太古の記憶、血の匂い
奥まる闇の、光のなか
私は浴びる、その血潮
とこしえへ、とこしえへと回帰する
渇望がある、満たされぬ
孤独を貫く、深淵の自我
....
この夜に目醒め
この夜底に触れる
私にはもはや
親兄弟家族親族はなく
現世的無縁仏だ
円やかな現世孤児だ
そこでは
私という存在が剥き出しで
そこでは
私が真っ裸のすっぽんぽ ....
それを夢見たのはいつだろう?
すべては澄みわたり凪いでいた
吹き抜ける風、高い空
光の彼方に虹は立ち
すべては澄みわたり凪いでいた
秋も半ばこの十一月
日射しの入射は既に深く
カーテ ....
黄金にかがやく地平が在ル
あらゆる意味を無意味化する
強度に満ちた運動の果て
黄金に輝く地平が在る
それを夢見たのはいつだろう?
すべては澄みわたり凪いでいた
吹き抜ける風、高い空 ....
高い高い青空が
広がり 木々が
揺れている
秋が半ばを過ぎる頃
人は奥まる光のなか
ゆっくり揺らめき進んでいく
あゝこのかぐわしき大気のなか
暗い孤独な内面を
かなぐり捨てて裸にな ....
誰かがシャワーを浴びている
雨はすっかり止んでいた
林檎を囓る少女が独り
光は妙に屈曲して
迸る水を艶かしく
向かいの鏡に映していた
今夜は早々と眠りに落ちる
明日はきっと晴れる ....
ああ
初々しい顔して
また夜が来た
ひんやり冷たい
風も吹く
向かいの家では橙の
灯りがともり
人影が
それは忙しく動いている
わたしは独り寝の床を整え
さっきからじっと座っている ....
木立の緑が揺れている
私は冷たい虚を飼って
鉛の監獄から眺めている
気だるく憂鬱な昼下がり
空は一面の灰白模様、
風はもう絶えず吹き
荒れ果てた街並みが
ぱたんぱたんと倒れていく
....
晴れている
高い高い秋晴れだ
(さっき赤トンボと眼が合った
彼は垣根に佇んでいた)
気付けば今日のポストには
投票用紙が入っている
彼はたどたどしい手つきで
封を破り
その ....
無音、
移動していくモノの影
独り在る茫漠の床で
眠りの底から掻き分け掻き分け
異界の異様な感触を
意識の触手、体に刻む
無音、
夜陰にひっそり回帰し
剥き出しのたましいを
宇宙 ....
真夜中が近づいている
ベランダに出て夜風にあたる
街灯の列が何処までも続き
なんて素敵な夜だろうと思う
昼間森で見た花の群落が
今頃青白く光っている
風は優しく穏やか
主観と客観が溶け合 ....
孤独である
関係を全て切断し
諦めている、静かに
幸せとか不幸せとか
ただ驚くのだ、
世界に自分に詩に一日に
オドロキは転がっているから
至るところに
オノレが在る、セカイ ....
感覚する、
風の通り道、雨の匂い
そのたび新しい自分がいて
ぼくは大きく両手を広げる
この広大な地球の上で
この肉体を抱えながら
笑っている泣いている
すべて愛しい日常些事
一つ一つ噛 ....
眼が在り映り凝視し続ける眼に
脳裏の戦場の消えない殺し合いか
眼前の草むらの裸の子供たちの激しい絡み合いか
展開され焼き付けられるその光景
草むらの草いきれも
左足にぐるぐる巻かれた ....
その快楽の後始末を
おまえは引き受けなければならない
日常は続いていく
荷を背負って
永遠は開けるだろうか
いつ?
今にも!
ただ、見えなくなった眼だけがある
永遠 ....
在ることの
謎に触れたとき
ウォーターと
手のひらに
書いてみる
初めて地球を生きた日のように
その鮮烈な霊気に貫かれ
ウォーターを
感じて、感じて
独り大地を
舞い踊る
....
日々がどよめいている
宇宙が波打っている
『遠い遠い』と手を振る君
)何かが湧き起こり
)何かが爆発して
)すべてが終わり
)すべてが始まろうとしている
)名状しがたい何物かが流動し ....
青だ
眩暈するような青空が
地震の翌日に広がって
雄大な弧を描き
流れていくいわし雲
金木犀の大木が
あまやかな匂いを散布して
のどかな秋の日を彩ります
街の機械工場の昼飯時
サ ....
犬が吠えている
熱する陽射し
蟻たちが隊列を組む
したたる汗
動かない空気
ぼうと
天を仰ぎ見る
眩めく視界
どよめく一日
過ぎゆく時の間に間に
救われない思いを浮かべる
....
樹間から
覗く秋晴れの青、
ふるふる震え
金木犀の香が舞う夕べ、
時はすっかり透き通り
遠い記憶の余韻が響く
)何があったか
)細かいことは忘れちまったが
)ただ喜びと懐かしさだけ ....
哀しみのステップ踏みながら
いずれ遠ざかり消えてゆく
大きな爪痕をこの界に残し
大きな爪痕をあの界に携え
途方に暮れて消えてゆく
)自分は場違いだって気がするかい?
)自分は意味のない ....
網戸の外は青い空
網戸の内は灰の心
青はあくまで深さ増し
鬱はどうにもどん底で
世界と私は無関係
私が無くとも世界は続く
ああ、全くそれなのに
涼風が肌を不意に撫でる
その ....
ひっきりなしにしゃべっている
ひっきりなしにしゃべっている
沈黙の間が恐いのか
それは確実にやって来る
それは傍らに忍び寄り
それは傍らに息づいて
沈黙の間を押し広げ
未知なる問 ....
かなしみは
雨降るなかに
浮き上がり
泣いているのは
誰なのか
こころの奥処で震えている
遠く遥かな心象を
雨が静かに消していく
冷たい雨は降り続け
街はけぶり霞んでいき
救わ ....
あまたの声が木霊する
陽炎のように消えゆく前に
それらの声を抱きしめる
遠い地平と波打つ黄金
わたしは彼らと交わった
消えゆく前に、消えゆく前に
もう一度だけ抱きしめて
黄金 ....
遠くで鐘が鳴っている
ひんやり切ない秋の日に
何処までも高い青空に
追いかけても追いかけても
決して追いつけないあの場所で
(金木犀が軌道を舞い
秋の大気が生まれるところ)
遠くで鐘 ....
哀しい象の群れ
午前中夢を見た
恋を踏み潰せ
心の中のアッフリカ
雨降る夜に
孤独を曝し
けぶる地平へと
走っていく
滾る思いを
冷雨に濡らし
救われないと分かっていながら
逃れられないと分かっていながら
夜闇のなかを走っていく
ひたすらに、 ....
夏の空、玄関口
立ち尽くす我
庭木の揺れ、うねる大気
ああ世界が広がっていた!
己とは無関係に
何処までも眩しい異郷が
五歳の時のその体験を私は決して忘れない
じぶんとは全く無関 ....
光が満ちる
のどけき午後
突き抜ける青
天高く
涼やかな風、一吹き
もう秋ですね
もう秋ですか
ちょっと驚く
僕の脳裡に
軽快なロックンロールが鳴り響く
やわらかな ....
48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88
0.42sec.