いつか小指ほどの白蛇を飼っていた、カゲロウが
とぐろを巻いたもの 口吻を繰り返し、もうずいぶん
月燈の楽団から{ルビ暈=カサ}なり、さぞや張り詰める
うつくしいよにあれば、これはぬくもりと崩れて ....
大海を眺める男女が つつがなく
{ルビ史環=シワ}に さすらいまどう しゅんかん
あなたのテンには鏡、草原に ....
だれもが見ている死
テラリウムに溺れてしまった花
金色の蝶蝶と迷露
虹色の貝殻は空間の{ルビ郷愁=いえ}
てのひらは きらきら、立ち止まり
素朴ひとみも うだがれる
そぉとした お ....
減らず口を残らず
てのひらで見送るよう
ちっとも
塡める。想像の先。灰の
色 涼しくもない
さきっぽに もうすぐに
うまれては、きえるもの
なにも腐った頭がちょっとも
まわ ....
寄せ集めの豊穣を辞退する
予定時刻/予後不良だ
(ことだけではないと)
あなたは 待ち続けている
ホームで、
さみしげな空を見上げており
巻いたものを
....
彩度の脆い加速度も迷化した域をしらじらしく酸い
手摺りされたエンジェルラダー
薔薇色の秘石箱。滲みてるのか。気韻にあおりつける
境を奥に、背にしても砕く。くものうえ
骸骨も、拝む、光彩 イバラ ....
祖の{ルビ凹=ヘコ}み、{ルビ凸=ナカダカ}く突き上げては
星月夜をつむぎ、乱れ鳴らし、欠いた穴に
穏やかな腐葉土を外した碑が囃子
さかずきを褥にふるい、ふるまわされたり
など、つぶ ....
何重にもある足を腕で抱える
子守唄だろう、
すっかり とおくなった
....
探し続けている。きみは どこの骨か
お菓子ひとつも もっていない
(沢山しまった命は永遠ですよ、と。)
ことあるごとに うようよとした、毛虫は
迷信 ....
港の全景は墨色に陽経つ
滴
/その視線を誂えた案は圧縮された生活に渇き
礼であり言葉にならない
青褪めた外には同情の余地も吹きだま ....
臍帯の
とおい丘陵地を這いずる
霊魂は旅人 樹の葉の告げを
目覚めたばかりのわたしが{ルビ懐=おも}う
なにもないという天国
だれが、いますか
顕花植物というおおよそ
陰核の癖だ ....
日陰の子雀が舞い上がるまでのあいま、口噤む
能面はこんなふうにして翌日の時期を衝動的に開け閉て、
また俯向いた庇を置き、南の空へ。
複数の胸の、ギヤマンのことに死ぬほどの霹靂をほ ....
弧を描いて塞ぐ 白地に光を無駄に注ぎ褪せるまで
新天地から口移しで呂律を絡ませ捌いている。なにも
なにもかも、嘘つきだから あやとりしながら手拍子して
作為的な二枚舌で覆いかぶせる ....
はじめはちきれた 陰鬱な雲が、むかしのかたちを削ぎ
とおりと指差し 有り金を投げる仕草を、追う
シジマまでの氾濫が、ヤケアトに戻っていく
{ルビ懐=ナツ}を咏む。これを、
「煌めきごと 殺 ....
ここへ。私の上の明転の、金糸雀の鍵は
まるく羽織っている うやうやしく蝶々で
その四季は 焚き火には 目隠しばかり
またその大部分はとがり 違えていた
ブロンドの星が監禁される 玻璃のない ....
鉛の十字のレプリカは積み上げ。擦り切れるまカレンダーに曳く。
居間、22時59分。夢見たよな箱庭で人生ごっこ。灰石と忽(ゆるが)せ、
凖しく廻る。点を老いては。何度でも書き足されている星星に、
....
今日死んだものをひきずって
前に倣う 泥の轍の
なさけない背中が
夢や理屈を運んでくる
ここで落ち合うつもりだ。
一方で雑草も揺らがない礎
リフレインする夕餉のかおりに
正常に ....
それが未来への希望なのか、それとも過去へ払拭する近道なのか。ただ引き返すことは適さない。ひとひとりすれ違うのがやっとの細い路地にある。
「私、とは」
いや愚問。
きっと遠くまで響かせる灯り ....
光が反射するから
憎んで見える
遮るものが
あって
はじめて
背負うものがあると知る
あまり甘くもない半月をすりおろして、
かがやきもしない琥珀糖にまぶした
苦くもない 痛くもない ....
ひとすぢの みのうえをすべらせる しずけさの
まぶたを縫い上げ 濡れるのをまつ
ままに、ですが、そのままでは ですけれど。
き、つつかせ るにるいに 背伸びする
と、いえもいろも ....
〈揺り籠の鳴る気息に点いて。〉
梢の濡れた通り狭く開かれた
頭上は
輝きだけでも ない。
藪蛇さえ 喉を通らず 羽の揃わない天使のころも、
きっと い ....
舌の肥えた過去が焼け落ちた瞬きを拾い上げ
同じ口を借りるまで、垢を吹き混ませて
足を酌み交わしてつないだ中心から
私は死にゆくのかと思いながら
(飢 ....
見回せば片付けられた木立ちにまた
影がぼやけている遊戯は弾力を持ってあると
足も
遠のく
意識が
視線に
絡まる
幻想運動
市街地に押し寄せる コスモスを裏返して
慌てふ ....
目の荒いブラシの又を
喝采と縫い留め
ひうひうと捨てる
レシートをかき集める
解いた髪はまだ濡れていたので
震えながら あるきまわる
さらりとし ....
翠雨の静寂が劈く
これら彷徨い歩く夜の住人
そこまでは近くて遠い
電話BOXからの 未来
いっそ死んでしまえる
奈落のような落とし穴
路地裏
寂れたコンビニを経由し
はしわたしは遂 ....
こわれものでもなかった
なつかしいひびでもなかった
唯水底に漂う叩きつける雫の聲にぬかづく
夏 雲 奇 峰
熒惑星を薄群青の
きみのひとみで僕も殺して
生成りの砂地に帰(かえ)す ....
闇路にある圧力が もっとも 細分可した土砂崩れみたいな装丁で、
せいぜい樹海にかえってきた夜は 際限なく降る小池を逆さに抱えた
メタセコイアの未来は、手袋が重なりあう微熱に 温床張りに顰む教本で
....
たどただしいうでがゆびが ちいさくふるえたあさ
コウシャした あまやとりに くちばしに 魅がある
とびたてないうちに はねが かわいていって まして
さえずりもきせいし ....
あの悪逆は切り抜かれたものだから
山羊の頭を齧りながら片手間だから
わたしも、せせこましい小糠雨に祟られ
今もこうして口真似ばかり あるかないか
カアイラシイ模倣者が
手玉にとる
黒白 ....
幻灯機に噛まされたスライドがまた一枚語り始める
手探りである気がする 壁に阻まれて進めないから
薄墨色の夜に無様に徘徊する すがたばかりだった
冷ややかな輪郭に沿って指先が触れる、
....
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