駅に夕暮れが停車している
優しいエールが流れている
春を感じる
寂しくて
心地好い
何してんだ
駅に夕暮れが停車している
優しいエールが流れている
空港が近い
日本の街がそこにある
繊細だ
愛しい
地震に身をふるわせ
原発に傷ついている
人口は減り
高齢者だけが増え
円高に蹂躙される
このなかで生きてゆく
壊されない
ちいさ ....
すこしの雪に戸惑うほど
世界が不安にまみれていた
春の切実
3月なのに春が見あたらない
夏のばくだん
夏がしずかだ
メロンに煙草がばくだんだった
秋の煙だ ....
忘我だけが真実だ
我を忘れなければ
秒速120メートルで考えられない
我で考えていると
せいぜい歩く程度の速さにしかならない
他人のことなら
秒速120メートル ....
小学生のとき突然女の子にキスされた
ぼくはそれを肩で拭いた
家に帰り口をゆすいで鏡を見た
それから叔母さんにあったことを伝えた
女と和食のお店に入った
ランチのコース ....
昼には新幹線のなかにいた
各駅停車の新幹線だった
固くて煙草くさい客室だった
掲示板に流れるニュースを見つめていた
一夜明けても
首相から被災地へのメッセージはなかった
....
とぼとぼ歩く人間の足もとに
耳をつける
理不尽なほど大きな音がする
暗い
地上
力の
行進
高い
運命
とぼとぼ歩く人間の足もとに
耳をつける
....
かなしい真昼が
黄色い粉が降っていた
あれからです
遠い空が
あのしたで
かなしい真昼が
黄色い粉が降っていた
六分咲きの梅をゆく
見つめる訳でもなく
香りのなかを歩いてゆく
ちいさくなって
盆栽を歩いてゆくようだ
つぎの休みまで待てなかった
人込みはまだ
春ほどではなくて生を隠している
お茶 ....
あのとき祈ったとおりになった
だから生きている
世界は
ぼくにだけ語りかけている
あなたにだけ語りかけている
それが生きているということ
お昼まえのひかりが真白だった
じっとりと固く熱く股間が膨れていた
こんなに愛しい
前髪を撫でてあげながら
体をいじめることだけを考えていた
150もない女の子を泣かせていた
ふたりぼっち ....
おまえの住家の辺りを通過
おまえとおなじ雨粒見てる
おまえとおなじ灰色見てる
おまえとおなじ高さの曇天
おまえの住家の辺りを通過
そうだ、ぼくらは
他人のことな ....
こどもみたいに大好きだから
名前を呼んでみる
靴を履いたまま
おっぱいを吸ってみる
ヘルメットを被ったまま
ほくろに執着してみる
新しいガムを噛む
名前を呼ん ....
東京も雨曇り
ただでさえ
灰色の町並み
この街で
いちばん青くて寂しい
そんな場所に
母はいたのだろう
車椅子に乗った
聖人が入場していた
ぼ ....
ちいさな影が旋回する
曇り空には
そんな顔しない
生きている
しかたないだろ
ちいさな影が旋回する
こころの闇を見つめる
こころの光を見つめる
....
ゴムを買って薬局を出た
冷えたぬるい大気が
工事現場のような明るさだった
さっきより空が黒くなっている
ああ、ぼくは、自由で不自由だ
アパートにひとに会いに行く
階段の音
暮らしの匂う ....
理不尽よ
瓦礫のなかに誘われて
ぼくらは死者と対面する
あらゆる執着を
与えて奪い去った
理不尽よ
あなたはぼくらを全否定した
そこを真面目にさ迷った
....
だれもが仏様になれる
種みたいなもんを持っている
一切悉有仏性とは
そんな意味の仏教用語だ
いろんな争いごとや美談を見るたび
一切悉有仏性を思い出す
争いごとも ....
雨上がりの夜道に
コロッケの香りがする
青黒く湿った夜道に
外灯ほどの幸せが停まっている
津波や原発に
ぼくらはいまだに傷ついている
自然をコントロールするため ....
僕の昭和は40年代後半からだった
喫茶店の入口を飾るレプリカのような
素朴な人工がひかり輝く日々だった
遊ぶのは工事まえの土くれのうえだった
わざと転げて服をよごす
....
曇りの日
遠いビル群が白に隠れている
そんな風景のほうが好きだった
夜景が嫌いだった
あのなかには
いろんな人間関係や
いろんな蹉跌が散らばっている
特殊 ....
避難してきたこどもの入園を拒否するひとがいる
福島ナンバーの車をボコボコにするひとがいる
誰も知らない神様にも届かない
そんな場所で誰がために命を捧げるひとがいる
動物や虫や植物たちはどうな ....
ひとは執着から逃れられない
ひとは執着から逃れられる
執着を思わなければいいのだ
ひとつき後にはさくら花
いのちを賭けた尊い轍に
つらなる裸木が上を向く
ひ ....
たのしい
つぶやいてみた
ひろってもらえた
ぼくのつぶやき
たのしい
不思議な映画のような
ちいさな命
ちいさなものへの愛情
たのしい
つ ....
あふれる愛は
居場所を探してしまう
ぼくはあなたに
依存していたのだ
酒やドラッグのように
愛はあふれてはならない
八分目が大切だ
最愛などあってはならな ....
さっきまでの雨が上がったようだ
雨の上がるように
ぼくも静かに死んでゆこうと思った
いまはなき
指揮者の合唱指導のエピソードを思い出していた
雨の上がるように静かに死 ....
朝起きたら予報どおりの雪だった
日常に旅が舞い込んできた
異国の雪のよそよそしさで
一日がすでに始まっていた
寒いのを閉めてカーテンをひいた
歯を磨き鏡を見つめた
磨くスピードが速く強く ....
風が強かった
雪が降っていた
さした傘にすぐ雪が積もった
歩くたびヌルッとした
べちゃべちゃとした雪
足裏も表も
駅に着く頃にはじんじんとしていた
手袋を忘れたから
指がうごかなくな ....
リズム、フレーズ、バイブレーション
メロディにスパイス
壊しながら構築する
リズム、フレーズ、バイブレーション
星が明るかった
夜が風が冷たかった
月だけが笑っ ....
NHKニュースで雪を知る
関東平野に雪が降り積む
あなたは天才だから
そんなこと
どうにでもなるのだろうけど
明日は早く家を出るんだよ
歩いて駅まで行くんだ
....
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