この像もまたなにかのものまねをしているのだ。
ここにいつまでもいたいと思った。
存在のものまねをする存在への、それは畏敬であるにちがいなかった。
重要文化財でもある東寺の五重塔は ....
22年まえも自粛が日本を覆っていた
コマーシャルが口パクになってNHKは夜中も天皇の下血の量とか血圧とかを画面に表示しつづけていた
そこにはクラシックがながれていた
えんえん、えんえ ....
禿頭にパンチパーマが生えてきたような
夜の街路樹に仄見える青葉は外灯にてらされて
現実世界にうまれた幽霊のようだった
コンビニは看板を消していて
さっき接待に使った天然ふぐ屋も ....
いつものように夜を歩いている
星の瞬きをながめながら高台からくだってゆく
車や帰り道のひとと二三すれちがう
街のあかりは傾いている
最初の信号に出くわすと
すっかり道を歩 ....
餌をやると渡り鳥は死ぬ
餌やるひとが死んだら死んでしまう
つぎの地で餌をじぶんで見つけられなくて
死んでしまうのかも知れない
飯食うために命をかけて
何千キロの空をゆ ....
ゼロなんてあるのだろうか
幸福なんてあるのだろうか
桜ぼっちの三月
もう二度と会えないひとなんて
ほんとうにいるのだろうか
街道のところどころに桜を見つける
オ ....
きみよ詩人よ
きみよあばよ
あの港街にきみはいたのか
あの日のまえの晩
いい詩が書けたかなと星を見つめた
詩を書くために生まれてきたんだと
きみは夜のきらめきに運命 ....
そざつな草むら駆けだしている
雨の窓辺にピアノをたたいている
薄曇りの鏡にあたしがうつっている
夕べは花芯をそよいだゆび
朝には枕にもたれているの
肉の夢をむさぼりみ ....
あたらしい葉っぱたち
幽霊みたいないろしてる
まだ濃くなくてやらかくて
みず気があってむきだしで
うまれたばかりの幽霊が
かそけき煙りに浮かんでる
そして
・・・・濃くかたくかわいてゆく ....
春のそざつな光たち
ハナミズキが揺れている
思い思いの願いごと
そいつを書いた白い紙
それが枝という枝に
くくりつけられている
風車のようだ
その白が揺れてい ....
あなたを俯瞰している
数百キロ離れた高速道路のうえから
日差しだ
寝息だ
静謐だ
寝巻だ
匂いだ
体温だ
掬いとる
なめてみる
髪の毛と肉と ....
何万人死んだって種としては生きながらえている
だからこれは種としての悲しみとは言えない
種の悲しみというものがあるとするならばそれは
生き残った種たちの妄想にすぎない
だから何 ....
空はあたらしくてあかるかった
すがすがしくって淡くって
ほのぼのとしてあたたかだった
あなたの匂いがとけていた
まんなかにつらなる街路樹が
もこもこと夕日を浴びていた ....
ぼくらはなにを祈るのだろう
正しいことどうしがぶつかる
争いの原因というのはそんなものだ
はんぷく行為の大存在、祈り
祈りとは金利のようなものだ
使わないと決めたお金 ....
なんにもないということが
あるということを教えてくれている
なんにもないということを
ぼくらはたいせつにして生きている
自然を愛する
ぼくらのこころ
知らず知ら ....
きょうきみのまわりにいる人々は
みんなぼくがたくみな変装をしてるんだよ
だから素直にさっと謝ったらいい
みんな呆気にとられたふりをして
きみに視線をあてつつ忘れてゆくから
街路樹のしたでそう ....
戦争映画ってやつは
こんなことと比べると
ずいぶんと甘ずっぱい天災のように思えた
しがみついていた
地上には
その果てまでゆかなくても
幸福がある
夜道には玉 ....
頭が痛かった
酒を飲んだからか
ひと駅わざとゆきすぎて
寒夜の家路をえらんだからか
たいせつな存在が嗚咽していた
ほそい声で頭が痛いと伝えていた
だからだろうか
....
新神戸駅は
駅裏の
山のみどりが
清々しくて
淡くて
ほのぼのとして
あったかくて
泣いているのはなぜ
江坂まで送った車のなかにも
まだそれが
....
ACのコマーシャルが
テレビから消えてもぼくらは
忘れてはならないのだ
いのちが助かる
いのちだけが助かる
ぼくらができることとは
義援金を今後もつづけることだ ....
悲しいひとがいたら
そのひとを
大切に思うまわりのひとも
きっと悲しいだろう
楽しいひとがいたら
そのひとを
大切に思うまわりのひとも
きっと楽しいだろう
....
柔肌あつきいのちたち
反復行為の大存在たち
みじめでも
幸福ならいい?
ひとを責めるくらいなら
不幸せなほうがいい?
人生ってやつが
ほんと好きでたまらな ....
あの世とこの世をむすぶもの
それが祈りだと
きのうそんな歌が聴こえてきたのです
鳥や豚や牛の死でさえ
悲しいのに
ひとがあんなに死んで
悲しくないわけがありませ ....
タコ焼きやさんは足ぱんぱん
寒い日、雨の日、足ぱんぱん
市役所さんから立ち退き命令
とおりすがりの常連さんたち
ゆるい反対してくれるけれど
タコ焼きやさんは足ぱんぱん
....
サンミゲルをラッパ飲みしながら
いつの間にかスラム街を歩いていた
失意を演出するような
怠惰と自棄をまとって歩いていた
廃線のまわりにはバラックが並び
カラフルな洗濯もの ....
月がかたちのまま光っている
どこからか飛行機の轟音
散らばる星しか見えなかった
それぞれの足音のうえで
月がかたちのまま光っている
先月も19日は満月だった
それをなぜかよく覚えている
....
はじめてのラブ
さっきふっと最後の試合で
二塁打を打ったときのことを思い出した
疲れているのだろう
肌にしもやけのような跡ができている
かさかさしているような気もする
じぶんを蝕むものを見 ....
ゆるがないじぶん探して
ひとは旅にでる
そうだ、ひとは
だれもがじぶんの人生の
じぶんが主役なのだから
ゆるがないこと
じぶん以外にゆるがされてしまう
じ ....
もうすぐ桜が咲こうとしている
もうすぐ梅が散ろうとしている
木蓮が音をたてようとしている
花が街道を染めようとしている
自然は柔らかく生ききっている
希望にゆるがず生きき ....
緊張する暇すらないはずなのに
一週間ずっと緊張していた
だからだろうか
風邪をひいても
いつもは熱などでないのに
朝計ったら7度8分もあった
タバコをふかしてはしつ ....
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