金色の土地までまだはるか未来
自転車が進むスピードで横切る
山の光は山を越えはしなかった
思慕は今コンクリートに座る


高校はすでに廃校が決まっていた
最後の公演を近隣の材木屋に申し込 ....
 六月の初め、いつもよりもやるせない思いが募る。五月の大型連休中に帰省できなかったからかもしれない。地に根を張って生きることは難しい。上京して四年が過ぎた。未だ故郷に根の端を置いてきたように思える。そ .... かつて訪れた道は高架橋下、新国道へ続く。
記憶は、花を求めない。耕された田畑も求めなかった。
土地が深い眠りについていた二月の終わりだった。

乾いていた用水路には、水が流されている。
断片 ....
世界を足し算した同級生に子供が生まれた。
空という名前をつけた長男に対して、海という名前をもらえなかった次男

<今だって世界を足し算しているはずなのに>

空の果ての果てまで行くには、
 ....
雨が降ってきたようだ。
誰もが、傘を差している。
ぎらついた欲望で財布を握り締めている。

 君の見つめた世界は、
  ショッピングモールで安物を売ることしか出来なくなってしまった。
 集 ....
街を歩く人たちの話し声や、靴の音
何か分からない音、無言の音
音という音が一緒になっているんだ、と雑音は語りかける

 目に映る街がチカチカしてのだ
 雑音に苛立つばかりではない
 真昼だ ....
絵里子は石垣に崩れ落ちた。
街は皆殺しにされた。
絵里子は落ちた。

愛もまた、絵里子と同じだ。
攻め立てられ、落ちた。

愛も、絵里子も同じだ。
唐突に攻められ、驚きとともに、
 ....
{引用=七つ森のこつちのひとつが
水の中よりもっと明るく
そしてたいへん巨きいのに
わたくしはでこぼこ凍ったみちをふみ
このでこぼこの雪をふみ
向ふの縮れた亜鉛の雲へ
陰気な郵便脚夫のやう ....
地下鉄に住み着いた雉は
夕暮れの人ごみに混じる
500ページを越える雑誌の角にとまり
まだ見ぬ乗客を待っている

スーツ姿の男女が流れ込む停車駅で
誰も気にとめるものはいなかった。
誰も ....
テーブルから見るベランダに、橙に光る高速道路の景色はあった

白く、薄い、カーテンから透ける橙の光は、
いつもと変わらない部屋の景色に過ぎず、
光は、誰彼構わずに欲求を抱かせる原因だった

 ....
団地の屋上が、高架橋の上から見えた。冬ばれの日、快い風が背後から吹く。
高架橋は、かつての国道と今の国道をつなぐために、小高い丘を下る。
周囲に広がる田畑は、春にそなえて眠ったままだ。

くわ ....
 会社帰りに友人の店へ飲みに行った。8時を過ぎたあたり。20席くらいの店内に、お客さんは1組だけだった。身長の高いこの店のオーナーは、扉を開けた瞬間、ちょっと久しぶりだね、と言う。ちょっとだけ、久しぶ .... 地下鉄の暗い窓越しに、目を瞑ったと、音楽が聞こえた。

確かに、聞いていたはずの音楽が、より一層聞こえた。
聞こえる音楽の間で、さらにに目を瞑った。
音は、見えなかった。顔に刻まれつつある額の ....
四番目の人。

体の意味を求める人たちの群れ。
けれど、二人は違った。
空間に張り詰めたグリッドを使う。
空間のエッジ。表面の張り詰めた2次元。
舞台に描かれたグリット、彼女たちは平面図で ....
 ぽっつりと。
 水面に輪ができた。

 ゆれる、空をまたいでいった。

  空は青かったか?
  地上は寒かったか?

 それよりも、
 揺れた空が端っこで、
 境界線を描いてい ....
飯田橋の歩道橋を歩いていた。
風が乾いている。透き通るように冷たかった。

車の音や、人の声が雑多な音となって歩道橋を揺らした。
青い空が遠くまで続いていた。

冬は晴れているのか、と思う ....
改札で切符を受け取る駅員。
雪崩れ込む乗客たちの数は10数名程度だった。一時の激しさが、その後の駅の静けさを運んできているように思える。
立ち去る人、駅のベンチに座り込む人、それらの人々を駅員は眺 ....
 国鳥である雉は、一般的に「ケンケン」と鳴くといわれる。平地のような開けた場所に巣を構える。夜は木の上で眠る。雄の体長は80センチ。メスは50センチ。茶褐色の羽に白い斑点がある。しかし記憶の雉は、深い .... 蛍光灯で白く照らされた車内。対峙して座る女性は、淡いベージュのパンツを履いていた。
手には黒いハンドバックを握り締める。

