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『ばがでが』
田舎じゃ入って二年の
高校生が 子を孕み
どうする事も出来ずに
協会病院へ行ったと
子供堕ろして平気の平左
不審に思って病院が問い合わせて
....
愛の言葉を探しながら
一晩かけて手紙を書いて
十四日の朝お菓子屋さんで
高そうに見えるチョコ買って
手紙を添えて綺麗に包んで
そっと鞄の中に入れ
授業中も上の空
早く放課後と待ち ....
『らんらんらん』
巷は裸の写真で満ち溢れ
写真の女は媚びを売る
世の男共をヤル気にさせて
揚げ句の果てにはSM雑誌
映画館でもぼかしだらけの桃色映画
映画や写真に飽きた者
....
からっぽの心を手土産に家へ向かって歩く
雪がふわぁっていっぱい降って
皆と一緒に居たかった
ふと降っていたのが
ちぎれた雲なのに気がついた
日の当たる場所に座って
帽子を深く被って ....
黄金色した木の葉が欲しい僕は
風に頼んでまだ離れたがらない葉を
無理やり取ってもらうんです
暖かなお日様の光をいっぱいに浴びて
草原に無造作に寝転んだ僕の下の草は死んだ
風の ....
これから始まる学芸会
ゆっくり幕が開きはじめ
可愛いあの娘はお姫様
憎いアイツが王子様
僕は一人で暴れ出し
舞台の裏では大騒ぎ
王子と姫は手を取り合って
舞台の上では ....
バックミラーとサイドミラーで
後方を確認し
イザ ウインカーをあげ
片側二車線の道路でUターン
…のはずだったのだが
判らなかった
後方からハイエースワゴンが
直進していることを ....
『沢村忠、知ってるか
「キックの鬼」で
漫画にもなったんだけどな』
『俺もキックボクサーだったんだけど
ブームが去ってしまって
試合も組まなくなったから
地元に帰ってきて
トラックの ....
ボクが独身だった頃
「夫婦円満の秘訣は、
一緒にお風呂に入ることだよ。」と
柔道五段の副園長が
教えてくれた
結婚したら
二人で一緒に
お風呂に入れるんだ
独身のボクは
その ....
精神科病院で往診の依頼がある時
外来診療で終わる場合は
外来の看護師が医師に同行し
入院が必要と思われる時には
病棟の看護師が同行していた
救急車を運転する職員と併せると
往診は三名で ....
『畜生の分際で、人間はおろか、この閻魔さえ、騙そうとするとは不届き千万っ!申し開きなんぞ、聞く耳、持たぬわっ!』
浄玻璃の鏡に、生きていた頃の姿が映し出されても、与一はムシロの上に座ったまま、うな ....
あの時
死んでくれていたらねぇ
深い溜息の後に
小さく呟いたアナタは
あの時
命だけでも救って下さい
確かにそう言った
あれから六年の歳月が流れ
あの時三歳だったこの子 ....
すぼまっている
ボクの感覚世界
知らない単語が
増えて
聞いたこともない
言葉に怯え
何でも
悪い方に考える君は
いつも
危機感をボクに告げる
いい加減ウンザリして
....
鬼と云えば、赤色か青色と相場が決まっていると言うのに。
何だ、この鬼は。
汚い灰色をして…。
それに、虎の褌も穿かないで、熊の毛皮を頭からすっぽり被っているなんて。
うすのろで、間の抜 ....
屏風山のずっと奥深い所に純白の峰があった。
その「せせらぎの峰」の頂上に立てば、この世の果てまで眺められ、全てを知ることができると云う、言い伝えまでがある。
しかし、頂上はいつも、雲に隠れていて、 ....
寂しい夜は盛り場に出て
物憂げな顔の女を抱いた
日銭を稼ぎ働く俺は
憧れだけで故郷を捨てた
ふるさと遠く流離う俺は
帰る当てなく安酒あおり
名前も知らぬ住まいも知らぬ
行きずり ....
ビルの立ち並ぶ大きな町の貧しい裏通りに、子どもが大好きで、子どもを前にしては、得にも損にもならない夢を、細い眼をしながら語る、おじいさんが住んでいました。
一日の働きによって、暮らしぶりが左右される ....
小雪と雪穂
今、リカちゃんの
着せかえ人形にハマってて
何だか
着替えをさせたりするのが
面白いみたいなんだよねぇ
爺婆にオネダリすれば
買って貰えるとでも
孫に教育したいのだろう ....
小雪は自転車の補助輪を取って
乗れるように練習してるのに
雪穂が自分の三輪車じゃなくて
おねぇちゃんの自転車に乗りたいって言って
小雪よりも先に補助輪無しで
自転車に乗れるようになったさ。
....
娘が言う
「来年小雪は、小学校入学なんだけど
ランドセルって高いんだよねぇ。」
そんな言い方で
爺婆に自分の娘のランドセルを
買わそうって魂胆に呆れながら
隣町のリサイクルショップで
....
1999年1月号の「月刊ナーシング」で
[特集] パワーアップする看護士たち
病気か障害か,医療であるのか
福祉なのかということ
~分裂圏メンバーへの
新たなアプローチと
看護業務に関 ....
紫陽花の花が秋桜に恋をしました。
いつかその純粋な想いを伝えて、
一緒になる事を夢見ておりました。
そうして紫陽花は、
その想いを、日に日に募らせて行きました。
しかし、ある時、風がささやき ....
限られた窓枠の硝子越しに、月を眺めるのが好きな道化人形。
箪笥の上に置かれっ放し。
ほこりにまみれて色褪せた笑い人形。
箪笥の上に置かれっ放し。
話し相手も居ない、随分前からのひとりぽっち。
....
村はずれの一本道に、その街燈は立っておりました。
北風と雪にさらされ、寂しく立っておりました。
ある青白く凍える晩に、月が雲の陰から顔を出して
「寂しいか。」と言いました。
街燈は、雪の下 ....
西中学校の数学の先生が
江田先生だった
特攻隊の
生き残りっていう噂があって
トヨタのパブリカに乗って
丘の上の校舎に向かう
前屈みになって
ブルドックみたいな顔で
ハンドルを ....
貧乏村からちっとばかりの山深いところ。
いつの頃からか棲み始めた鬼。
棲むのも当たり前
そこは、大きな声では言えないが姥捨て山。
昼間のうちに、一人捨てると、その晩は、耳ざとければ、はっき ....
朝顔が知らないうちに、つるを出していたので、竹の添え木をつけてあげました。
その晩のことです―――
朝顔は、とっても人見知りの恥ずかしがり屋なのに、竹は、とっても明るく朗らかでした。
「 ....
整形外科病院に
通っていた妻は
「体の彼方此方が
痛むけど
原因不明なのよ。」と
処方されていた薬を
服みながら言う
痛み止めが
すぐ無くなると言うので
ボクが
処方されていた ....
「何十代も続いた家も沼の底になるのかのぅ。」
爺が、鼻水すすって呟いた。
平野(ひらの)の村は、毎年夏に氾濫するぬらくら川のせいで、田畑はびっしょり。
収穫のあがらずの貧乏村…
村長は ....
倶知安イモの本場 倶知安イモの本場
十勝平野で採るイモも ニセコ山麓で採るイモも
イモに変わりは無いじゃなし 茹でて食べればみな同じ
倶知安イモの本場 倶知安イモの本場
男爵 紅丸 キタ ....
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