ときどき 空のどこか
こわれて
おちてくる かけら
あたまに
突きたて 笑ってみる
月のおもてを みがけば
砂のうえの あしあとを
ふきとばす風に
あらがって 花が
とめどもなく咲く
ひとの領分で ないものが
ふりつもる
夢のなかに めざめて
いつまでもいつまでも
砂を かき出している
戦中戦後の「マチネポエティク」から現代の「中庭詩集」までの定型詩の試みは、口語自由詩のとめどない散文化への警鐘であった。それは個々の作品うんぬんよりも、饒舌冗漫でいつ果てるともない詩法へのあてつけとし ....
少年少女たちが つどって
いっせいに 深呼吸をする
青空に 結節性陰影もなく
きよらかで わたしには
死ぬほどの 毒である
いたいとき くやしいとき
かなしいときの なみだを
のこらず 如雨露にうけて
ともだちの 庭という庭で
しあわせの 花を育てます
●関連作品
ガーデニングの話→ http:/ ....
やぶれたおもいの
かけらがわさわさ
うごめく交差点を
虹のように
跨いでいる
クレープを たべながら
女の子たちが へらへら
そよかぜに とばされている
男の子たちは ぼろぼろ
あるきながら こわれている
夜が ひろがり
のばしきった 手のさきに
星をつける
道から はずれたひとが
砂に ぬかずいている
よっぱらって は
みがき しないで
ねてしまった し
かくの わすれた
こんやも やばい
もっと言葉に まみれよう
ぼくらは いのちが
水から うまれた道を
混沌と清純をつらぬいて
原初の呼吸まで さかのぼる魚です
奥さん 塩ふいてますよ
台所に立つ妻の あらわな肩を
愛情表現のつもりで ぺろり
なめたら いやというほど
ぶん なぐられた
天分のまずしさを
逆さに かかえて
ぼくは たまゆらの
ゆめの 背理から
つばさもなく飛ぶ
手作業が大事です
自分との戦いです
バーストしたあとの
むなしさのたびに
大人になります
となりに座っても よろしいですか
わたしの喪失は たぶん
あなたほどではないのに
あつかましいお願いですが いっしょに
すこし泣いてくださいませんか
みてよ みてよ
わたしのこと
って ものほしげな
おはなにも ちゃんと
みずを やってますか
あたし せかいの
ひとかけらで
あるはずなのに
どこにも はまらないの
なんにも はらまないの
えーとね 虹の厨房の
パンの耳 それから
金色のソネット酒 そして
メインディッシュは
恋人たちの包み焼き
みんなはやく おとなに
なろうね なぜって
こどものころは だれでも
ひとことで せかいをほろぼす
ことばを しっているから
もみしだきたい こねくり
まわしたい かおを
うずめてみたい
おなかいっぱい すいあげたら
おとなになるまで ねむりたい
おとこの乳首はさみしい ふたつの
わすれられた 夢のあわいに
ひらかれる とおい戦線
それを おんなの指が
不思議そうに つまむ
しあわせを きみとかわした
約束の 小指ほどの
大きさの こびとが
うじゃうじゃ わいて
ぼくを 責めるのだった
遠くばかり みていると
いまを みうしなってしまうけど
遠くをみてないと じぶんを
うしなってしまうから
いつでも星を さがしているんだ
ただよって ふかく
抱かれて ひろがり
水となって しかし
すべてを忘れ 風の
かなたで あふれる
なにも言わずに
雲をしぼっては
しずくを たらしてくれた
みずいろの影が
塔のように たっている
こわれるまで かかねば
ならぬ いいわけもなく
ひたすら くちびるかんで
わたしの わたしが
ほんとうに なくなるまで
その舌の根の
乾かぬうちに
あやしく
くるしく
はじまる わたし
きよらかな恥辱を
浪費して
おしまいに
わたしよ わたし
薔薇と咲け
あこがれて あきらめて
うちひしがれて 汚れた
たましいを つきることなく
あらって あかぎれになった
おかあさんの手に 接吻してもよろしいですか
序列と権威から遠く
(そうであることが必要だった)
ぼくは夢の ドミノたおしの黒幕を
暗殺するため たったひとつの武器である
ことばを 自分自身へ向けたのであった
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