子どもがしあわせだとうれしい
靴が脱げても 光につつまれて
色騰る
苦い息 濁りだね
風の座は単簡
あれも愛のせい
みんな終わってしまったせい
道はかならず行 ....
苔の声の波
静かでいて濃やかな青
甘い気持ち
森の奥まで
敷きつめ
それから虫たちの唇を寄せる
月が光るのには秘密が
人間時間を過ぎ
円やかなデトリタスになって
落ちるまま
....
家のこんなちっぽけな基を
雪で濯う問い惑
はだしの記憶
石畳が
こんなに冷たいのだったら
杭の水死辺りで丸くなれないか
小魚を誘なう眠り
よその種では
籠に込めた指を
幻に見ると ....
殻を割って現れたピストル
うぶ声ばきゅんばきゅん
弾は持っていなくても
じっとこちらを見つめ
狙い定める本能
貝にはさまれた文
古紙のにおいを纏う
刷り込み済みの姿は
慕情を昏く縁 ....
ほこりひとつほどの穴が
語り始めたという樹木
転がるがそれより痛む
青いリボンに触れる時
手書きの不吉の使者が来る
銀光が告げる時刻
ためた鏡を洗う王
変わる ....
君なのか 魚
遠い背中で
ゆっくり破裂してるのは
君なのか 空
花嫁を舟に列べ
沈むまで漕がせ
溶けるほど雨が打つ
細かな痛み
飽くことなく
雲を刷く夕べ
君なのか
....
そっと触れたフイルム
息を漏らせば
歪むモノクローム
濁りはじめた瞳に
顕れるのだから
風の露光不足
硝子性の画角
色を引き摺る喚声が
割れてしまうのだから
影の自己記録に
....
この雨
歩きたい
傘はいらない
にっこり手をふる籠の中の幼児に
降りかかる
こっそり再会を約束してはやぶり
みわたす限りの氷原は
サティがあたためた
灰いろに溶け出してゆく暗い ....
花をたくさん
飾ってあげて、と
テラコッタを願って積まれた花壇
日暮れを待って水をあげたの
そこに蜂とも蝶々とも感じとれない
まるでニンフの笑顔があったから
水がこぼれて唇に
涙がふ ....
細い角があった
磨かれたひろい螺旋
立つ者の額にも尖る
薄い翼があった
連続する空間への
感情の無理解を愧じる
持ちあがった身が
鳥の群れとなり羽ばたく
指をおった乾いた窓が
....
空がおわる
その日きみと鳥になり
おわった空をわたる
海がおわる
その日きみと貝になり
おわった海をすう
嘘がないことば
或いは
研ぎすまされた嘘か
....
砂が白い
音を立てていた
波の影で
震える仔犬が
静かに遠ざかっていた
あれは 何
人の 喊声
おさない指が
乾いた
甲羅を叩く
何もない空 ....
切られた
薔薇の呪いで
母は今日も泣いていた
くらい瞳
割れた鏡を貼り合わせても
ずれた心が重ならない
みにくい 涙
崩れてしまえ
みんな一度は
消えてし ....
夜がさびしいすすき
街灯の猫はひとり
角のひとりっ児
すれ違う誰かさん
くり抜かれ ひらく月いろ
愛しか知らない
感じる痛みすこし齧る
とじない唇
みがいた歯
繋がる線を 択 ....
ひかりで組まれた思想
田舎の風じゃない
ぼんやりした色の実が
軒先で 欲しそうに回っていた
かたい盛り土 過ぎ避けながら
信号が変わろうとしていた
貴女と交わろうとしていた
勾配を増 ....
枯れきった指が
刻む空
それは非戦の歌
非戦の人が
紡ぐ絲
それは旋律を憂わせ
奪う苦界
争う肉が呼びあう
骨をふたつに裂く石台
互いの傷を
咬みあう
魚
階のいち ....
蟻の宇宙
時が入ったり出たり
木、倒され
葉、しげる
夜の夢
どれも欲しがる児
滲みぬものはない
あがないもない
ただすれ違う
近づかなければ見えない
そして近すぎる
....
ふくらめる レンズ
喉で固まって
何度くちびる、噛んだろう
柔らかい毛片
ほこりかぶる列
奪われたあめ色
ぶつかれる 氷晶
固化する汀
鳥達の円錐
夏は溶けていたかった
タ ....
あわく 枯れた 冬にあって
膨らみはじめる 谷間よ
人をあらう 瞳
透りすぎて 朱い
馬を抱える
少年たちが はだかの背中
食め、春を跳ね
耳と耳とが 内緒する
冬は 響きあえ ....
くちびる 傷つけた
悲劇 風リクエスト
胸の花袋 甘く
眠りに掻きよせ
フィルム焼く
針の短さ 反転し
綴じた無限
欲しさを 感じ
渡した筈 粗い筆
子午線
透明なかざぐる ....
不思議なくらい
なめらかになる
上へ
下へ
游ぐように 及んで
赤へも 青へも
眠るように誘う ご覧
ひかりを畏れない
矮星
今もことばを 発するだろうか
それとも 二度目 ....
赤いゆびに絡まれ
知らないお祭りに行った
ひとつとして確かなものがない
不思議な空間
境内は水いろで甘い
不揃いなお提灯の踏みならす
威勢のよいはっきょい
仔犬の氏子さんに
勧めら ....
腕がぶら下がる
掴まれた体の芯が
逆らって回る
冬が嫌い
南国で
わたし誰の娘でもないから
髪は赤いけど
うまれの何処かも
贈り物
人形でうれしいの
人間でいるよりずっと
瞳 ....
足おと いらない
蛇だもの
瞬きも いらない
貝だもの
鉄砲 わるくない
ゆめは 急にくるしむ
鳩だもの
目ざめて気づく 一瞬は
空がひろがり どことなく狂ってた
声もそ ....
きれいに割れた
躓いたふりして 落とした
なな色の かけら
うやうやし気に横たえ
遠く 投げあげたら
ひとつになれた空
放物線が 静止する
あの一瞬 あのたかまり
かけ ....
こころは 星 なのだ
時を遣い おのずとひかる
ひとつひとつ あちらこちら
読みきれないくらい とおい
真空にくるまれ
凍えまいと
焚べる うちがわの火
それも ずっと離れてみた ....
額が熱い
すこしぼんやりして歩き
誰にも伝染してはならぬと
手の甲に大書
ひとりで出来る仕事を過ごした
家に帰る
白い息が
生き物みたいに消えて
扉の中へ
黙ってキスして
水鳥 ....
しゃぼん 君の中に
虹をうむ 誰かが透明よ
かおる緑 泡が見つめあう
張りを 失わないで
弾けて 色あざ
君と想う しゃぼん
まき戻さないまま
触れるだけ 割れてしまうなら
....
あなたは いなかった
夕ぐれに いなかった
いつもの 待ち合わせの
影は幻を ゆっくりと曳き
わたしは 影と影をくまなく探した
あなたは いなかった
人ごみに いなかった
わたしは ....
ゆきが おちてくる
海がひろく
不思議な 音をたてていた
灰いろの山と 横たわると
風にも 鳥にも 色いろあると分かる
やさしくしたい けれど
今のぼくには できない
ゆ ....
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