あのひとのうちで食べた朝メシは

こんがり焼かれたトーストだった

自分ちとはちがうパン

自分ちとはちがうマーガリン

ジャムもちがった

そのなにもかもに違和感を感じて

 ....
部室から下宿街に抜ける道には

小川が流れていた

少し生意気で

先輩とだけうまくやっている風のあいつと

はじめてそこで喋った

あいつはホタルを探しながら歩いていた

こ ....
街全体がさみどりの煙のなかにあるようだった。

煙が目にしみる。

街道に木々がつらなっている。

そこには生まれたばかりの新緑が散らばっている。

この柔らかな色彩。

時間がま ....
背の高い木々が新緑の煙を纏っている

その早緑には鉱物の冷たさと

生き物の水気が同居している

この街は空襲で焼け野原になった

そして木々と昔ながらの街並みと

広い道路によって再生された

この ....
年商3.7ミリオンユーロの鉄工所の親父は

彼自身がマイスターの資格をみっつ持っている

品質、納期、価格、そしてマイスターのブランドを武器に

大小100社の顧客のコアパーツを21人で製造している
 ....
ちいさな花のざらっとした甘い匂いが

鼻を神妙になぶっていた

青い空の向こうにはアルプス

飛行機雲がその透明を幾筋か走らせている

日差しが頬と腕を押している

今日ミュンヘンは28℃にはなるらし ....
8時をまわっても夜が明るかった。

昼、ザワークラウトとソーセージをたらふく腹に入れていたので、夕食は違うものにした。

旬のホワイトアスパラの料理を食べ、オレンジ色に濁ったビールを何杯か飲み店を出る ....
教会がある辺りは暗かった

バーやレストランや

雑貨店が軒を連ねているのに

教会が闇を吸って膨らんでいた


さきの大戦で破壊され

戦後おなじものを建てたのだそうだ

かたちに宿るもの

それが ....
ドイツにも桜の花が咲いていた

ほかにもたくさん木々があって

日本のような主役にはなれていなかった

だからいくぶんニュートラルに

春のよろこびを感じながら歩けてもいた

冬がつらいから春がうれし ....
昔のTBSドラマみたいなドシャ降り

みんなで寄ってたかって

悲しい面影をまもらせようとしている

ベランダに雨が溜まる

おもての三輪車が揺れている

ディスプレイに映っている ....
マロニエ、日本名はトチノキ。

やや崩れた大きめのは葉が木陰をつくっている。

その昔ビール工場に涼をつくるため、マロニエが選ばれて植えられたのだそうだ。

ビアガーデンにマロニエが植えら ....
通勤の自転車に注意しながらでないと

この街での朝の散歩はあぶなかった

歩道を猛スピードで自転車がゆく

気持ちの良い朝の空気に

車輪もまた気持ちの良い音を立てている

ちょうどいま地球の裏側には ....
突然工場が爆発したり

突然歩行者に車が突っ込んできたり

時限爆弾のようなものでも

ぼくらの周りにはあるのだろうか


太陽の磁極が5月

四重になるのだという

こんな ....
ホテルのまえは教会だった

一時間ごとに鐘を鳴らしていた

たばこを吸いながら

本を読みながら

パソコンを開けながら

ひとに電話をしながら鐘の音を聞いていた

朝起きると教会が青かった

ちいさ ....
成田を出発してミュンヘンで乗り継ぎをした

ミュンヘンからハノーファーまではボンバルディ機だった

機内ではうつらうつらとしていた

だからつまらない夢をたくさん見た

ちいさな感情に一喜一憂していた ....
あした朝早く成田で待ち合わせをしているから

きょうは東京駅ちかくのホテルに宿泊する

まえの座席ではフジコ・ヘミングが大人しくしている

窓際に花束をおいて通路側に座っている

猫を ....
智恵子は雨の日には地震が来ないという

昔なじみの校舎のような病院だった

伝言板には院長の行く先が告げられていた

カーテンをあけて雨の日を見つめる

さくら若葉のあいだに在るのは

昔なじみのきれ ....
思わなければ始まらないから

イメージは未来だ

言語は過去だ

未来と過去を繋げているのが

思うという行為だ

思わなければ始まらないのだ


善い思いをもって善い行いをしても

惨めさばかりにな ....
優しい。

痛くない。

傷ついてきたことも

静かなam

ひとの数だけ

ふつうに雨に濡れている


雨の日のam

ひとのいる場所に

一人でゆくのが好きだ
 ....
きょうの花びらを忘れない

