ほんの小さな夢を心に描きながら森の小道を往く。
 爽やかな透明な風に彩られた五月の朝だ。
 たまにすれ違う人々に軽く会釈し、心で感謝する。
 心にともしびが宿る、そんな瞬間を心待ちにして生 ....
 夢のように横たわる貴方と交わす言葉。
 刺激という感覚を忘れてしまった。
 今はもう安らぎの彼方に浮かんでいるのか。
 どうか私の空虚な言葉は連れて行かないで。

 貴方の愛したピアノ ....
 明け方の応接間で一人、壁に漂う船を見ている。
 日常の埃にまみれた心に壁際のアロマが沁みこむ。
 軽めの葉巻と淹れ立ての珈琲。
 この部屋の壁一面にも時代の匂いが沁み込んでいる。

  ....
 桜舞い散る裏庭に空は高く、
 水晶のように澄んでいる。
 心の闇は浄化され、
 絵画に映す一本の道。

 厳しさの中、隠された優しさに魂が宿る。
 瞳に映る桃色の円舞、狂瀾。
 春 ....
 過ぎる季節の只中で、自分を見つめる旅に出る。
 煤けた国道に朝日が昇り、駆けるバイクで夢を見る。
 未だ見ぬ場所に行きたい。
 誰も知り合いの居ない所へ。

 ついたため息の分だけ、経 ....
 色鮮やかな喧騒の街で僕は一人不安を抱えていた。
 あらゆる期待は裏切られ、西も東もわからない。
 不幸の面倒を自分一人で抱えているような錯覚。
 これ以上は無理と分かっていても心のどこかに ....
【1】
 黎明の森に緑がさらさらと揺れている。
 心の奥であぶくが湧いている。
 しまい忘れた情熱が青く光っている。
 誰かの夢と同じように。

【2】
 闇の中を蠢いていた不安は、 ....
 雪を降らせるつもりの寒空の下、
 点る街灯に人々の影は歩いてゆく。
 悲しみ溢れたその光景はとても虚しい。
 街角に佇む人の生がぼやけて見える。

 すべての信号が赤になったその瞬間、 ....
 昇る朝陽に恵まれて、小鳥の歌声もこの林道には涼しい。
 路傍の人との挨拶も愉しく、足元の落ち葉ですら愛おしい。
 別荘地に吹く風は清らかで、空気は澄んでいる。
 どこかの家からモーツァルト ....
 悲しみに久しく、愛に飢え、欲望のままに生きた。
 傷口を広げ、流れ出る鮮血を舐め合い、瞬間の癒しを求める。
 痛みを伴う快楽にその身を委ね、探り合いで過ぎてゆく日々。
 死を意識するともう ....
 季節はたそがれ、満ちてゆく。
 幸福と不幸の狭間に立って漏らすため息。
 願い事を信じる力はあるか。
 心は風に舞い、静かに溶けてゆく。

 古時計のぜんまいを巻いてみるが、過去に戻る ....
メープルコート(41)
タイトル カテゴリ Point 日付
朝方の逍遥自由詩4*19/5/11 6:57
恋人自由詩2*19/5/3 2:38
我が世代自由詩2*19/4/27 4:37
春の夢自由詩2*19/3/23 4:17
新しい季節の中で自由詩2*19/3/2 3:18
愚か者自由詩1*19/2/17 8:42
小詩自由詩2*19/2/9 6:15
秘め事自由詩4*19/1/26 5:16
小詩自由詩4*19/1/12 5:08
大河の流れに見る夢自由詩1*19/1/12 1:30
自由詩10*18/12/29 6:23

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