地球をおおう大木に生るひとつの実としてのわたしは
わたしは?
わたしは
何を言おうとしたの?
地球をおおう大木に生るひとつの実
とはつぶやかれたので脳に録音されていた
それより ....
土星をめぐる氷に乗って
電車の中吊り見るように
星々を眺める
あの青いのが地球だね
とあなたが指さした
氷の中に一匹の虫
琥珀に囚われたよう
土星に住んでたの
なぜここにいるの
....
ゼウスが来た
ある暑い昼に
いきなり
雷霆ふりかざして
洗濯物を取り込め
自転車にカバーかけろ
ゼウスが過ぎ去った
何事もなかったかのように
アポロン呼んで
ゼウ ....
雨がやまない。青い砂にしみこんでいく。砂
漠の雨は一滴ずつ降る。砂の青は一粒ずつ深
まるばかり。
雨粒は壷にもたまる、そして壷のなかで波に
なる。粒でもあり波でもある光の雨。ぼくは
壷を ....
あなたは私の胎から出て
次にはベビーベッドから
そして部屋から出た
いずれ
家から
町から
島から
国から
そしてついには世から出るとき
私はどこで
あなたを迎えるんだろう
どこまでいっても青い大地。砂漠だと思った
ら海だった。ぼくの生まれた場所では、砂漠
は青く光っていたから。夜が砂漠に寝そべっ
ている。ぼくもいっしょに寝そべった。
海とはいっしょに寝そべれ ....
掃除夫は掃除する
私は挨拶しない
掃除夫はいなかった
私はいなかった
私はどこにもいなかった
掃除夫もどこにもいなかった
私はしばらくして
掃除夫の存在を消してしまったことを恥じ
なん ....
夜を歩く
私だけの時間
これが、私だけのものじゃない時間とつながらない
本当に私だけの時間だったなら
なんて
むなしいものだったろう
ねえ
やぶさめってなに
お馬に乗った人が
走ってるお馬の上から
矢をね
ピューッと射るものよ
やが
ピューッてとんだらさ
あなぼこあくんじゃないの
開いちゃうかもしれない ....
動機もなく、引きずられるがまま
私は石炭を積んで走った。
雨に悲鳴がこだましたかと思えば、
機関車にたちまちかき消される。
私は引きずられるがまま、
声の抹殺に手を貸している。
....
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