飲み込んではいけないから
ぼくは赤子からおしゃぶりを取り上げ
玩具もどこかに隠してあげた

怪我をしてはいけないから
ぼくは公園の遊具を取り外し
遊戯を可能なかぎり限定した

不快を示 ....
 結局は何をやってもだめでここに戻ってきてしまう、というのが口癖の少年は、ぶらりぶらりと彼の前を歩いているあの貧相な犬のことを考えている。骨が皮を通して見えるほど痩せこけて、どうしてあそこまで渇いてい .... 救いあれ 救いあれ
放埓にさんざめく声を抱いて
孤児は野に追い出され
弧を描いては石を投げられた

掬いあれ 掬いあれ
韜晦に失笑で返し
道化師はサーカスで独り
ブランコの漕ぎ手を待っ ....
 戦争を知らない。
ぼくらは戦争を知らない、と、いいえるのだろうか?
「イラク」とか「サマワ」とか「アフガニスタン」とか
いろいろな地域の言葉がテレビに映っていたけれども
さっぱり判らなかった ....
  くに に さかい が ありました
 おそら に いる こども の てんし は なきました
 もう だいち に きず を つけないで、と。
 かれ の ちちおや が やってきて
 もう おわ ....
檻がそこにある
蝿が飛んでいる
空飛ぶ鳥の鳴き
 声が聞こえる

ただ粛々と
檻の中でボールが跳ねる
アルカイックの微笑が宿る前に
仏像は破壊された

夜は
黎明は
檻の中で泣 ....
ラッコが羅針盤を片手に
ふらふら波間に漂っている
漣のか弱い腕に
引っ張られたりしながらも

そのうち皮膚が乾いてきて
またぞろ海に潜りはするが
寒くて浮上し日に当たる

高い波が来 ....
彼は終わったことを知らない
彼は終わったことを知らない
だから裸足で駆け回る
放蕩息子の気軽さで
幼年時代の無邪気さで
気ままに主役を演じきる

彼は終わりを知らない
彼は終わりを知ら ....
午睡のさなかにある子らの
頬に翳る
おだやかな昼下がり
行進
 行進
行進
  行進
チェシャ猫は唇に
笑い笑い笑い
チェスゲームは再開
矛と盾が衝きあう
伽藍に響く泣き声
祝 ....
 言葉は音を伴う。
ちいさな音は大きな音に呑み込まれて、ちいさな言葉は擂り潰されてしまう。
耳を澄まさなければ聞こえない、そのような叫びがあるのだ。
大音声のなかで生きるしかない世紀に、沈黙は余 ....
「もしも」という留保抜きで神話を語られても
困るんだよね、大きくないからさ
“測ったこともないくせに”というかもしれないけれど
測りようもないものはたくさんあるンさ
だって、あの巨人を何メート ....
ありふれた名前だ
意味の篭もっている
どうしようも改竄されない
ありふれた名前

ぼくは「きみ」という名で
呼ばれていた
あの頃に帰りたい

ぼくはすでにして
「きみ」という名では ....
 アンソニーは彼の娘が物心つくまえに亡くなってしまった。奥さんのエリザベトさんは、悲嘆に暮れながらも、娘の前では気丈に振る舞っていた。
 ぼくは、酒場「ウ・カリハ」で紹興酒を呑みながら、エリザベトさ ....
混乱は和解の一合目
すらりとした刀身に
甘い囁きがふうわり
ふわりと泣きかける
騎士が戦火を駆けて
いる最中だというに
九段下の王様たちは
一人を決めるために
ちーけったで遊び、
グ ....
ぼくの家はアンソニーの家の
となりのとなりにある
掘っ建て小屋にしか見えない
ソレだけれど、
アンソニーは気に入ったようで
よく遊びにくる

アンソニーは旅行が好きで
宮城県仙台市*に ....
 「しっかりするのは、むずかしい。」

と、シェリル・クロウの
「Hard to make a stand.」という曲中で
連呼されていた。数年前に聴いてから、
久しく忘れていた言葉だ。
 ....
冑(かぶと)を脱いだ騎士に
掛けられる言葉はただひとつ
おまえがなぜここにいる?

