笑窪や谷間における大気の現象は
空き缶の中に、門扉を失くす
自動販売機の明りを飲み込んでいるだけだと
少年の手を引いて尋ね回るが
そもそも昆虫はその先を知らなかった
滲んだキャンバスの敷居を ....
天使の梯子を知ってるか
酷熱の花束は ゆっくり目を閉じる
正面のシャツからは ぽろりと泡立ち雲へ成る
ペーパーナイフは知っている、魔法のブレスレットは
琥珀の液体を濃くする司会者のよう ....
期待外れにも所持している体躯は永久に若々しく、蛤の殻を積み上げて、浜辺に打ち上げられた。ほんのささいなオケージョナル・ドレス、銀杏の季節の後ろ姿ばかりを見送っている。運悪く雨に心つくし、幸いにのまれ ....
気晴らしを服毒してぺたんと座る。
うんうん言いながら伏し目がちに窺う
鄙びて果てる安息は、
ピロートークにもならないから
縫いつけられたように目が離せなくなる
足は縺れて転んだようだった ....
河原に足を浸す女の子といる気がするだけ、
いつか夢にまで見た田舎道の七の月に。
肩甲骨を置き去りにした、水銀灯に対する還らずの雨にかくれんぼ。
閉店した本屋があるnull番地、泥除けの ....
古美術商と少年
魔法のランプのサインを一切れ 汐のとき 伽羅の砂時計に、口の端にのせておけば、箇条書きに草は群がり栄え華々しく執行されるかもしれない……自慢話に興じるこっくりさんに従い、虫が巣 ....
希少性のあら捜しに仕立てさせる魅惑 やわらかに富めば、このかいな いいほうで、熱烈に繁殖した黒砂糖の鎖を断ち切る一指、こころなしか、ほのかな香りに包まれ、ほとびるは着の身着のまま。
美女と野獣の ....
「{ルビ弥=いや}が上にも」と蠢く弾力と渡ってうたって、ふっくらとした真綿の断層は息を切らした、奔放に惹起し、鮮烈に粋る。消え入るようなコンパスは錯覚を刻んだ犠牲者、途を記し伝わってくる、ただ頭が足り ....
たのしいおもいでも、つらいきおくも、ほろにがく反芻する。むさくるしく空虚な嘘の中心に足を運ぶ なんども。ざわつかせる世界もこの胸も、白い目で見る明けの明星の強さに趣を見つけるには。
目障りな ....
フロアライトに照らされた祖父の鍵束は
まるで、ゆりかごみたいな影絵を思い起こさせ、
熱帯夜を引き止める、ぱたり
閉じられた胸とベーゼ、
暗闇に見える涙が乱反射して三白眼と
手を翳す
....
滑らかな機関銃と流暢な筆の走りに
しがらみをなくした玉響の廃人
三角に影をなくした陽気な小股が
予想通りの横顔に挑戦状を叩きつける
光芒は麻薬を含んで余命を水没させ
空襲警報は不慮の事故 ....
継ぎ足された寿命 流れ去る秋の空
私の代わりに種明かしを
『一年後 叫ぶ 千羽ノ鶴』
そんな知育玩具の傷跡、そんなケチな細胞膜
二つ返事の読み物、成立しない御神灯、
『力は入らないよ。』 ....
黒っぽい磯、赤裸々な暗礁、あらぬ余殃
風穴
罪のない心が弐度死ぬ
重みを咥える胸腔に大ぶりの菊が咲く
濁声に記載される荷車に両手を戻し吹きかける
少しの綿毛及び花火が散る
....
粘度の濃い黄土色の海で 汗も掻かずに泳ぎ着かれて
眠りを抱きしめあう 君と僕の合間に流れる
絵編とした溜息と御本とした嘔吐き
はこのなかに爛れた身体と心で作られた
腐った域を被覆で置い ....
