とぼとぼと夜をこぼしながら
中途半端に高いビルに挟まれた通りをあるいた
あなたに見つからないように
ぼくだけの空気を吸うために
やさしくなれるような気がしたのは気のせいか
....
西の夜空に
月が置いてあるよ
黄色いオレンジが
おまえの温度のようだ
夜はなぜ来るんだろう
地球のことが分からないから
この世のことが分からないから
夜は ....
好き島?
嫌い島?
気持ち海
海いのち
なみ切実
風ちから
愛しい
たまらなく愁い
愛しい
気持ち海
海いのち
なみ切実
....
そうやこれは戦争なんや
戦争やから死んだって誰も責めへん
殺したって誰も責めへん
寂しい言うたらあかんのやろ
会いたい言うたらあかんのやろ
鬼軍曹に殴られそうやもんな ....
青灰色の夕暮れに
鳥の群れ
黒い影が
青灰色の夕暮れに
ぼくはあなたとはぐれていた
ガキの頃からのそれは宿命だ
青灰色の夕暮れに
鳥の群れ
黒い ....
横断歩道の
白いところしか歩かないことにしている
もう四ヶ月たつけれど
たった六十ヶ月で求めてしまった前科がある
もう時間じゃない
こころを忙しくさせて
連戦連勝し ....
あなたといれたらなにもいらない
なにもいらないからあなたもいない
見えないもの
すぐ結果となって返って来ないもの
だけど
たしかに存在するもの
今生の別れでさえ
そんなからくりのなかにあ ....
嘘を書いたりするのは
あなたの気をひきたいからと
ぼくのスキルを伴った方法だ
あなたを見つけて以来書いてきた
四千個くらい書いてきた
集中とバランスとスピードを手にした
嘘を書いたりす ....
歩道をわたる
小鳥がさえずる
三日月の見えないところを見つめている
見てないだろ
こころの目で見つめている
首が心配だ
足首が心配だ
フェイスブックで探してしまう
銀いろに波紋がさざ ....
今日もまた五万回あなたを思った
夢遊病者のようになりながら
ふたりは一生懸命生きている
こんな悲しい気持ちでひとり
明日もまたあなたを五万回思うよ
こんなにまだ苦しい ....
カダフィと砂漠を旅したとき
発電機の不安定な明かりのしたで
彼は世界についての話を毎晩してくれた
カダフィはアメリカを含むこの世界を
小惑星にいつ襲われるかも知れない地球にたと ....
息子たちは
ついに私が身につけられなかったものを
すでに有している
すこし心配しつつ
それを頼もしくも
それを羨ましくも
息子たちを
ゴルフ帰りの渋滞のなかで ....
今朝
息子を起こすと
たんぽぽの詩を書いている夢を見ていたのだと言う
息子はつめたい目をして宙をにらんでいる
どんな詩だったのかは思い出せないのか
それとも説明するのがめ ....
息子たちがまるで舞台にでも上がるような感じで寝室に消えた
オレは面白いことを一言でも言って息子たちを送り出そうとする
気配くらいしか感じられない返事をしずけさのなかに幻視する
偉 ....
こどもが出来たみたいだ
みたいだと言うのもおかしいけれど
ふしぎなものだ
ぜんぶが静かに収束してゆく気がする
震災のときも
いちばん最初につながったのは
そのあとも
なんどもなんどもつな ....
悲しくもないのに
悲しい風が吹いている
透明でもないのに
透明な風が吹いている
色などもうないのに
空しいものなどもうないのに
悲しくもないのに
悲しい風が吹 ....
なんてことないゴルフ場
なんてことない日曜日
明日はなんてことない月曜日
なんてことない風にあたり
なんてことない煩わしさに
なんてことないものを感じている
なんてことない我慢でもするとす ....
あれだけの量の雨が7月から降っていたのか
大雨で河から溢れた泥水が
国土を覆い尽くそうとしている
タイは海抜の低いたいらな国だ
大阪でいうと寝屋川市みたいなところだ
タイ ....
最愛を通訳する者よ
ぼくは今からここを出る
999が旅立つように
ぼくは傍観者であり冒険家だ
目と手と足で告白する者だ
海底に連なる群れよ
そこに加わり
ゆっくりはぐれよう
最愛を ....
あなたが不幸になるのは絶対いやなのに
幸せになるのも絶対いやなのは
まだ好きなだけじゃないからなのだろう
幸せなあなたを見かけたら
飲めないお酒に酔ってしまったような
....
天気は偏西風の影響で
西から東へ移ってゆくもんだとばかり
思っていたのだが
新神戸は青天でぽかぽかしていたのに
東京は雨曇りで肌寒かった
街路樹が心細い影のよう
歩道をはしる自転車がぼく ....
新横浜だ
あと20分で東京だ
新幹線のなかでは2回寝た
ひとの心について考えていた
たぶんぼくらは百年後
だれの記憶にも残らぬ存在だ
ぼくらの主義主張なんてもの ....
振り出した手形の期日をさきに延ばしてもらおうとアポもとらずにユキは仕入先の材料屋さんに朝駆けをした
その建物に入るとき一瞬ホアシトオルのことを思い浮かべてユキはクスッとほどけたような気持ちになっ ....
糞まみれの日常を
ホテルの部屋が
罠のふりをして毒を隠してゆく
考えても仕方がない
行動はシンプルに
仕方がないことを考え抜け
至らないことこそ素晴らしい
....
公園よこのカーブした細い坂道
ぼくは一人で歩いていた
綿毛を取って喜んでいた
黒い音で鳥が啼いていた
光とは白だと教えていた
綿毛がぼくの友達だった
あなたと歩いた ....
ありがとう
ありがとう
散らばったお米を一か所に集める
花弁をお米に見立てて菊という文字にはそんな意味がある
そして菊の花言葉は高潔、清浄、真の愛だ
散らばってしまった愛 ....
高速の事故渋滞のせいで下道も混んでいた
何台かが裏道に抜けてゆくのに付いていった
そしたら知らないふとい道に出た
駅前のように店が沢山あってマンションが並んでいた
なんで今まで ....
血が足りない
血が漲ってない
興奮に体が耐えてない
どことなく
全身が乾燥している
三ヶ月よく頑張ったよ
おまえもおれも
飲み干したカップを
静かに ....
浄まってゆく
それに身を任せている
この十年となえていた名前が
さいきん出てこないんだ
きょうさ
なん時ごろ元気だったんだろう
だれとも喋らずに天井を見ているよ ....
1997年東京都港区
写真の題名はただそれだけだった
あの頃東京に住んでいた
写真に切り取られた街
あの頃の自分の
横顔や肩を幻視していた
清純だったけれど
....
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