深く深く息を吸う
それで灰の海に飛び込む
薄明にも満たない冷たいだけのうねりに、
なんども溺れながら。
何処へ 向かおうと言うのだ
朽ち葉の思慮はない
ただふるえる筆に少し ....
太陽が真上にきた、真
昼の。またたき。
幻みたいな ものたち、
きっともう燃え尽きてしまったあとの、私の影。
体内に ....
透明なミドリは 光を吸い込んだ、廃墟に微睡んでいる。
まっさらだった背中に 弦を引く
ひとつひとつの潮騒が、舞い降りていくように
やわらかで まっすぐに。
掌中の虫の音を褥に、あらいざらい
....
日の射さぬ海底を鉛筆で丁寧になぞる、
トレースされた神話の時代より
飛び立てないよう羽根と契る、
いや、解かしてしまった
赤く黄色く様々なひかりを焼き付けるように
栞にした
張力
こ ....
また逢うときまで あなたの手で
白樺の傍でそっと包まれた蕾。
とっておきの焔を、
きっと摘み取って 欲しいから、
微笑んだままで
とびきりオシャレをして
この深淵にお別れをしたいの ....
たとえればいつか だれかの墓碑銘に雪ぐ
記憶にも薄い レプリカ法。
オープンカフェのトーストに見られる、
くゆらすかのひとの
ふるい自転車とポニーテールの
知らないあの子
重なら ....
燐として仄めく
終幕のスパンコールと一緒に、
ひかりかがやく過去へ
あなたもほら 虹彩離陸。
永遠に消えない瞳孔が開き、
夜光雲を吸収する
見通し、
わたしを と のせた鳳翼で
....
純粋に満ちた彼らにとって、未来だけが希望だった。
(まだかわいいものだが、)真実なのだ
渇き枯れ果て、母なる海を腐らせる、
(苦しみも悲しみも知らない、)お ....
寝そべる蕾たちの白々しい艶消しにふらついて
誰も彼もがモザイクタイルの朝な夕なに心奪われる
発色の良い風景に溶け込む
低俗なあぶくの零れ噺ば ....
乱雲流れ去る、その懐古、あまねく。
わたしたちは、みなしご
胡散臭い湖へ 舟を漕ぐ
今日もまた絞め殺す その的を射る
搾られたシグナル ....
腐食した己から、新たな息吹が返り咲くとも思えないが
記憶に隠蔽する、なきがらを遺棄してみる
吐き出した溜息が何かになるわけもないだろうに
かえりぎわに健気を装う、雑草の図太さに目を留めることが
....
導火線をちらつかせた犬歯
はてしない蒼は向日葵に覆われ
希望に呑まれる
霹靂
どこまでも空をわたり
たとえ
海と絆いでしまえば 茎は
谷と裂いてしまえれば 枝は
踏み入れた
一鈴は、 ....
宵の口に、自分の弱さを詫びる
馬鹿でも少しは酔えるということを紐解いた装飾で
少しだけ天を仰いだのが
この贅沢な陽だまりに老いて笑壺ということになる
ぉお、これこそが郷里だ
乙女は腐 ....
低い窪みの中心に転げたもの、もう這い上がることも出来ない
気づけばそこにいて、何処から来たのかも分からない
その地に根を張り 雨風にて、凌ぎ、それだけのものであった
というのに素知らぬ風は惑 ....
かれらはその腹の中、虚偽だけに充ちて
慈悲深い旅人たち、形はそう、陰に怯えている
プレパラートの 液体調剤詩
かろやかにおよいでいるかの、微生物の比です
ステレオタイプが捻ると
虹色が ....
潮騒叶いのイドラを捜して、天上から地の底まで、
いっぽんの途を引いている
どういうわけか、私の歩みは連続した生命を引き起こす。
大小さまざまな色や形を保つ 夢や希望をおいて
ひとつの柩を ....
ひとつかいがらが埋葬されています
母のように、いつか凪ぐために
――このみちが海の底で、あることを問う
ときの鼓動を聴いて
その場限りの感嘆が ひゅるとつきぬ ....
錦織り成す細石に思いを馳せる
少しばかり避けたカアキのスカートの依り代から、
黄泉の底が溢れている。
痴れを紡いで路肩に色の納める、
....
先程から僕は、みんな、いまいまの人生を(お)もって、
そこに如かれるものでして
わたしたちはことに意味を与えすぎました。
喪服のアナウンサーが週末を締め括るぐあいに
雁字搦めに作用した力点 ....
階層を施された荷馬車の一角にひかりが中る。
眩くて昇華される、どうやら辺りのようだ、
遺体の奥で植わる蛆虫が盛んに蠢いて出口をこさえていく。
それぐらいは許してもいいだろう
涙のかわりに胃 ....
不器用な影絵を施された土気色の節くれが、すべてのまえで
育ち尽くし、底に意味を与える。今際のときおもいきり。
寝転がって徘徊する蛾蟲であろうと、構わぬ礫にあとくされる、
いつか たましいは自由 ....
低空飛行で鈍足を抜かす
迷路を生んで
狭き未知に導かれる
無くした鍵が又
私を窓から出さない風だ
囁きを逃す舞と
夢だった 昨日増やしたちゃばしらが、
今だった 烏に啄まれ、
....
三日月の鍵爪を栞 微炭酸の蜜を拵える タイピングの錯覚
読みかけの本に溜息。少し癖のある彩を抑えた 薬指の小股まで
柔らかで蒼い壁面。舐めるように徘徊するもの
むしろ 虚ろ岩礁は 凪いだ海を ....
私の肩に架る琥珀色の雨が降り続いている
それをただ描かれた水面が凪いでいくように、と願い
果てまでも眺めている
透過するわたしと糖化するあなたの影が
一筋の蝋燭に反芻して ....
「少し、お時間をいただけませんか」
そう言って翁は腰を下ろしたまま、見上げている
なにもない時に滑り落りた砂を 固めただけのトンネルに、
置いていかれた心地で。
―― ぽたりと漏らした
....
夕暮れは虹色の未来を映し、曇天な過去を模造する
どこへ向かうのかその視界をのせて、
なにを泣いているのか、何故に枯れ葉散るのか
ひとつの木に漂着した夢を見た、気がする
靄の中を奔り続け ....
口笛を吹きながら でも いくつ 数えたやら。
ただ、らくにいきたい
足元の泥を掻き、道標を示して、僕と飼い犬は何処までも反転する。
星と海が緩やかに準える視野ばかりが満天に開けている。
麗 ....
昏い暗いブルーライトを喰らう蛾侭の鱗粉は
夢想が作り出した名ばかりの怪物
ただのネオンサインに遮ぎられた殺虫灯の明かりに
いつかきっと鳥籠に召されたし
窮屈な空白は塵と誇りばかり ....
まわる。
螺旋のていでモビールのさまで、
回帰する 転落してしまう。
そして
あゝ崩れ去る
(万華鏡の儀 彼岸花の葬)
なだれ込まれたら 受け止めきれない
張りぼての壁面に無 ....
息も絶え絶えに 道もふさがれていく そりゃあイキが狭まる
視界が暗転するどころか 瞬いて身も心も軽くなる有様
天国への未知と誘われ瞼を下ろしたい。
併し何故に引き留めようとするのか 如何し ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15
0.21sec.