検死官は干潟を藪の中を、非常口から井の中の蛙まで
愚者は黒い推敲を住職と読んで
平行線のクジラをのどぼとけさまに埋め込めたと言い張る
治癒することのない常夏は尻軽なモグラ触角を囃し
街宣車 ....
出来損ないの盃に移し出すは何故か蝕み、几帳面で無抵抗な横文字の
澄み切った稜線が紅葉する。スターライトの残滓と垂涎を引き起こし
咲いて実を結ぶ、瑠璃眦の庭園に囚われながら
はしためにも明 ....
山頂の光と影と馨りに届かぬ蛍と傅カシズく、
まるで紙吹雪の鏡写しのような
奇病、らしさ不束にも視線を預ける
薄化粧の貝塚を通り過ぎ
伝書鳩の半分の血を
白装束とする臆病な子猫の、
....
かつてのうちに はなをくさらす みは
たがえたよるに、ひとしく かぞえる
どなたさまも 草る程 ありうるように
ゆらめきだす、洒落た環状を巡る。
....
理科室の小さな変化を見逃さないね
境目には冬虫夏草とあいまって水没する勿忘草
影も形もない退屈な装飾は 底に結晶として花を植える
汚れた手で掬った川の水で薄眼て溶いた
冷ややかで真っ青にな ....
夢魔一途にも昨年の夏、ほっとしたような
華やかな紛い物で甘い苺 目の前には
乏しいほどジタバタと、羊の群れ、穏やかにも
従わせるドアにすとんと抜け落ちて
穴があくほど /心臓の鼓動 ....
底が浅い童心に感じている、ただひたすらの潤色。白く露わになる、
積み木を重ねては潰す、みさかいのサイコロをあげる。肉づいた墓に従う。
けらけらとわらっている朧雲は錦糸、赤い姉とあいする、
ぬめぬ ....
知恵が足りない線路上の進み具合は怖いと云う、
立ち止まってこたえを、
その黄金律、そっと顔を上げる。
地道に取り片づける生理現象は、
泥を固めているのか。
撫で摩る、と刺青の、風のよ ....
最初から
黒檀の木の股が壊死している
不定形の少年と探し求める恋物語
海辺に戻り 脱法ハーブの建前へ。
黄土色の哀れみを。一欠片しなう 七宝のゆたり
....
筆が立つ護美箱への事物のまとわり
あたまとからだに訳される
転がした電子タバコと夏の大三角まで
やはりふわりとかおる
冷床に舌を揮い合図を送る重げないっぺんに
星座占いのひらがなは不埒である ....
春は日傘の先で拡張する
出会いと別れを
幾年月も栽培された寒さや
温かさで感じる襖の奥に
常闇の重量を伴う、
密やかなるレトリックのいきものたち
例えれば桜前線あるいは雪解け水
....
手入れが行き届かない代物への反感を生むエゴや束縛はうつくしい装丁
これら雲は魚/飛び跳ねるカゲカタチ黒猫 ようこそ海馬の少ない電球色へ
破裂が生み出す感情、慎み深さ注意砲
窒息、記念日でもな ....
正解ではなく
偽薬はずいぶんの作用を引き倒す
その日の朝に
ひとがたをのこした版画の川があり
華麗なキャンバスに塗り潰した
透明なマスカラで見開かれた扉の対岸へ
ゴーストは愉悦に浸る ....
道端の石ころ一つ拾うにも飽和した農地
横から支える紺碧の空
いつか春の残り香、この光は眩しくて
愛してる
一緒にいて
魂を投げ出して
壮大な歴史絵巻はボロボロの無風帯
かけがえのない、絆 ....
不透明な昼下がりの中心で火炙りだ。
それは、歯痒さゆえ剃り落とした大雨の日、寝室の川の水。
満月の傾き、
制御不能のグランドピアノが液状化したもの、
....
幾ら足掻いても檻の中、
箱庭に飼い慣らされた籠の鳥でしょう
みんな己ばがりがそこにいることは変わりがないのに
喚き散らしてみっともないわね、
どうせ誰も振り向かないで欲しいと思っている。
憐 ....
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