東京は避暑地のような涼しさだった
朝は黄昏れのようだった
夕暮れは朝のようだった
避暑地・東京
季節のひかりしかそこにはなかった
記憶の主役はいつも
温度ではなくてひかりなのだ
勘のい ....
日差しだけが強くて涼しげだった
まだ朝のような夕方
木々の緑は身を揺らせて
一日じゅう空は青のままだった
ぼくは泣きたいほど懐かしかった
ひかりがひかりだけになっていた
それいがい
僕等 ....
晴れ空、日差し、涼やかな影、
街ゆく人々はどんな顔して起きたんだろう
晴れ空、日差し、涼やかな影、
15ねんまえの
東京を思い出す
彼女の手からは
なつかしい匂 ....
振り子が振れる
おおきく振れる
ぐわんぐわん振れる
ちから強く
太くおおきく振り子を振ることが
生きてゆく俺の活力だ
幸せなんかない
俺はきっと幸せになれ ....
そんなに長いあいだ
怒らないでください
あなたには遊びや友達がいるでしょう
でもわたしには
あなたしかいないのです
銭湯の脱衣所に
犬の十戒と題されたポスターが ....
ことしは少ないような気がする
旅の途中や旅先で
なんかあったのだろうか
それともこの国が
嫌になってしまったのだろうか
なにを感じて渡り鳥
どっちがふるさと渡り ....
子守唄を歌っていたよ
おとなになったきみは
あの頃のきみだ
雨降るあの夜の
きみの正義感は正しい
おとなになったぼくは
あの頃のきみに
寄り添っていた
....
浅瀬に一万匹が打ち上げられ
カタクチイワシたちが死んだ
カタクチイワシだけが死んだ
カタクチイワシたち一万匹に
いったいなにが起こったのか
おそろしくでかい海の怪物に ....
飛び降りる
頭を強くうつ
あっ、死んだ
灯を終わらせた日
晴れていましたか
雨でしたか
灯を終わらせた日
影は引き継がれた
それが僕に
ながれ ....
誰も待っていてくれなかった
それにいちいち傷ついて
すっかり強くなってしまった
飛び降りたら
頭を強くうつ
あっ、死んだ
誰も待っていてくれなかった
....
イタリアの小さな村に住むひとびと
その暮らしを綴る番組が好きだ
素朴で明るいシャンソンがふしぎだ
どこにでもあるような人生など
たぶんないのだろう
ちいさな村に住むひ ....
街道の端っこを
子猫がちいさな速度で歩いている
轢かれやしないか
ミラーを見つめる
応援なんかしない
ふつうのことだろ
心は僕の影だから
街道の端っこ ....
いつのまにか
中心に据えられて
またいつのまにか
中心探しからは外されて
うん・・・・
ぼくは太陽のようだ
いや、太陽ほど影響力もないから
太陽の子供のようだ ....
よくある話さ
きみのヒーローになりたいだなんて
地球や宇宙をまもるわけでもないのに
よくある話さ
きみのヒーローになりたいだなんて
ヒーローって
だれかのために ....
最新鋭の望遠鏡でも見えないのは
大気の揺らぎのせいだった
この揺らぎを測定し補正した画像を
何万光年さきの世界としてぼくは見つめていた
街道にはところどころに鳥小屋があった ....
あんびばれんとな夜の街道を
風に揺れている二人の影や声や温度
はじまりの音色
揺れている
はじまっている
あんびばれんとな夜の街道を
風に揺れているビエロのやじろべ ....
幸福だ
カーテンを開けさせる
お天気を確かめさせる
朝を食べさせる
歯を磨かせて出掛けさせる
朝の空にきみは
いくつの星を見つける
才能を預かったことが
....
身ひとつで悩んでいる
可憐な花が逡巡している
体の調子を整えようか
発信音、着信音
花を喜ぶ顔を見ようか
可憐な花が逡巡している
身ひとつで悩んでいる
疲 ....
おばあちゃんが
広い歩道で立ち止まっている
休んでいる
キャスター付きの買物袋
それに手を預けてじっとしている
ぼくは遅い昼食をとりながら
目が離せないでいる
....
ひまでもないのにひまつぶし
忙しくもないのに忙しいふり
死にたいのに生きのびたくて
ぎりぎりなのに余裕あるふり
星を見て涙するほどでもないのに
夜空には涙みたいなもんが流れた
ひまでも ....
エルミタージュを観にゆく
たくさんのクララたちがいる
そのこころに寄り添える者たちが微笑んでいる
木々が揺れている
デュフィのカーテンが揺れている
絵を観るとはじぶん探し ....
雨好きです
雨があがるように
死んでゆきたいと
うたった詩人は誰だったろう
雨があがるように
死んでゆけたのか
ぼくが死んだら聞いてみよう
雨好きです
....
富士山には白い雪のしわがあった
中腹には芝生のような濃い緑
登山しているひとが
下山しているひとが
こちらを見遣る朝のひととき
富士山には白い雪のしわがあった
太陽と金星と地球が重なり合う
すれ違うとは重なり合うということなんだ
雨の並木道を散歩しながら
緑の薫りを嗅ぎながら
命や無生物たちが歌を歌う
太陽と金星と地球が ....
森のなかにひかりの妖精が住んでいることをアーヤは知っています
見たことはないけれど知っています
森のなかに足を踏み入れると辺りはほの暗くなりました
アーヤはうえを見上げます
木漏れ日がちらちら ....
アーヤは森を眺めるのが大好きでした
森の甘い匂いがアーヤの鼻を撫でています
森のうえでは雲がぐんぐん姿をかえてゆきます
とうとう青空だけをのこして雲は見えなくなりました
森のやわらか色の緑はず ....
小さな花が散れば
ドイツは緑いっしょくになる
Hさんが支配していたころも
それは変わらない
露店に売られた花たちは
(旅人の目は耳になる)
にぎやかな影に歌を歌う
小さな花が散れば
....
ぼくは人類におおきな迷惑をかけている
みんなぼくのことで
月曜日がいやになっている
日曜日がつまらなくなっている
世界でいちばんつらい死にかたがそれなら
ぼくこそそれが相 ....
カートでつぎのホールに向かう
カート道には木漏れ日
森をゆくような気持ちになるのは
ぼくの脳がだまされているからだ
カートには木漏れ日
自然はただ素直に存在している
先週も土曜はゴルフ
....
みどりのあじさい
なにしてる
なんの準備をしているの
ぶあついざわざわ葉っぱっぱ
花が咲いたらだあれも見ない
みどりのあじさい
なにしてる
なんの準備をしているの
数千本のマイクをむ ....
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