だれかを信じようとしていた
そんなのは
生きているうちで
いちばんの嘘っぱちだった
愛しているひとに
愛しているよと言うように
愛していないひとに
なんにも言わずにいるように
この世 ....
のどかな黄色いひかりに
白い雲がぱっぱっぱっと
目印のように浮かんでいます
ひかりの圧が緩んでいます
ぼくは指を震わせながら
考えたことを打っています
夏が逝き ....
クーラーのよく効いた車内にいると
景色はもう秋のひかりに満ちていた
ぼくがひとに恵まれているだなんて
たぶんおまえしか言ってくれないよ
失ってはいけない誇りがある
ときどき忘れてしまいそう ....
駅から流れる
家路を辿るひとの群れのなかで
ただ恐かった
人生や血脈が
にほん足でとぼとぼ歩いていた
それが恐くて
点滅する信号を見つめていると
生きてい ....
ポールマッカートニーのように
絆がばらばらになりそうになるのを
ぼくは繋ぎとめようとしていた
だけどぼくは聖人君子ではなくて
ひとにとやかく言う資格などない
取るに足 ....
ぼくは怒鳴らない
暴力をきらう君のために
ぼくは怒鳴らない
怒鳴らないどころか
君の寝顔に
クリームを塗ってあげる
ぱたぱたぱたぱた綺麗にしてから
君の寝顔に ....
息の吸いかたも
息の吐きかたも
忘れてしまった
私は愛しき敗残兵
顔の作りかたも
その戻しかたも
忘れてしまった
夏が逝きます
今度こそ
言葉 ....
この世でいちばん大切なこと
それは親への感謝だと思う
小さい頃どこかへ連れていってもらったとか
育ててくれたとか
そんなことへの感謝ではなくて
それは親への無条件の感謝だ ....
ひとがすべてを運んで来る
花を咲かせるいつかその日に
すべてはあとからついて来る
ひとがすべてを運んで来る
強がったり
じぶんを信じたり
トラックの助手席で
風を受けながら
おまえの ....
羽根をふるわせ
鈴の音をふるわせ
逝く夏を見送る
秋虫が鳴いている
僕のふるえは
なかなか止まずに
いったい何を我慢したのか
僕はふるえる
弱虫が泣いている
羽根をふるわせ
鈴 ....
夏が逝きます
ひとが逝きます
夢が逝きます
逝かないものも
きっとあるさ
ひととひととのつながり
夏が逝きます
ひとが逝きます
夢が逝きます
逝かないものも
きっとあるさ
まずはじぶんを信じるんだ
じぶんのきもちを置いてくるんだ
目的だけは忘れたらだめだから
すべてを信じて生きてゆくんだ
がんばろや、いっしょに
ときにはまっしろになった ....
こんなとき
どうしたらいいのか
こんなこと
どうしたらいいのかもわからないなら
じぶんを信じることの
どうしようもない孤独
信じてくれなんていまさら言えない
....
まっしろになって
朝からまっしろになって
まっくろな言葉が
ばくはつしそうになって
僕は電話をきった
まっしろな朝なのにまっくろだった
世界にそれをばくはつさせ ....
キャンプファイヤーをひとりで囲んだ
ぼくひとりがぐるぐると回っていた
缶ビールをくしゃっとあたりに投げながら
短い夏がゆく
街角の百日紅の花
路地がかがやいている
さわやかな影
めざめ ....
ひかりはぼくらをほどくだろう
影や風がさわってもくれるだろう
そこでぼくらは調整されるだろう
がんばれば逆向きのちからも生まれる
それがぼくらの今いる世界だ
それでもまえ ....
舌のねもとに指を押し当てて吐いた
涙がにじんで鼻水が息を塞いだ
吐くたび便器をティッシュで拭いた
百日紅がさいごの夏だ
ひかりが花を撫でている
路地には影が鮮やかだ
....
雲が湧く
あの水分はかつてどこでなにをしていた
洗顔の水
水溜まりの水
波
せせらぎ
涙
こぼしたジュース
幸福というものもそういったものなのだ
幸福というものも
あの優しさやあた ....
埃っぽい雑駁な田舎の街道脇に
その自動車修理工場はあった
そこには世間的にいえば不幸な人間たちが住んでいた
太陽に照らされ雨には蔭り
風には押し黙り春には綻び
夏にも ....
どんなひかりになにを見つめていたのだろう
彼女をさいごこの世で彩ったひかりたちに
なんどもなんども
ありがとう言いながらぼくは震えている
髪の毛の生えていない頭にかぶってい ....
病室から行方不明になった彼女は
十日後福島県猪苗代湖畔で死体となって見つかった
目の前を木々の葉が揺れている
風がもどかしかった
空には当たり前のように雲と白くかすんだ水色
ぼくはひとのた ....
娘が東京に帰ってしまうと彼女はほとんど裸のままベッドに仰向けになった
そうやっているとスポーツに明け暮れた学生時代味わった失意と蹉跌を思い出した
自分の置かれている立場などいつも練習中見て ....
あなたの発見を
ぼくは言葉にできる
そうやってふたりは積み重ねてきたんだ
ぼくに言葉にしてもらえなかった発見は
これからふたりで暮らす何十年のうちに
一つ一つかならず ....
目のまえのきみを見つめていると
あんなに触れていたことが
夢のなかの出来事のように思えてきた
白磁を帯びたきみは
純潔につつまれて
どこまでもどこまでも美しかった
....
ぼくはひとりが好きだ
それとおなじくらい
ふたりが好きだ
それとおなじくらい
ぼくは喫茶店が好きだ
秋の香りまじる駅に着く
喫茶店にはいる
まだ夏の静かなトイレで
希望を鳴らして
....
いろんな事情があるのだ
いろんな切実があるのだ
賞味期限ぎれの調味料にも
フローリングのペットの毛にも
散らばったコンビニの袋にも
飲みかけの缶ビールにも
やさ ....
オレンジの月が
まっぷたつになって浮かんでいる
はんぶんの月が
悲しくもないのににじんでいる
だからなんだというような景色が
あらわれてはビルに隠れている
子犬 ....
戦争があれば
ひとを殺しに来る夜がある
若さや才能や平凡を踏みにじりに
ついに来たかというような
そんな運命が
想像を超えた化学や感情が
戦争があれば
ひとを ....
ぬるい夜風に吹かれてた
たばこをつける音がする
スーツのしたは汗べとべと
ウォーキングの音もする
電車が遠く聞こえている
汗で髪をなでつける
爪でかたちをつくっ ....
孤独じゃないと感じてる
孤独じゃないと案じてる
二人でぐっすり眠りたい
月あかりだけ浴びながら
青いツラの皮うかんでる
きのうの戦争銀メダル
世界で何位なら満足 ....
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