玄関にまかれた花びら

あのひとの爪みたいだ


やわらかな色づき

ほのかな湿り

美しく朽ちてくれ


この桃色を掃きながら

ふっと心 ....
般若心経には

ぎゃあていぎゃあていはらそうぎゃあていぼうじいそわか、

この真言を唱えれば

執着とは意味のないものだ、ほかに大切なものがあるのだ、

これが会得できると書いてある
 ....
月の光を聴いている

ストコフスキー指揮のやつだ

ぶ厚くてやわらかかった

張りつめていてあたたかかった

あなたの幸福を見つめていた


一枚の気持ちを見つめている

そ ....
有限時間というリュックサックに

たくさん詰め込んだ愛や心配

一つ出し二つ出ししてゆくうちに

リュックサックには

あなたのこころが入ってゆく


それがあったかくて

 ....
さびしくて目をつぶってたら

昼下がりの街道にはだれもいなかった

ぼくいがいだれもいなかった


雨のおとがびしゃびしゃ言ってる

天気は西から来るのだから

雨のおとは西から来たのに決まってる

 ....
きょう太陽のまわりに

虹が円を描いていたよ

ぼくはそれを伝えたくて

太陽を建物で隠して

写真を撮ってみたよ

会社の人に言ってみたら

外も見ずにこう言った

めずらしいですねって
散りのこされた花びらと

散りのこされた紅い萼で

桜の早緑がよごれていた

勝手なものだ

桜の花はもう

色彩の主役ではないのだ

きみの好きな早緑が多分

外灯に輝い ....
誰もいない

誰も知らない

みずうみに

さっきまで見つめていた月が

浮かんでいる

そのまぼろしは


自転車で

街道にあらわれた

あなただ


誰も ....
このホームで自殺したひとなんているのだろうか

ふとそんなことを思いながら

もう二度と会えないひとなんて

本当にいるのだろうかと考えている

そして本当ってどんなことだろうかと考えている


地下 ....
5時半にうちを出て朝一の新幹線で東京にゆく

坂道の向こうでは日が顔を出しているのだろう

まだ見えない太陽で外が明るかった

この時間三ヶ月まえまだ会社にゆく道は夜だった

そしてあの頃ぼくはまだ純 ....
こうしたら平気でいられる

こうしたら前向きでいられる

こうしたらこうしたらこうしたら


見てみないふりの現実を

あとなんど味わえば

ぼくは飛び降りてしまえるのだろう
 ....
吉岡ペペロ(4238)
タイトル カテゴリ Point 日付
つめたいジャム自由詩412/5/1 3:44
ホタルの小川自由詩312/4/30 23:55
煙が目にしみる自由詩612/4/30 16:09
緑のなかの都市携帯写真+ ...112/4/30 16:08
マイスターたちの系譜携帯写真+ ...212/4/30 16:07
ちいさな花の季節携帯写真+ ...012/4/30 16:06
人間という袋携帯写真+ ...412/4/29 16:02
黒い教会携帯写真+ ...112/4/29 16:01
異国の花携帯写真+ ...512/4/29 16:00
悲しい面影自由詩012/4/29 15:58
マロニエの花が告げる自由詩312/4/28 19:04
朝の散歩携帯写真+ ...112/4/28 15:51
突然のなにか自由詩412/4/28 15:50
青い教会携帯写真+ ...112/4/28 15:50
うつらうつら携帯写真+ ...212/4/28 15:49
ルーツの国に自由詩812/4/22 21:44
きれいな空携帯写真+ ...9*12/4/22 17:10
思う携帯写真+ ...212/4/22 17:08
優しい。痛くない。自由詩412/4/22 14:56
きょうの花びら自由詩912/4/21 15:23
真言というシステム自由詩512/4/21 2:29
月の光自由詩412/4/21 2:24
天気雨自由詩512/4/20 12:54
昼下がりの街道携帯写真+ ...212/4/20 1:54
誰も知らない携帯写真+ ...612/4/19 22:42
きみの好きな早緑自由詩012/4/19 22:32
月のひかり自由詩212/4/18 23:51
閑寂携帯写真+ ...112/4/18 19:19
純粋携帯写真+ ...512/4/18 6:42
こうしたら自由詩112/4/17 22:52

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