窓に触れたグラス
あたたかい湯気は
あまいかおりにみちて
ふるい指のあとだけ
けぶれずいました
扉の向こうはいつも雪
雪がじまんの町だから
子どもらはいつも元気で
....
雨がふっている
雨がふると
星が丸いな と思う
水は火になれ
力にもなれ
私もまた
雨がふっている
雨がふると
心が濡れた と思う
水にお ....
ことばが増えていた
ことばを手に入れた
たまに 点検するじゃないですか
ことばを隠す
個人的な理由や理解が濁ってく中で
だって あんなに仲良かった語句が突然禁句
そんな そんな横やりや ....
自分が 今
何を 話しているのか分らない
どんな顔をして
すこしづつ
すこしづつ積みあげてきたものを
何故つき崩す必要があるのか
私は怒っていた
泡がぶくぶくと脹 ....
欠けた器の思い出
揺れるしっぽの影
欄干がつかむ 空を見れば
交すことばだけ難しく
雲も 風も
どれもめずらしく
川面めがけて 飛び立てた
君と回転した
夏はいく ....
シャッターを落とす
あのざっくりとした硬さ
断ち切り目に
憧れた子ども
これっきり然とした震撼も
つかの間フイルムを失うと
空間に倣う
一度きりのはずの人生で
く ....
サーカスが 人を見ている
見られる花は 全て疑問符
魅入られた弾丸 つと笑う
笑う 想いを、誰も嬉しいとしてくれない
違う 幻想しちゃう 衆人環視
引きずれ 痛み 鮮やかに保つ
よく見 ....
打ち明けられた秘密は
どうするだろう?
やっぱり落ちるだろう
どこへ?
どうして?
何も分らない感情になって落ちる
落ちながら
冷えるだろう
冷えて固まるだろ ....
はじめ 波に生まれた感情
つのり 膜をゆっくり震わせた
音は 太古の海を あたためるような
音楽となり いのちを紡ぐ
例えばそう
ひかがみ、おとがい 耳朶 耳穴
それら座標が 定めにく ....
華のかたちをしている石だ
強く 耳を押しあて
囁きが澄む
落ちる礫が
空を また坂のぼる
長い物語だもの、幼魚だと
思っていたこの身体も
つかの間 魚に成って
....
ひとりで
星を見る
水を湛えた
ナウマン象の足あとに
両ひざを抱え
転がした
身体を透り抜けながら
ひとりで見る
星のひかりよ
むき出しの
大理石 ....
わたし しばらく 営業なんかしてて
むかしと、過去と
連絡できなくなっちゃって
見失っていたから
もっと必死になってた
何が要るのかも 分らないまま
だから 今も あの頃と ちっとも変 ....
その人は 軀がうすく
流れをまとい あたたかくして
偶然まとまった
誠実な想いや 花のかおりなど
求めなかった
誰にもひらかない
固くひき結んだ 白い口を
譲らなかった
遠ざ ....
壊れた時計を
見えない
誰かが動かしていて
磨かれた姿を
にせた貝殻
月に凪ぎ 水辺に浮かぶ
街ですれ違う
あの娘と似た服がきらい
掴んだ鋏を布にすべらし
回転する午後は
苺硝 ....
風は 白い 影を曳き
瞳は 蒼い 雨を揺らす
何も食べず
総て与えず
ひとつづつ奪わない
衝動は
気づかぬうちに偽ると
息でも傷つけ
あたたかいのに
不安で悩ましい
心には ....
出立は二十一時零八分
塩のために歩く
明くる十二時四十三分
塩のために命を失わないよう歩く
扉のすき間から一条を頂く
それに拠ると本日未明
私は既に虚しかったそうだから
....
私はもっと
だい好きなぬいぐるみの眷属を
掬いたいと希った
草場に印した手形
乳児の横顔 綴りながら
吊り革ぷらり
四股てっぽう
思うが 存分 炙り返しながら
虫を好きになったり
....
美しいもの
今 光のなか
美しくなる夕べ
風の川に
鳥も 花もあって
私もゆっくり
とけてゆく
とけた私を見ると
どうしても 幾つかの
悪くて ....
感情を一瞬も与えなく
隙間に開かれて
水と繊維から結晶した
軽快な断ち味を口々に
台布から取り払う
無意味でいるのが好きだから
ふたり沈む 湖
郊外の拡がり
それでも
退 ....
ふたり
ふたりにしか
出来ないことをしよう
ふたりきりで 話そう
もしも 意味が違っても
見つかるのを 一緒に探そう
*
ここでしゃがんで
....
好きな ことばは
大好き
まだ愛になる前の
ちいさなぬくみ
嫌いな ことばは
正義
瞬きもせず
殴る 力の跡形
嫌だ 嫌だ
やめてって言っ ....
空と壁、画布と壁の関係は
デッサンの向こう側にある
あったと思う
手ざわりがした
もう、海は。これでいいと
朝方に眠りきれず
続く未来が光の形をとって
泡々と今になる
脳色 ....
いつか壁は
壁でなくなってしまえる
いつか
柔らかなひびが
全て覆いつくし
手ざわりをなくしてしまえる
あなたという冗句が
絖りの奥で枯れると
限られた視界は
縫目のない夜服 ....
進化し続けられる短期間を
知る 積もる
時には或問を内蔵し
分裂しながらも
明るく前向き
行って きました
鏡を割り硝子を見る
光るシャーレに載せ
腕から腕へと渡 ....
君は 名前だったよね
ちがうと言った 名後、って何度も
前じゃない。後、済んでるの
ある日突然ゆりかごの光がベランダの向こうを歪めていたから
それが空と胎盤の混淆と知ったのは最近なの、だか ....
とても大きな
わたしを引き寄せる力
胸が苦しくなっても求めた
果物の芯と愉しみを並べ
羽翼のむくろで憐れみを繋ぐ
意思が現す 作りものとして
中身を 刻み続けた
次第に吸い ....
まぶたの裡に 月をおさめ
人は目ざめる
自己の嵩に 食べられながら
胸の端に 散らす花
祈りは いつも途中で待つ
雨を迎えに 降りつかえる
命のジグソーパズル
無 ....
上手に傘が開けたよ
長靴ぬらさなかった
ふかく巻かれるこびとのささぶね
そろそろ川があふれ出しそう
(こんな雨の日はやさしい)
舌を使って
どっちの蛙を乗せようか ....
おおきくあける
お口にはいる
いちばん おひさま
ぽかぽか じんじん
あったかい
にばんめ おはな
くんくん ふわふわ
いいにおい
さんばん ことり
....
覚えている はっきりと
思い出のおまる
ちっこいをする
母の やわらかな胸に
取り上げられた朝
冷たくひろがる 氷穴を指し
今日から これが
あなたの 新しい・・ ....
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