「廃墟/光」

その人は
十月の淡い光がこぼれている
窓際に立っていた

下生えを啄む鳥たちが
驟雨の後に立ち去った庭で
透過性の
グラン・ジュテ
軽々と
その人は
超えてゆく ....
白く切り取られた窓枠を
鋭角の冷たさで打ちつける
無数の横顔が
冬の静脈に溶け込んでゆく

*

血の色をした道標を
ひとつ、ひとつ
指で辿りながら
埋葬した言葉を
ひとつ、ひと ....
わたしがまだ幸せの形をしていた頃、恋人と暮らしていた
春の夕暮れの匂いのする水槽の底で、わちゃわちゃと低砂をつつくコリドラスの口許にある二対のヒゲのように仲良く暮らしていた
彼は時おり水面から顔を ....
まったくお前みたいな可愛い夕焼けにつま先で挨拶すると深海みたいな鱗が踝に貼り付いてプラタナス並木が裸で震えてら
俺は嘘つきでインチキな星座だプラネタリウムの秘密を暴かなきゃならないし何処までもプラス ....
・透明な 防護壁で覆われた 静かの海の渚で待ってる

・満月の 裏側見たいと思わない?君の瞳の中の引力

・地球とね こんなに離れているんだよ 君のため息月の満ち欠け

・今度いつ 逢える ....
・あおあおと、月明かり浴びてしなやかな 尾ひれで描くないしょの入り江

・ひみつなの、鼓膜は波の底なのよ いつでも波の歌を聴くため

・仰向けで、おさかなごっこ波の音 しゃらしゃら星も降り出す ....
─まいにちうまれるものたちが
─まいにちしんでゆく

眠り、浅い夢からさめたような春の予感のする少しつめたい風が、名付けられているはずなのに誰も名前を知らない雑草の頭を、さあー、と撫でてゆく放課 ....
一人暮らしも板についてきて
仕事もやっと落ちついてきたある朝
キッチンで水道の蛇口を捻ると祖母がにゅるにゅる出てきた
都会の水道はとうとう水のかわりに二親等が供給されるようになったのか
なんて ....
笑えないのがいけないのか
笑われることがだめなのか
春の夕陽が斜めに校舎を切り取って
ぽかん、とそこだけ取り残されたような
学童保育の真ん中で
君は三角形に座ってぼくのお迎えを待っていた
 ....
Yellow Brick Roadを駆け抜けてきた娘は
トルネードのように戸を開けて

「ドロシーにあったの!」

雨上がりの道々の端っこに点在する
青空を切り取った水たまりのような
あ ....
・夜の、静かに堆積してゆく冬の窓辺に、鈴が鳴る、訪れる、星明かりを両手で包み込む。

・月のない夜、黒い大蛇のうねり、のような幹線道路の傍らで、盲目の、白い天使の息づかいで、冬と接吻をする。

 ....
午前中の四時間授業が終わり帰途に着く
ランドセルが左右に揺れる
昼食のインスタントラーメンを啜る横で爺さんが大江戸捜査網の再放送を観ている
隠密同心 心得の条の辺りで体が左右に揺れ始める
麺を ....
冬のへその緒が春に巻きついて夏が死産した。父からの電話はそんな内容だった、ぼくは耳を疑った、それはミミが何かを画策したからに違いないと、ミミは実家の隣に住んでいる島崎さんちで飼われている九官鳥の名前だ .... 空想で猫を飼う、名前はチグリス
名前を呼ぶと尻尾をぴぃんと立てて走ってくる、空想なのでチグリスは排泄行為をしない、猫砂もチュールも要らない、今夜は冷えるから一緒に寝ようと言えば、チグリスは尻尾を立て ....
1)
別にグレてるわけじゃないし特に優等生でもなかった、どーにもならないこともあるし理不尽なこともあって親や先生にうんぬんかんぬん、ぼくはそれらでドロップアウトする気などさらさらないし、ただ面白いも ....
ちぇりこ。(75)
タイトル カテゴリ Point 日付
秋〜冬/短詩群自由詩922/2/1 10:03
冬の雨/夜自由詩1322/1/27 23:18
コリドラス自由詩4*22/1/25 23:12
プラネタリウム自由詩7*22/1/20 16:20
君と月の街にて短歌3*22/1/18 9:29
Mermaid短歌6*22/1/12 0:02
風化する放課後の自由詩8*22/1/5 21:47
祖母と故郷と、夕暮れと。自由詩4*22/1/4 22:48
笑える日、笑えない日。自由詩6*21/12/23 10:39
ドロシー自由詩3*21/12/16 20:30
夜の日だまり。自由詩1*21/12/12 8:59
土曜の午後はスウィング・ジャズ自由詩3*21/12/10 17:57
ストップ/ザ/シーズン/イン/ザ/サン自由詩4*21/12/9 11:06
チグリス自由詩3*21/12/8 16:02
ボーイズ/ビー/シド・ヴィシャス自由詩3*21/12/7 22:01

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