ちにならなければ
G
遠いこころはつかまえにゆけない
もうなにに触っても
なにを見つめていても
G
アイツいがいで勃つことはない
....
もうすぐ4時だ
バニラビーンズのようなあごになっている
営業担当エリアの空に
輪郭のない太陽がかがやいている
からだには塵芥がつまっている
こころには水滴がおちている
....
建物や地面や活字はちがうけれど
月はきょう満月で
それは変わらないもののように思えた
変わらないものを思えることが
私にとっての旅であった
知らないことも知りたい
だが
変わらないものな ....
彼女はたぶん人魚なんだ
水色のなかにいる
まばたきひとつせず
見つめている空を見つめている
彼女はたぶん海のなかにいる
かたくて獰猛なペニスが
くしゅんと
萎えるまで受け入れてくれる
....
花の降る午後に
かぞえているのは
きっと子守唄のようなものだろう
彼女たちは
男を知らなくて
自慰のためにゆびを遊ばせる
貝殻をさわるように
花びらをかぞえるように
花の降る午後に ....
なみだに暮れていた
ずうっと眠っていた
赤いパジャマはおとうさんがくれた
おめめが腫れていた
じぶんを責めていた
ぬいぐるみがお母さんに似ていた
だれかに必要とされ ....
あなたの夜風をもらいたい
ぼくの夜風をもらってほしい
それを交換するように
ぼくらはあの部屋に帰ります
ぼくらはふたりでひとつではなかった
ふたりでやっとひとりになれ ....
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