イチョウの葉がこがらしに
金色にかがやいてまいおどる秋の羽だ

地に落ちて
みちゆくひとにふみしめられ
甘いかおりとサリサリの音

音はもしかしたら
いなくなることに
泣きたてている ....
嘘つきはきらいよと噛んだくちびる
夜は目を閉じて銀のまつげの三日月
こがらしの音に湯たんぽだきしめて
とおくとおく漁師の末裔の住む町で
猫を膝に絵を描いているだろうきみ
まつげが滑り落ちて十 ....
白い障子紙とおしてひかりチラチラ散らばって
立てなくなったばあちゃんをやさしく照らしてる

「食べとうない もう入らへんのや」
「そんなこといわんではよ食べて
愚痴いったらあかんよ
おかあ ....
わたしに命をふきこんだのは
横須賀の廃屋のようなうちに猫と車と住む
がんこなかんばん屋の男だった

かんばん屋と猫と車はそのうちで
消えたがる女をなんにんも生かし
わかれをつげてきたという ....
金桃にまぶしいさば雲の大きいの
沈んでく太陽にむかって
ゆうゆう
およいでく
みず色のひろい、ひろいそらだよ

風がひえてきて葉っぱのにおいは甘くって
こどもたち、眠そうに体温があがって ....
箱をあけたら金にひかる歯がころり
うるといい値になるそうだ

しゃれこうべしゅうしゅうと
お墓の下でなげいとりゃせんかしら
おれの歯ぁどっかいったぁって虫食い歯でさ
男かしら女かしら
き ....
大学のかえり下り坂
黄色いばらの花びらの
ふるふる落ちる

わたしの恋人が
わたしの親友を
好きになってしまい
それはわたしの愛が足らぬから

夕暮れのななめのひかりは金と黄色と橙で ....
橙のひかり滴る秋の日
おちばほわりとかおる
薄水の空に鉄塔刺さり
いわしがそらをおよぐ
暗い部屋に只今と呟き
えい、おならしちゃう
差し伸べた腕は切られてしまって
唇は閉じられて、舌を噛んでいる
忘れてしまったの? と尋ねると
遠くの遠にと囁かれて目に沁みる
喚いてはいけないことだから黙る
全て無視をして前をみてゆくこと ....
緑の葉に黄色が浮かんではらり落ちる先に秋の赤
暮れるのが早い空に月がしらじら輝いて水は凍り
花が枯れて実になり種は地に落ち咲いて巡りゆき
夢に旅して息し現という虚に帰ってきて寂し滅び
それでも ....
バーベキューのおしまいに
竹ぐしにさしてマシュマロ焼いた
じんわりこんがりしてとろりどろり
くちのまわりべたべたしろくあまくすする

横向くと
ブルーベリーの枝に
尻尾の切れたトカゲ、う ....
お父さんは
甕にめだかを飼っています

夏 陽射しをまともに受け
お水ゆだってあえいでるめだかの夫婦
あんまり可哀そうで私
みどりのホテイさま浮かべたよ
めだかたちほっとして
こづくり ....
わたしはよく
遺書をしたためる

これから冬がきて
息凍るころ
体もしゃりしゃり
うごかなくなる
お布団に張り付く日々

いただいてばかりでいきていると
屋根つきぬけて
そらにか ....
「子どものための幻想詩」

子どもらしい子どもにしたがる
大人のためかもしれない

大人になりきれない子どもがえがく
むなしい まぼろしかも

けれど中にはよいものが

目を磨くん ....
まっくらにしたよ

虫の声
とぅとぅとぅとぅとぅとぅとぅ
るーるーりーりー
とぅーとぅーららららら
ふぃーーーーーーーーーー

近所のちいさい子のわらいごえ

水溜まりの上を車が走 ....
雨のおとが体に刺さって下に抜けて行く
その先のまちで

男が酒を飲んで煙草を吸い
女が風呂に入り石鹸の香りを嗅ぐ
花は季節に散る

どうということもない
あたたかな食卓が
どれだけに ....
猫背になって
かなしんでいる間にも
朝顔はぽっかり藍色に咲いていた
ああ
にんげんやめちゃいたいよ
胸に
おそろしいほどすきとおった何かが
じぐざぐ刺さって
なみだがぼろぼろ落ちるけど ....
次世代のために
誰かがしなければならないから
そうやって
きずだらけのわたしを見ないふり
すんなよ

わたし、うまれなくてよかったんだよ
わたしのおかあさんおとうさん
だれかのおかあさ ....
とおくに花火の音が聞こえる
あの音のしたで
女の子や男の子が
恋をしているのかな。

