ヨシミが自転車から転げ落ち
あのとき幻視したブルーは
ぼくが描いたことなのだから
イスラム圏のブルーもいずれ
ぼくが物語にととのえてあげるよ
そこかしこにブルーがあった
ブルーのことなら ....
今日ぼくは仏教遺跡に行った
ここは1200年前の仏教徒たちのメッカだったそうだ
南国の木々に縁どられた田園風景をバスで走る
途中火山灰の土石流にやられた復興中の町を通る
バスから降りる
暑く ....
ぼくを傷つけたことを
普通のこととして配慮しよう
今夜彼女をむしょうに尊重したかった
そのくらいぼくは今
普通を探しているのだろう
インドネシアやマレーシアでは
大半のひとびとがイスラム ....
マレーシアは医療費も学費もただだ
それは石油があるからだ
私たちも天然資源の採掘に金を投入すべきだ
短絡的にそんなことを考えながら
クアラルンプールの郊外を
プロトン車に ....
隣でだれかが死んでも
予定通りに旅は続いてゆく
人生は旅なのだ
人生はやはり旅なのか
悲しみに傷ついていいのは
たぶん旅びとの俺だけさ
あの時あなたのなかに入っ ....
気持ちいっぱいあるよ
ぜんぶ愛しい気持ちだよ
そうなりたかった気持ちだよ
そうなりたかった気持ちなんだよ
みんななんかのものまねしてる
気持ちかなんかもものまねしてる ....
小皿に食べかすの
干からびた梅干しがのっていた
なぜか醤油の渇いたぶつぶつのシミもあった
これ、おまえの食べかすやろ、
ぼくがそう言ったらきみは笑った
俺、梅干しデカ ....
声ききたなんのを
がまんしてる
がまんしてたら
いつか爆発してまう
夜空はベランダにある
煙草を吸ってみる
ウィスキーをなめてみる
傷ついてやるさ
....
あ、まんげつ。
ちょっとまんげつじゃないけどな。
かじったんかな。
なめたんやろ。
キャンディみたいに。
そんなメルヘンが聞こえた
いつ偶然出会っても
そ ....
夜はきっと早起きだ
その発見はとても痛快で楽しかった
おんなじ気持ちで
夜の哀しみに同苦したいとも思った
両方の膝をわしづかみにして
あなたのすべてを見つめたい
あなたの両腕を優しく支え ....
いやなことを幾つも並べて離れるよりも
憧れの気持ちを受け入れて傷ついていたい
人間の幸福なんて百年も残らないのだから
信じてもらえなかった原因を考えるよりも
今日一日どう生きるかを考えていた ....
俺もそうなろう
おひとよしは返上する
助けてくれだとか
おんなじ気持ちだとか
そんなものに対しては
死ね、とはっきり言ってやろう
引きずりこまれるな
そんなものに対しては
死ね、とはっ ....
クルマはしんとしています
埃の匂いが湿っています
くもり空の朝
東京ではじめて運転します
なわとび
正解
かわいいな
ベランダ
吐息
かわいい ....
きょういちにちの
俺のつかれ差し出せよ
今夜もまたワインよ
いちにちのつかれ俺に差し出せよ
夜風に吐息を
ふきかけられた
もう二度と会えないひとなんて
ほ ....
外灯を見つめる
それが照らした淡いアスファルトの
気配を今にかさねている
自転車の影が消える
町がだまって現れ続けている
ひとのこころを見つめている
たぶんそう ....
なにがそんなに
おまえらめんどくさいんだ
こころに闇なんかない
そんなことで片付けんな
夜露を見てみろ
鍵を返した夜
泣いていた女の子
こころの光しか
宇宙にはないんだよ
なにが ....
マンションの契約をした
布団と冷蔵庫があればいい
あとはゴミ袋があればいい
出張の夜さびしくならないように
どうせひとりなんだ
もっとひとりになっちまえばいい
よくゆく都市の勝手知ったる町 ....
夕焼けのうえ
あれは宇宙だ
夕焼けと宇宙のあいだ
あれは透明のグラデーション
宇宙と夕焼け
透明と夕焼け
夕焼けのうえ
あれは宇宙だ
夕焼けと宇宙のあいだ
あれは透明のグラデーシ ....
なんだか秋のひかりのなか
あなたが誰かと歩いている
ぼくもそうさせて貰えてた
ぼくもそうしていたかった
黄色いひかりが水色に舞う
影が空の色とよく似ている
かさかさ風が葉を落とすよ
....
きたないこころなんかない
こころに闇なんてないから
こころには光しかないから
みんな何かになりたいんだ
ただそれだけのことなんだ
空が青灰いろなのは
月のひかりが染みているから
宇宙のしたで愛し合うのは
ぼくがあのとき生きていたから
あなたのくれたメルヘンを
ぼくは死んでも裏切りません
タ ....
朝焼けのむこうに
夕焼けは終わり
夕焼けのむこうに
朝焼けは始まる
海のむこうに地は始まり
地のむこうに海は始まる
愛別のむこうには離苦がある
春の夢だった
離苦のむこうには愛別があ ....
山奥の露天風呂から
まるい鏡みたいな月光る
あなたの美しい心だけが
輝きのなかに吸われてる
山奥の露天風呂から
寝そべるオリオン座光る
あなたの切実が七つある
....
牧場のレストランの窓辺から
光が奇跡のように射していた
ここにぼくが存在しなくても
光は奇跡のように射していた
だからぼくはこう思ってん
だから奇跡やって思ってん
ぼくなんかおらへんくて ....
ねじを巻いて時を逆に進ませた
おはよう女の子
もうすぐ朝日だ
こんな毎日の風景に
マイナス100度が
走ったり
駆けたり
こんな毎日の風景に
マイナスイオン香が
撫でてくれたり
晴 ....
あなたの時が動いていることを
だれかの切実になり果てていることを
思うと
マイナス100度の
しこりが駆け抜ける
だって仕方がないじゃないか
怪我して当然なんだ
生きて愛して戦った
あ ....
朝からの冷たい雨がやんでいた
野戦病院が濡れていた
夜気が目鼻を洗っていた
美しい白をぼくらは調べていたのだ
怪我ぐらい
当たりまえの話じゃないか
生きて愛して ....
インフルエンザワクチンを受けに町の医院にゆく
一年にいちどここに来る
蛍光灯の白いひかりが湿っぽい
なんだか懐かしいような気がしてくる
そとは濃い青灰いろの雨上がり
血圧 ....
月はたった
29日で満ち欠けを繰り返すけれど
宝くじはほんの
ひと月で当たり外れがわかるけれど
もうすこし
時間のかかることの方が
世の中には多い
クリス ....
食卓のきんぴらごぼうを幻視していた
なみだがこぼれるのは
いったい何故なんだろう
暖かいひかりが胸に貼りつくのは
それが針のように煌めいているのは
帰るところなんかなかった
ひとりでいる ....
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