チェブラーシカ*
は、みかん箱から出てきて
友達を探す、あのぼろぼろの風体で

手萎え足萎えのばった ....
きじがなくとうたれるけれど
うぐいすないてもうたれない
はてさてなぜなのでしょうか

「人間が食うからじゃないか」

もはんかいとうをありがとう
でもはずれですちがいますよ
わたしがう ....
なぜ犬のやつらは鎖で繋がれているときは吠えて
散歩に連れられているときは吠えないのだろう?
と言ったあなたは布団の中では悪夢にうなされて
部屋の外では快活に過ごせる哀れな狗でしたね。
わたした ....
鍬が土を耕す音が どこかから聴こえる
(ざっくざく) (ざっく)
長靴が玄関に放って置かれている
雲雀はもう鳴かない
当て所もなくさまようだけが
僕らの権利になる日が近い と
ふらついたヒ ....
 〈忘却〉について考える。それは、歴史を見つめることから始まる。そこで問われるのは、歴史とは何か、ということでもある。歴史とは死と生の連続である、と私は考えている。戦争の結果も、科学的発展の足跡も、偉 .... 大きな碇を繋ぐ鎖が海の中
ゆうらゆうらと、たゆたう
船はその上に浮かび
波のまにまに揺れている
そんなところで何をしている
汝(なれ)はなぜ海神の加護を信じぬ
問いは鎖はぶつりと切って
 ....
三つの起き上がり小法師があった。
暇だったので、だいたいこうかなと
「みっちゃん」
「よっちゃん」
「いっちゃん」
と、愛称のような名前をつけた。
とたんに、起き上がれなくなった。

 ....
 「ニュース23」には、本放送が終わった後に「月(Mon)day+」という特集が組まれている。これは特定の地方では見ることができないという勿体ないものだ。今回(3/20)のものは韓国の反日感情について .... 部下や家族にアレコレ注文して
病院でフルーツを食べる

電話*して閑談に耽りながら
病院でフルーツを食べる

アクロバティックな体勢のまま
病院でフルーツを食べる

健康を配慮した食 ....
 平野啓一郎氏の『文明の憂鬱』のうち一篇を読み、メディウム(medium)から発生した語がメディア(media)であり、それが中間を意味するものだと知った。この「中間」というものは、人間にとってはとて .... えらくでっかいカブトムシが
ズボンの中を這っている。
角は窮屈そうに柔らかく折れ
鋭角さに欠けてしまっている。
その姿を見た近所の子供は
こんなのカブトムシじゃない
といって、私のズボンを ....
溺れぬ浮輪に乱数率を掛けて
ガストン・ブルターニュの旋律で踊る
君の心にはカンディードの祈りがよく似合うよ。
ブエナ・ビスタの鼻先を掠める銃弾に
ヒヤリとするマイ・ロードは姫の
お気に入りの ....
 疑うとは、つまり信じることの対称性である。「対照」ではない。
信じるがゆえに疑わざるを得ない、ということである。

 「懐疑家」を謳っていたニーチェのツァラトゥストラは、
絶対に信じるものが ....
「こわい、こわい
 まだニュースで取り上げられている。
 いつ忘れられるんだろう?」

(文字と言葉がいつでもセット
 だらだらと零されてばかりで
 すべての人が聾唖になる。
 識字率も ....
竜一郎(48)
タイトル カテゴリ Point 日付
「かけっこは禁止です」自由詩0*08/7/9 23:40
渇いている(嘘つき)散文(批評 ...1*08/6/13 22:45
乱雑に/乱雑に自由詩108/6/13 22:16
戦争を知らない散文(批評 ...306/11/24 17:40
国の境散文(批評 ...0*06/11/22 10:12
動物園自由詩0*06/11/21 18:57
波間に漂いて自由詩1*06/11/18 11:07
天井桟敷に上がって自由詩0*06/11/13 10:14
或る日自由詩006/11/2 11:36
「図書館では お静か に。」散文(批評 ...0*06/11/2 11:21
When i was cruel.自由詩0*06/5/31 10:07
ありふれた名前自由詩106/5/31 9:59
アンソニーの忘れもの散文(批評 ...3*06/5/17 15:01
いなくなり、そして自由詩006/5/17 12:02
アンソニー自由詩2*06/5/15 16:56
あたりまえのようで、そうでないようなこと散文(批評 ...106/5/15 16:32
宿命自由詩1*06/4/27 14:08
「正義をなすぜ!」自由詩2*06/4/18 16:01
走狗の悪夢自由詩0*06/4/12 14:09
前時代自由詩1*06/4/9 18:27
忘却についての、ささやかな省察 (1)散文(批評 ...1*06/3/31 11:46
サーキュレート:嘆き自由詩1*06/3/30 15:30
なまえ自由詩206/3/28 17:09
歴史の転換点散文(批評 ...0*06/3/22 16:50
病院でフルーツを自由詩1*06/3/22 10:46
「中間」とは何か —無関心に対峙する—散文(批評 ...2*06/3/17 16:32
カブトムシが這う自由詩1*06/3/16 14:23
刳れない朔自由詩0*06/3/16 14:11
疑うことのしんめとりしてぃー(XXX向け)散文(批評 ...106/3/8 16:31
日替わり広告のこと自由詩0*06/3/4 14:06

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