テンテン
赤い顔
肩に噛みつく
明日は
大津に
行くんだって
テンテン
緑色
優しくなる
明日は
牧師に
会うんだって
テンテン
白銀の街
手を取り合う
雪がやむと
帰 ....
坂口安吾
の部屋で
感情なく
膝をかかえ
植物になりたい
根の速度で
追いつける
もの
ひとつ
ふたつ
指折って
考えます
散らかった
植物群
踏まないよう
根ぇ ....
文は夏でした
震えるという単語や
冷たい風の感覚を
いくら読んでも
文は夏でした
そのぎっしり
詰まった形から
ツンとする草いきれや
朦朧とした熱を
脳は錯覚するのでした
発育を待 ....
空白に
空白が
忍び寄る
図図しい奴
弱冠の赤み
フォルムといい
テイストといい
跳びつきやすい
そして僕は
空白の上に
空白を上塗りした
ことを
忘れて
拒絶が堕落
して ....
蟲たちが
騒いで
しじまが
顔をひっこめた
またね、と
耳がいって
僕はカメレオンになる
排ガスを撒き散らし
うなる車尻目に
爆走
縦横に街を
切り裂く
チャリ
信号免許
萎縮した力を
軽蔑し俺は
ナンバーガール
聞きながら
街からも
道からも
落ちている
言葉 ....
眠らない
体躯は
箪笥です
娘が
みそ
満州
宇治金時
ごみ袋
蛇口
満州
てんでばらばらに
単語を言うから
ピリッとして
話しかけるな
がたがたするぞ
脅したら
もう ....
笹を食べ飽きた
パンダのよう
腹を出して
倦んで少し照れくさいな
毛むくじゃら
涙でしっとり
湿ってても
抱きつきたい
そっちは汗ばんで
温かいんだね
タオルで巻いた氷を
二人の ....
薄闇の映画館の中
鴨川のことを思っていた
土手にしがみつこうとする亀
にぶいオオサンショウウオ
蚊のような蛍
ヒトは思い入れる
かくいう私も
彼らを出汁に
女を口説いたり
狩猟の真似 ....
俺とお前は同じ黄色で
できたら
緑色に生まれたかった
と言ったのは
ギター片手に歌う兄さん
そうだね
俺はからだぢゅう毛に覆われて
いてもよかった
そして日長毛繕いをして
過ごして
....
前足に触れたら
さっとひいた
白いお前
おびえているのか
さびしいのか
煙草臭いからか
鉄が飛び交うさなか
寝そべったお前は
生温かい塊
押し当てた手に
安心が芽生える
だがお前 ....
おまけみたいな僕は
露店でビールを配る
一杯四〇〇円也
腕に妙な刺青をした
お兄さんに意地でも
売りつけてやろうとするが
睨まれてもごもごする
仕方なしにちょろそうな
カップルにヨイシ ....
座っていた椅子が壊れ
ふつふつと怒りがわく
砂の上の安らかさはやはり
何の根拠もなかったようだ
思い返して安堵がひろがる
太陽が昇り沈むように
われらの生が没落し
廃れいくことの歓喜
....
あなたは俺が生まれ育った場所を知らず
まるで外国のように感じている
だから楽園のような場所だと言うと
そんな所は無いと明るい声で言う
吹けば飛びそうな二人
町の手前で
恋をしている
お客 ....
おはようやございますや
いらっしゃいませが
脱臼に骨抜いてわん!
俺はゆったりした波を
聞いて腰を揺らし
幽霊のようにふらついている
タータッタン
タ・タ
(ゆら
....
しろろい
くろろい
ゆれて
くゆ な
くゆな
女の子たちが連れだって
くるくるまわる
君たちは気散じで
一つのケーキを皆でついばむのが
うまい年頃
騒やかにあらゆるものを
つつきまわす
ちょっと頭がアレな僕は
鴨葱で
あっ!
....
妹を
朝に沈める
たぷたぷと言いながら
夜の泡を
つぎつぎはじく
猪鹿蝶の住人たち
仕事くれの叫び
―不良債権ね
狂った阿Qが
濡れたダンボールを食って
叛乱に備えているよ ....
海にぽとりと落ちる陽
を見る度にみぞおちと
ほねがえぐれて妹から
貰ったビー玉を慌てて
飲み込むギギギの響き
がうつむいた小学生の
歩みのようにのろのろ
僕を家路に向かわせる
....
※
目を閉じれば
黄緑のコートを着た女の子
足跡から
かさ なる夢
かさ なる愛
が流れ出して
町を浸す
溺れるのだ
電柱にひそむカラスも
しだれ梅によりつくメジロも
商店街をふ ....
旧交をあたため
僕らおどりだす
ねて たって たって
くだらんワインで
酩酊して
うまいだろう
僕らリズムとる
オンとオフ
でたらめに
過去と未来が明滅して
チカチカと今をてらして
ザ行が言えない
消防団の斎藤君
「出初式」を調べたいけど
でどめしきがのっちょらん
でどめしきがのっちょらん
と
不思議がり
「大分弁なん?」
―あんたがな
....
陥没する時間に
たばこを
吸った
天井は穴だらけで
二階から漏れる
ロバの涙が
目や頬や首のあたりに
ぽつぽつあたる
しけった
たばこにはもう
火がつかない
二階に文 ....
僕たちの寝床は動く歩道
一分間のまどろみを
くりかえして
くりかえして
冬は南
夏は北
僕たちは
最早
回遊魚
毎分四十メートルに
作られた僕たち
転倒したゲットーを ....
1 2
0.15sec.