冬の朝
まだ暗い
しずかな夜
上澄み液みたいな夜
冷たさが柔らかい
鼻先が
頭が肺が
きよめられてゆく
激しい闘争とは縁遠い
曲解への苛立ちとも縁遠い
あくびをすると目が冴える
....
長い時間働けば働くほど
お金が入ってくるような時代は
日本ではもうあらかた終わってしまったのだ
さて
これからはなにに長い時間をかけるとしようか
旅客機のひかりが遠く ....
ぼくらは自然をコントロールしたいのか
ひとのこころをコントロールしたいのか
じぶんの感情?
政治経済だろうか
それとも差し当たって原発だろうか
コントロールによる幸福へのシステムは
もう ....
虎穴に入らずんば虎児を得ず
君子危うきに近寄らず
どちらが本当なのかが問題なのではない
君子は虎穴には入らないのだ
虎児を得ようとはしないのだ
これは君子の消極性によるも ....
迷い道はトンネルの出口近くに似ている
出口から射してくる光を見ているだけなのに
トンネルから出たような気になってしまうところなんかがだ
ぼくらは保守的に出来ている
トンネルの外へはなるべく出た ....
変化をおそれるな
適者生存なんだから
幸せになろうと思うな
思えば今が
不幸せってことになるから
ぼくらの経験なんて
誰かが既にしていることなんだ
哀しい ....
駅の明かり
そこからひとが吐き出されていた
皆なんらかの仕事を果たして
人生の主人公のような影をして
駅から遠ざかるために動いていた
歩きながらひとを愛した
からだを愛するには
遠すぎ ....
現代音楽のようでいて
懐かしい旋律も現れたりする
シマノフスキーにはそんなピアノ曲が多い
冬の夜に近い朝
外灯は暗い空に圧されるように
地に貼りついていた
柔らかな天地の香り
宇宙から与 ....
元素周期表を寝るまえに眺める
素粒子の大爆発のあと
なぜ最初が水素原子だったのかを考える
宇宙誕生の38万年後水素原子は誕生した
そして宇宙誕生の4億年後
水素原子どうしが核融合してヘリウム ....
月が宇宙一でっかい
まあるい外灯のよう
山の端に沈んでゆく
トントン
トントン
トントン
トントン
しずかな朝日みたい
月が吸われていった
朝が明るさを増した
トントン
トントン ....
今夜を歩くひとはみな
まあるい月を見ているのだろうか
月のまわりには黄がにじんでいる
そこを小さな点滅が過ぎてゆく
何十年もまえに始まったことを
証明するかのようなまあるい月
ぼくらにはも ....
唇のほくろをただ一心に吸い続けていたい
ひとを受け入れてゆくこと
おなじ苦しみのなかで信じられる存在でいたい
自己をかさねてなにものかを畏れる
そのなにものかと約束しよう
....
あんな写メを送ることじたい
ぼくにはありえないことだった
十年前、十五年前、もっとまえの自分を
愛おしむように懐かしんでみた
今よりも社会的にも人間的にも
なんにも見えていなかった
なのに ....
ぼくは見捨てたのではない
あなたを困らせていると確信しただけだ
あなたたちを困らせていると確信しただけだ
あなたたちが幸福を重ねてゆけるのなら
ぼくはあらゆる絶望を踏み越え ....
しがみついていた
おっぱいを静かにきつくすっていた
ぼくのあたまは撫でられていた
もうひとつの手は優しいゆびで
ぽろんぽろんと撫でられていた
このまま眠っていいですか
....
それは舞踏そのものだった
指揮棒を持たない指揮者のようだった
楽器が鳴る
音があふれる
色彩がふくれ
温かかった
それは音楽そのものだった
指揮棒を持 ....
ピアニッシモを聴きたくて
それに音量を合わせると
メゾフォルテで爆発してしまう
音の大小だけではなかった
分厚さにしてもそうだった
指先で触れるか触れないか
それくらいだった音たちが
両 ....
窓からはしずかなる灰色
雨の日の午前の喫茶店
そのぬくもりやひかり
その湿りが好きなのは
自分を大切にできるから
コーヒー一杯の香に
視界や胸を任せていられるから
悲しみやその痛みに
....
恋しからずや朝の雨
まだ暗きそぼ濡れに
恋しからずや朝の露
世界をつくろうとしていた
素晴らしい世界なので
それをつくろうとしない人を
気づかせたいとがんばった
ただそこには
なにかが足りなかった
なにかが過ぎていた
....
左目からなみだがとまらない
そして胸が痛い
右目だけが自由に生きていた
すべてこの身で感じている
このくらいが丁度いいんだ
追憶の道筋は
源から発する
り ....
みんなのこころを
ひとつにする
それが、こころざしだ
そのためには
みんなのこえなきこえを
めとこころとみみで
きくんだ
みんなのこころを
ひと ....
ふたりで見た海を通る
消したい記憶を消せるほど
ぼくは澄んではいない
吹き消されない光の源
その物真似をしている
ふたりで見た海を通る
消したい記憶を消せる ....
吹き消されないともしび
たしかにある
それしか分からない
一箇所だけ鏡のような俺は石ころ
ひとりでもないし
たにんごとでもない
やり方はほかにあるってことさ
....
苦しんだり悔やんだり
いまさら心をたてかえたって
どうにもならないような気がした
肩とおなかににちからをいれる
惨めですっからかんになってしまう
遅くはないさ
....
つまらない試合だったと反省する俺を
そのまま励ますようなことはしないでくれ
悲しみに素直でいられなくなるから
考えに酔うように俺に喋りつづけないでくれ
頭でっかちには素直でいら ....
記憶いがいに興味ない
目に映るものが
生まれて初めて見るものだとしたら
気がおかしくなっちまう
記憶があるから認識するのだ
目に映るもの
記憶を刹那のうちに総動員して
認識しているぼくら ....
苦難を越える努力が好きだ
好きだから先週末から今日にかけて
苦難がテンコ盛りになっている
俺はこんなもんじゃない
不徳の致すところなんてまっぴらだ
お陰で消えてくれる ....
テレビであじさいの描き方をやってた
ぼくもそれをやってみることにした
灰色のクレヨンで花びらをテキトーに描いた
それからスポンジに染ませた紫で花びらをたたいた
可憐な色合いの絵が目の前に出来上 ....
約束に目を向けるんだ
苦しみに目を向けるな
約束に目を向けるんだ
大物ぶらなくてもいい
継ぎ接ぎだらけでいい
約束に目を向けるんだ
にじみつづける
みじめ ....
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