彼女の裡には激しい恋慕があった。
その激しさを恐れる彼女は、淡いベー ....
川沿いの草むらで雉は鳴いた。
陰りが重なり、闇をつくる。
雉の、高く鋭い声は、空に放たれ、分解を拒み、残音となって、
空を揺らした。

 田舎の盆祭りは、太鼓の音が宙に浮く。
 人々は、太 ....
すし屋でアルバイトをしていた。
どこで働こうとトイレ掃除は、死神みたいについてきた。

蛍光灯が白く照らしている。
水で洗った雑巾。握った肌色の手、二個。

あ、そうだ、と、
決定的な預 ....
県庁所在地から車で十分、
ガスと電気が設備されたマンションに住んでいる。
子供はまだいないが、二人くらいは、と考えている。
電線の張り巡らされた郊外の一室で。

進化は未来を追い詰める。
 ....
静かな声だった。

車掌が、停車駅の名を告げる。

窮屈な座席にうずくまる乗客者たち。

切符を無くさないようにポケットに入れた。

朝日が通り過すのを見送っている。

眠気は、脳 ....
夜遅くなると、信号の光は点滅をはじめる。このあたりは極端に人通りが少ない。点滅するわずかな光は、田の上に舞う闇を追い払えずにいた。道路わきに点在する街灯も、闇の支配にされるがままであった。
自転車に ....
光がともされた舞台。観客たちの視線が集まる。
ブザー音。スポットライト。ここから始まるのだと、わかる。
それから、会場は急激に静止する。

 公衆トイレで順番を待っていた。
 脚を引きずる老 ....
 崖のふちに立ち、足の下を眺めた。吹いてもいない風が、体を崖の下へ突き落とそうとする。思わず後方へ重心を移動させる。視界が、下から上へと上がる。そこには青く透明な空があった。

 大学時代の友人が ....
 東京に上京してから、全く耳にする機会がなかった蛙の声を、出張に行った帰りに聞いた。それは、東北だったか、広島だったか。どちらだったかは覚えていない。
 その時、急に鳴きはじめたわけでもない蛙の声が ....
参加賞として配られた500mlのお茶を傍らに。
1200円のバトミントンラケットと、100円のバトミントンラケットで
下北沢の小さな公園を占拠する。
小さな子供と犬はたくさんいたし、恋人と思しき ....
国際的なホテルの前には、立派なスーツを着たベルボーイが立っていた。
駐車場から出る車の警告音が鳴らされる。
人々は、まだ見ぬ車の姿におびえ、左右どちらかに少しばかり、ずれる。

大きな旗と、大 ....
昼時とはいえ、冬だというのに大変な暖かさだった。
コンビニエンスストアで買った500円未満の弁当を手に持って、ベンチに腰を下ろす。
さすがに、風が吹けば体は凍える。冷たい空気は固まっている。

 ....
ブライアン(133)
タイトル カテゴリ Point 日付
桃源郷自由詩0*08/6/21 13:52
飲食店の席で散文(批評 ...008/6/8 0:12
三井、高架橋、下自由詩1*08/5/24 13:44
もう誰のものでもない自由詩2*08/5/8 23:55
「諸君、この国は最悪だ」自由詩2+*08/5/5 14:59
効果音とともにある逆さ爪のような傷自由詩1*08/4/24 22:49
華南自由詩0*08/4/20 15:28
屈折率散文(批評 ...0+*08/4/19 13:25
雉は鳴かない自由詩0*08/4/12 23:51
ベランダの橙に光る高速道路を自由詩1*08/3/28 13:30
二月の終わり自由詩2*08/3/15 10:33
延長戦と境界線散文(批評 ...1*08/3/7 15:10
地下鉄と音楽自由詩3*08/2/16 18:16
空間の平面図自由詩0*08/2/4 13:17
雨の後自由詩6*08/1/19 16:43
西高東低の冬自由詩4*07/12/1 13:58
音の鳴る、風の吹く自由詩0*07/10/20 11:39
散文(批評 ...007/9/26 13:38
地下鉄自由詩1*07/9/26 12:13
盆祭りのあたり自由詩0*07/8/11 19:07
大学時代自由詩0*07/7/9 16:39
宣言の声を聞いた自由詩2*07/5/30 14:50
夜行電車の座席自由詩0*07/5/24 23:54
思想と思想のはざまにあると自由詩1*07/5/18 13:48
頂点自由詩1*07/4/7 19:42
ダニエルは飛び込んだ!散文(批評 ...1*07/3/31 15:53
蛙声散文(批評 ...3*07/3/17 20:25
下北沢バトミントンクラブ自由詩2*07/3/8 12:26
無視する声自由詩1*07/2/28 11:51
”間”を失う人類を、助け出そうと温暖化は進む自由詩1*07/2/3 19:49

Home 戻る 最新へ 次へ
1 2 3 4 5 
0.1sec.