夜の旅館の長い廊下と 桜並木と襖とが頑な
密談の風が颯爽と盥に落ちる 濃淡を強いている
瞬きより眦より 薄く開かれる 胡蝶尾鰭
二日月夜と受粉を繰り返した
うまくとだえるのを「待って。」 ....
軽々しい あわらち 越して拵て
なあ、女々し布石の子の穴はちょうど
青磁の正午ごろ こちらより あちらがわほど
割れてしまった吹き抜け窓に焚き付ける
並て縦に為ると 憐れな紫陽花も桜の実も ....
胸間からとおくとおく、袍の指先まで
崩れかけた山肌をなぞっているのでしょう
その眦など、乾いては渇いては
照り返したその頬の、なんともはや
かがりくるう、つむじあたりに、かえして
つぶらのか ....
次の次の次の織口の穂先を可愛がって、お送りして 向いて、
凹んでしまい。
小さくてまあるい ばかりの 骸晶から 手足が生え
合間が来るのをずっと重ねては持っている
規則正 ....
女々しいな、むっとした香りを嗅ぐ抑揚のない背後からの視線、いつになく。わっとおもわず声もあげない空模様、病かな、歴史かな、空席に鬱憤が溜まっている。手がこんでいる、ひたむきに、汚らしい口を覆う、だまっ ....
錆びた針金と緑青の浮いた貨幣とを交配した、はらばいの。まだわかい蕾と水仙の足がな
い。解けやしない知恵の輪の/いっそ/解毒作用を知りませんよ。触れずしてまやかしだ
と 悪戯だと、眩しくて言いようの ....
やっぱり微笑っている、ヒト。
肩が震えたあとで/羽根が生え落ちたときに/ここに滑り込んだのだと。
閉苑間近の映画館の待合室のゆったりとしたソファーで(今震えている。)
冷ややかな水族館で/賑やか ....
斉唱せよ!
わたしとはどういうものか、ただただ渥アツい
砌の際にかぎるも 星が流れ弾の 夜が貫かれ
「鼠にくちづけろ! ハク往者に訪オトナえ。」
あれは眼差しの奥に見た
転 ....
水べりあり ゆだら、蛇がぬたりとして
胸の藍玉 そして 三つ指がちらちらと舌をだす
ニケの首を持つというアナタはいまごろ
壁の凹凸に型番を調律し埋めていくだけの
今夜の寿命を、幾らかで提示 ....
巡礼の羽
風を流して、域を犯し、微笑の穂の垂れ下がるは
ひとまず
公園で錆びるもの腰を下ろして微動だにせず
ゆらぐもの
心に
なれた手付きで花を摘む
顔を振っては堂々たる
....
凪いだ砂塵の内側から煽アオれた明り
外は煤けている
誕生/流星
足早に翔ける影 追い風が地に及ばない架け橋
碑にもなれないシャッター街 今が
移っていった赤提灯ほどよく詰まりきっていて
噛 ....
宵闇も境目もやはり子猫のいじらしさとおもえば
(逃げているのではなかろか)
(束ねているので ありませ)
明日はたわわと実りいた
きみは仄かに唄いいた
沈着すべき河童の木乃伊
....
彩度0の原石
落ちて欠けたものでは、無く
乗せて砕いたのだったら。私も私も
歩度と斜度に比例して、野端に咲いている
対して水を差される 澱んだ、
濤声も雨音も
....
だからさ
言いくるめた夜の隅で、息を殺すと
かっこいいのだよな
タラップで靴を脱ぎ小瓶の蓋を失くし
廃墟の[花]一文字。朱いインクをおとし
彗星が飾られる
(確かめたかったなら、)
....
自動手巻き式から結って 皆と覗く潤色の天球
私を生み出して織るとその、だふらくの貯水率
暈に罹って 庇の神殿へ
その先の運河が せせらいで 追った
つたない葦を運ばせる、歳月がゆく手 ....
まくろく胡散臭いツヤのある回帰線を簡単に引いて
たびたび返されたトランプの屍体。そのどれもが
押し開いて咲きだしたクソロイド曲線の杜、いとまごと
沈静化して。背の躱しさが緩く 限られた最短を ....
まるで横顔の女だ
睫毛の長い、髪の黒い若い女が真直に背を凭れ眠っているのだろうか
一瞬通り過ぎた車窓に、何を隠そうとして、いま、不意に見せたのだろう
これによって古く細い町並みは直線を ....
不可解に捻れた獣道を作り出した、薔薇線の手招き
青々とした雜葬の絨毯を噛みしめ、これら花瓶のお囃子
夢見るピエロだ
裸足の花園だ
中空廃園だ
ぼぉたちの綿毛ら 黄昏時の川の流れに。 ....
その澄んだ表面は
世界は 翠の侵蝕 または神域
一冊を綴じた、現実から外れていくそのものが
解いたセーターよりあおぞら、
扉が閉まり身だけを残して
フルーツパフェより魅力的でなけれ ....
妍しいだけの皿に、その手のひらに
泳ぎ回る琉金の ちいさく
軋んだベビーベッドから、流れ星を拾い上げる
/ 海にいる /
岸辺から眺めるひとがいて、遠くにある
帆船と ....
小煩いの壁紙にはエロチシズム
なにかを、
芳しく、
静まるような。
涙色のレザーソファには
矢車菊が まだ、薄暗い陽に
セントバーナードが眠りに落ち
小花をあしらったわたしの
....
蒸発すら叶わない人魚の
鱗のようにある
湖が
荒々しい海辺の
あの夏の終わりの、
へたくそな絵を描いて
ただ鏡越しに私の真似をしている
異国のおんなが
白い蝋燭をひとつ灯して
....
そのときの香りはありましたか?
周りにはなにがあったのでしょう、
どこかきこえやしませんか――
花の名前を忘れてしまったのです。
多 ....
Dear Mr. and Mrs. ___
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....
齢の股から屍の如く
白腕がごっそり生えてきたサンダルウッドの景勝が見事であって
知性の乏しい殻と、勿体ぶって、豪壮の槍を
/線香花火の恵慈に突き立てる
『横暴よ。』
確してみれば、稀有にぞん ....
片手間に積み上げるなにか。
これは甘いチョコレートで足したりひたりしてる魔に 刻々と溶けていきます
底に広がるセピアの隊列をよぉくご覧。単眼の脱兎を檻の中に躾け、解決の
糸口を縫い込み ....
濃藍を薄めたような夕暮れの氷雨の中を
急かされるような人々が幾重も点滅している
小さなカフェであなたはため息とともに頬杖をつく
隧道にある404が、沈んだ場合の料金は
家庭料理的に千切った雜草 ....
黒い闇に輪郭を落とした、実、物音一つなく
幽寂の太陽が、結末に遺したものが、ここに
終宵を宿し照らし続けている今 手元だけを
疾走らせる風の 少しの私の姿を囚えている。
筆跡は乱れ然し、轍 ....
もとからどこにも取り付いてなかった象嵌の螺子ですから
其の内ルリタテハの瞳は羽化していくのを
襤褸が出た躰で憶えている
深層で春を装う球体関節人形の御伽噺
ばっかみたいだって、
靴飛ばし ....
波濤のうしろほど暗示ゆえ讃え
枝先の傍ら梢の裏口にて
災厄と暗唱する風に誘われ
依代を校正し、何度でも擦り重ねる
瓦礫の山であって 露わにする 坩堝の絶咲
そよそよと、在る。
気持ち重 ....
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