いのちを軽く人生を軽く
かんがえていた訳じゃない
十代のころ
自殺と未来がいまよりも
そばにあった
ただ
いまよりもずっとそばにあったんだ
そんな生死の
....
起こすとまだ寝ていた
いまなん時かを教えて
四十五分にまた
電話すると言ってきった
それまであと二十二分ある
そばにいてあたためていいか
また動物の話をはじめた
彼女はたまった動物番組を見ながら
いっしょに歩くように話してくれる
自然が好きなの、山登りじゃないよ、そういうんじゃないの、
やわらかな鼻声がかわらしく ....
歩道橋から見つめている
じぶんのカルテを見つめている
群青を見つめている
乾いた冷やっこい風がなでている
きのうの満月をさがす
まだビルの向こうで
それはからだを膨らませている
つ ....
ぜんぶ理由があった
理由なんて
意味がなくなるくらいたくさん
さびしい11月
きらきらひかる
水いろの空とか
ゆんゆんわたる
ぜんぶ理由があった
....
きのうとしえちゃんとお話してたおまえは
ちいさな肩のちからがちょこんとしていた
まぶしそうにとしえちゃんを見つめていた
やすらかな笑みがきらきらしていた
喫茶店の二階から
....
月が好きだということは
ひかりが好きだということです
太陽みたいにどぎつくなくて
月にあたってやわらかく
はねかえってくるひかり
そんなひかりが好きなのです
緑 ....
いとしあの娘のおそい夕食
いとしのタラコスパゲッティ
すこしのびすぎたのは
洗い物がたまってたせい
タラコがこまかくからんでる
海苔も醤油もオリーブオイルも
カルピ ....
くちびると舌でつよく吸った
おまえからの写メを見つめてる
あかい地球につながってゆく
漂ってあかい地球に浮かんでる
かるく閉じたおまえの目
くちびるが
ちいさな ....
試されている
嫉妬や妄想を試されている
それがたとえ現実であろうと
すべては宇宙のものまねなんだ
実体ではないのだ
これが頭だけの理解でないのか
試されている
....
群青に鏡のかがやき
月がさやかだ
どこかで
女のからだがたわめられている
せつない幻聴
かなしみを幻視
ただれている
むね疼かせる
透視?妄想?嫉妬?
泣きそうになりながら泣いてい ....
あらゆる存在は
じぶんひとりに向いている訳ではない
社会制度だけが
あたしに幻想をみせてくれるのだ
カーテンを曳いて、婚姻届、だしにゆきましょうよ、
どれだけながい時 ....
だれも裏切らない
だれも傷つかない
だれもが騙され
だれもが酔える
そんなパワフルな嘘を
思いっ切りついてゆきたい
つまらない嫉妬と妄想に七転八倒して
別れをきりだしたのはこっちなのに
永遠の愛、なんてものはない
永遠、なんていう発想自体愚鈍なのだ
真実はひとつ、とかいうのとおんなじだ
....
乗り継ぎの最終電車を待っている
訳もないのに懐かしくなっている
知らない町の明かりたちが
気配をころして僕を見張っている
建物に切られた夜を見つめている
ホームの ....
ちかくを歩けば
イノシシの家族が帰ろうとしている
かたくてつめたい反射だけのいとなみ
こいつらとの邂逅は
痛快なくらい
ちがう生き物とのものだった
寂しくて嬉しくなる
なんにも価値のな ....
(無音)
ーーーーーーーーーーーー
夜気の底をーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーー縫い突き進み
ーーーーーーーーーーーー
日本の銀河のーーーーーーーーーーーー
ーーーー ....
あたりまえのように
ふたりで
広い河をゆくように
空をわたってゆく
波にだれかをさがすように
おなじものを一緒に食べるということ
目で歯で
舌で喉で臓器で
からだで
あたらしい発見 ....
宇宙から地球を見つめている
昼と夜とにわかれている
その境目からは
夜明けのおとが聞こえてくるのだった
僕が地球に暮らした頃の
それは記憶のおとなのかも知れない
....
宇宙じゅうの安心が
ぜんぶこいつに降りそそげば
僕はいいと思っていた?
それはほんとうだろうか
どう冷静に考えたって
こいつのメルヘンをまもれるのは
僕ひとりき ....
くるってゆくおんなは
まず淋しがりやになるのだった
ぼくとではなくて
ともだちとの関係をこわしはじめるのだった
それはぼくとおんなの
きんみらいの予行演習にちがいなかった ....
架空の過剰で
切なくなってもみせました
青信号はみどりのいろで
赤信号は洞窟のいろで
あなたの肉を爆ぜさせました
今朝もあなたで
海のおとを聴きました
架空の過剰で
切なくなっても ....
ふたりぼっちって半月みたいだ
泣いてみたっていいみたいだ
おどけてみたっていいんだよ
ふたりぼっち
半月
まもりたいよ
半月
宇宙から地球
半月
....
ひとりでふたりぼっちになるよりも
ふたりでふたりぼっちでいるほうが
あったかくてやさしくてなつかしい
今という時間に
ふたりでいれば
集中できたんだ
ひとり ....
ロサンジェルスの薄ぐもりの海岸
タクシーをおりるとそこには僕だけだ
なん色かの雲の層がよこに延びている
風が水っぽい匂いをさせてほどけていた
エリスはほんとうにいるのだろう ....
こんど病院にいったとき
ぼくは余命をつげられるだろう
下腹部にこんだけ違和感があれば
死んだことなんてなくてもわかる
現実としてそれを聞いてしまったら
ぼくはいったい
なにをやめなにをつ ....
くるしくても
まえむきにいきなきゃ
第六感でそうおもう
ひとは切実なんだ
まえむきにいきるというのは
たぶんなにかのものまねなんだろう
なんのものまね?
まえむきにいきるためにいきて ....
発明家になりたかった
べんりなものをつくりたかった
ランドセルから空気がでて空を飛ぶ
肩掛けをひっぱって空気を調整する
ほんとは靴でそうしたかった
でもちいさすぎるし
....
おんなとわたしもまた
時間や空間や生命のいちぶをなした
ちいさな文明にちがいなかった
川は文明のゆりかごだ
ヴォルガをみつめていてそんなことを考えていた
青と灰いろに ....
スターバックス
ふたりで歩いていたら
しんきろうのようにあらわれた
いつもそうだった
ふたりでてのひら
こすりあわせて歩いていたら
いつもこつぜんとあらわれるのだ
....
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