大人たちは浴衣をきて
すこうしかっこうつけて
林檎飴をかじりながら
いろっぽく駆け引きなんかしちゃ ....
夏の夜に浮かび上がる
さそり座の心臓、火星
とうたっても
こちらの夜は星座もろくにみえやしなくて

夜空は地上に住む人の心を写す鏡だというなら
みやこのこころはどれほど滅んでいるのかしら
 ....
いたく、つらく、寒くてまっくらなほど

わたしのことば跳ねあがる

深く沈みこまれて溺れていくそのときに

ばねが跳ね返ってきてわたしをひっぱたく

さあ飛んできや

なら、思い切 ....
おかあさん、あなたのいない夏がまた来たよ
そうしていま選挙の時期です
口癖のように歌のように
あなたはいつも
社会貢献できてわたしの人生は幸せよ。
そう、甘ったるく高い声で
誰にも有無を言 ....
ゴミ捨てにゆく空を見る満月の横に夜の飛行機雲迸る

突然の雨が空気を洗ったインドでは54度の夏が来た

湿気をかき混ぜたい扇風機をまだ億劫で出さぬ歓み

---

はるか昔、中学での課 ....
魚屋の先
海から引き揚げられた
青と赤が踊つている

な、にひきで
微笑いあつて居るから
こちらでも寂しくはないのだらう

まつくらのなか
青と赤をつれて帰り
ひとりの俺の腹に泳い ....
お小遣いためて雑貨屋さんで思い切って買うお皿

朝顔のつるが伸びていくのを見る小さな庭

葉影の落ちるベンチで汗を拭き取るハンカチ

ぜいたく品のようで人が失ってはいけないもの

でも ....
あなたなに色の朝顔がすき?
わたし断然あお、とっても単純だよと笑い
あなた色盲だから分からないと苛立って

Red : 153
Green : 204
Blue : 255

仕事の ....
最後の、その瞬間
私がもらったもの
あたたかい笑顔や
冷えたやさしさに
胸が焼けるうらみ
赤い葉のふる森の
その奥を見つめて
喉が乾いて寂しい
飢えた狼の足おと
はらわたが消えて
 ....
わたしかなり年を取ったら
おばあちゃんみたいな
きらきらに
透き通った灰色の
髪の毛になろう

それからもっと年を取ったら
転んで足を悪くするかな
そしたらわたし
茶色につやつや光る ....
朝、制服
うすい雨のなか
ビニール傘をさして
バス停まで
拒食の脚であるいてた

傘の向こう
こまかな雨粒の向こう
紫陽花が鮮やかに
青色ににじんでけむる
ブラウスが肌にはりつく
 ....
わたし、
根なし草に
転がる石
つよいつよい風に
笑ってひらめく柳の枝葉

だれか、
土に据わり花を咲かせ
苔むしてふかみどり
ずっしり受けとめ
ある日倒れゆく樫の木

わたし ....
田中修子(180)
タイトル カテゴリ Point 日付
秋の羽自由詩5*16/11/13 2:14
ことばあそび四自由詩3*16/11/11 23:56
やせほそる銀色のおひめさま自由詩7*16/11/5 20:48
横須賀の駐車場がみる廃屋のゆめ自由詩11*16/11/3 0:48
そろそろかえろ自由詩4*16/10/31 1:55
金の歯に熟れ柿自由詩5*16/10/29 19:10
はなことば一自由詩3*16/10/27 1:13
ことばあそび三自由詩5*16/10/26 20:59
ことばあそび二自由詩3*16/10/25 1:55
ことばあそび一自由詩4*16/10/25 1:13
たべる自由詩2*16/10/23 23:08
甕の底から自由詩4*16/10/13 18:19
遺書自由詩5*16/10/4 23:19
子どものための幻想詩自由詩9*16/9/29 19:22
まっくら自由詩5*16/9/25 21:45
台風の夜の音重ね合わせて自由詩12*16/9/23 22:57
にんげんの色自由詩3*16/7/24 10:19
なつのうた自由詩3*16/7/18 7:39
音花火自由詩2*16/7/11 6:29
桃たべる朝自由詩3*16/7/6 9:42
トランポリン自由詩2+*16/7/4 21:33
がいこつつづり自由詩15+*16/7/2 16:34
夏、三首短歌0+*16/7/2 10:17
商店街にて自由詩1+*16/6/30 13:17
自由詩2+*16/6/30 12:48
朝顔の青色自由詩2+*16/6/26 14:48
墓石のような言葉自由詩2+*16/6/26 13:50
としをとったら自由詩1+*16/6/20 21:13
あおの中から自由詩4+*16/6/20 21:08
自由詩5+*16/6/13 19:12

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