風邪でやすんだら
テレビの前にふとんをひきなおし
教育テレビを見つめていた
いちばんお気に入りの番組は
はたらくおじさんだった
あの頃働くのはおじさんだった
な ....
浴衣で待ってて
言えなかった
散歩するため
浴衣で待ってて
愛するひととのすれ違い
こどもの肌に三角の目
暗闇には光などなかった
浴衣で待ってて
....
トントントン
トントントン
カタカタカタ
カタカタカタ
ベリベリベリ
ベリベリベリ
トントントン
トントントン
カタカタカタ
カタカタカタ
....
ベッドサイドの窓ガラスをふく
よくなれよくなれ、そう呟きながら
するとそれは突然
いつも綺麗な景色をありがとう、という呟きに変わっていた
と、その瞬間
まもってくださいまもってください、そん ....
空から町に降りてく
なだらかな住宅地
ところどころ林のモコモコ
人影
意外とない
空から町に降りてく
どすん
とあるパーティーの部屋
おとなしく騒いで
膝をおさえたままキョロキョロ
....
そうか痛いか胸のうち
ひとは過去で今を見る
そうかおまえか
初めて会うのは
あのときぼくは
どんな過去でおまえを
見つめていたんだろう
夏の夜の紙袋
....
熱風が頬を刺す
まだ汗は出ない
背骨が前傾する
まだ息は普通だ
悲しいことを探している
楽しい約束を探している
実現することを
月の満ち欠けを
朝日が昇 ....
おしっこの夢や単位が足らなくて卒業できないというような夢ならよく見る
でもフロイトの考え方は苦手だ
夢をあたかも神からの啓示のように尊重するような考え方が苦手だ
夢をすぐ不安や性的な ....
ぼくがいいって言ってるだけじゃ
足りないという孤独
この孤独は健康な孤独だ
そばにいるよ
嘘じゃないよ
ずっと輝く人生だから
やがて朽ち落ちる花びらは
いのちの最先端で花を咲かせている
....
マイウェイは悲しい歌だ
きょうは起きたり寝たりしていた
そうすることが
脳を含むからだにいいと思った
夕方銭湯ですっきりとしてから
喫茶店できのうの仕事の続きをしている
....
小柳ルミ子のからだは鍛えられていた
体脂肪率もひくそうだ
小柳ルミ子になにを見る
小柳ルミ子をなにで見る
ぼくらは過去で生きている
過去を通して見ているのだ
瀬戸の花嫁を最後に歌った
そ ....
浴衣で散歩
人混みじゃない道を
夏をあるく
秋もあるく
冬もあるく
春も人生も
人混みじゃない道を
浴衣で散歩
頭痛薬をのんで
解放されていた ....
木漏れ日は居所なくして
こぼれた僕のこころ達だ
どこか朗らかで
どこか痛々しい
透明で純粋なこころ達だ
木漏れ日はじっとしない
僕は聞いていた
聞いてください
木漏れ日は居所なくして
....
つかみどころのない
微熱にうかされたみたいな
深刻で他人事のような寓話が
ぼくの星の王子様だ
ちいさい頃読んで
ぶ厚いハードカバーの絵本なのに
絵が白黒だったり ....
それを生きるちからとするのなら
それを歌うことはやめたほうがいい
ふしぎなもので
それは歌われてしまうと
たましいが消えてしまうようだから
たましいのない歌に聞こえてしま ....
苔むした木々は
舐めたくなるような粉緑
抱きしめれば
遠い年月80秒
金星のほうから650万ねんまえ
命の粉を海に降らせて
抱きしめれば
舐めたくなるような粉緑
隆起した海底に
苔む ....
鞍馬を登る
石段を上がる
夏が暑い
木の根っこを歩く
くだりはがたがたの石段
視界は緑
服はびちゃびちゃ
下りきれば川床
川のうえの座敷でひんやり
自然のなかを
からだで移動する ....
鴨川べりの百日紅咲いた道
うす桃色や
あざやか色の赤を咲かせて
木の肌は
おちんちんのような滑らかさ
広くて浅い川床を
透かせて見せて流れ川
音のない煌め ....
緑はひかりを柔らかくする
あなたは僕を柔らかくする
僕はあなたを柔らかくする
緑はひかりを柔らかくする
生姜湯を飲めば風邪が抜ける
足を温めれば血が巡りだす
抱き締め合えば入りたくなる
....
刷りかたが足らないんだ
牛丼が値上げされるくらい
回転寿司が120円になるくらい
だれ抜け駆けすることもなく
利益率はそのまんま
給与が跳ね上がるまで
円安が世界を ....
8月の夜が湿気に
汚れては波止場で吠える
中華街から
仕事に出掛ける女姿
触れたのは埃かぶった
アロエのぐんせい植木鉢
ピアノの連弾
サックスの軽快
....
車窓にうつるのは
素っ頓狂なぼくの顔だった
見つめていると
悲しそうな顔になっていった
町明かりが点々としている
みんなきょうは楽しかったのか
みんななんか成長でき ....
ストロンチウム90が10都県で検出されている
セシウムと比べ微量だと言われていたストロンチウムが、だ
鉄よりも重いから飛散しにくいと言われていたストロンチウムが、だ
半減期は約30年 ....
あなたがのびのびと
楽しくいられるように
ぼくはととのえます
あなたがすこやかに
楽しくいられるように
ぼくは悪になります
あなたがぼくの中で
楽しくいられる ....
貧血がきて目の前が暗くなる
胃のほうに血がとられて
昼メシのあと辛くなっている
ぼくはこのまま
誰かの為に在る
みんな朗らかに楽しかった
みんな朗らかに楽しかっ ....
運転席に座り冷房を浴びながら
北の空の夕焼けをしばらく見つめていた
疲れのあくびに目を濡らしながら
きょうはなんの日だったかと考えていた
北の空が夕焼けに染まっていた
ぼんやりと蒸した夏の ....
シャンパンタワー
ホストたちの掛け合い
急かせる誘惑たち
花火みたいなボトルを
タワーに注いでく
楽しくなれない
いくら涙もろくても
永久の明かりに飢えている
愉快になれない
いく ....
外灯に照らされて
葉のみどり
影
光
救急車の音
風もない夜だった
あなたの声を聞きたかった
からだもたましいも
ただそれだけになっていた
....
船が一隻造られるたび
進水式が行われている
時代が変われど文化が違えど
いまも世界中で
船が一隻造られるたび
進水式が行われている
三好達治の詩を思い出す
海、遠い海よ!と私は紙にした ....
花火は夜空にとどまれない
星のようにはとどまれない
長い時間を見つめれば
星も夜空にとどまれない
地球も宇宙にとどまれない
生まれて消える
それだけなのに
....
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