星の見えない夜が続いている
食欲を失くしたぼくは
あれやこれやとメニュウを探してみた
レアステーキでもなく
寿司でもなく
フレンチやイタリアンでも中華でもない
あぁ…
それだ!
ニンニ ....
地下10,000mに眠ったなら
誰も私に触れることは無いでしょう
珪酸化合物の化石となって
洞窟の底で
那由多の刻を過ごします
澄み渡る地底湖には
金粉の小雨が降ります
時折見る ....
渦を巻く心の中に
永遠の夢をみた
真夜中の空を観てみれば
それはあまりにも美しい
果てしないクロニクルは
金銀銅の煌めきを放ち
ぼくを魅了する
夢は永遠の嘘であったとしても
な ....
彼は何処から来て
何処へと往くあてもなく
歩き続けていた
飢えた者にも
病に臥せる者にも
与えられるものは
涼しい視線だけだった
生老病死は誰にも訪れる
彼は救うという観念を捨 ....
何故今頃になって
勝手に行ってしまった
お前の骨を洗わなくてはならないのだ
だが、
俺はお前の遺骸など
決して見たくはなかったんだ
お前の屍のぬめりなど洗いたくはなかった
約 ....
とても胸苦しい
不快指数90%のそば屋で
おまえはもり蕎麦を啜り
俺は鴨南蛮を黙って啜っていた
お前は何時になく饒舌で
時々何を言っているのか解らなかった
それがお前の焦りだと知ったの ....
うちのタマはでっぷりとした三毛猫で
とても大食らいで
煮干しや猫缶よりも
五百円玉が好きで
日に何枚も飲み込んでしまうのだ
左手で招くように
大粒の硬貨をねだる
体重が増えてきた ....
蓮の台にそっとこの身を横たえ
明日を開いてゆく夢をみた
模倣と言われてみれば
そうだけれど
みな積み重ねられた経験から
新しい切り口を探しているのだと知った
白日に晒された残像のうちに ....
幼い頃
それはとてつもなく恐ろしくて
地獄からの使者だった
雨戸を閉めた漆黒の中で
どれだけ涙を流しただろう
母を呼んでも応えは無く
父を呼んでも応えは無かった
それは
ぼんやりと ....
透明な水と同化した魚影の群れが
ときおり鱗の鏡を翻し
水面に立ち尽くす
ぼくを魚たちが笑う
その刹那を画像に留めようと
幾千のシャッターを切っただろう
虹の根元を見つけるような作業 ....
気怠い白檀に午睡する
伽羅を焚き夢に沈む
龍脳を噛み砕き朝を知る
その名は釈迦という
森羅万象に眼を奪われ
哀しみと美しさに
その眼差しを静かに落とす
彼は旅を続け
悲しみを喜びに変えて
今も我々を救済し続けている
彼は神や仏といった
遠い存 ....
この島はタツノオトシゴに似ていて
龍の系譜に連なっていた
大地に走る雷鳴が走り
銅鑼が鳴る
人々は狂騒し
天地に祈る
龍に連なる人々は
哀しみを喜びに変えて
またひとつ
慈愛 ....
彼らはゲームを楽しんでいるのではない
生きるために餌を追い求め
真剣な勝負をしているのだ
魚食をあまり好まないUSAをそのまま飲み込むことで
何となく格好良くなりたいのか知らないが
刺激 ....
こんなにも
ぼくが自分に対して暴力的だったのか知らなかった
刃を腹に突き立てようとした
あの頃
ぼくは海岸線を彷徨っていた
何処まで歩いても終点は見えなかった
どうして良いのか解らずに ....
死ねば罪はチャラになると人は言う
そんなこたぁない!
オレはいったいどれだけの罪を犯してきたのか
自分だけは知っている
幼い頃
虫メガネで蟻んこを焼き殺したことも
カエルを壁に投げ ....
もう何年前になるか記憶は失われている
アルバイトをして夢を叶えた
マニュアルの一眼レフカメラの感触は
ぼくにとってダイアモンドの輝きを放っていた
モノクロの光と影の余韻がたまらなく
刹那の瞬 ....
雨に閉ざされる
時がくる
カエルは喜び
人は憂鬱になる
夏はまだかと愚痴り
夏が来れば
汗をかいて
また愚痴る
お前は五月が好きだと言い
俺は十一月が好きだという
....
永遠を旅する人は
時計という余計な物は持ち合わせていなかった
通り過ぎてゆく
傍らの花や青葉や
水や石を瞳に映し
旅を続ける
旅人の血液は
青く透明で
鼓動も無く
さらさらと ....
蕎麦すすり独り咳する
塩を舐め焼酎あおる
冷えたおでんに眼を落とす
水飲むカエルと酒あおるわれ
琥珀の水に深化する刻
次第に近く聞こえてくる潮音が
夏の間近にやって来た
汗ばむうなじをフェイスタオルで拭きながら
海沿いの路をトボトボ歩いて
バス停近くの
紅い暖簾の中華そば屋にたどり着いた
一息吐いて
....
山の彼方の遠くから
ほら貝と鈴の音が聞こえている
白装束に包まれ
神妙と横たわる私を
私は見た
父母の往ってしまった世界からではなく
中空の狭間に漂って
その屍を見ただけのこと
....
てのひらに転がる
大粒のガーネットは
何処からやって来たのだろう
静脈血のような深い色を湛え
ぼくの手のひらを転がり
グラスの縁を回り
ぽとりと
奈落に落ちた
失われた少女のように ....
琥珀の一滴が今夜を満たす
疲れ果てた肢体に染み込み
長い眠りに就いていた樹液の色が
今日一日の出来事を慰めてゆく
狂乱と協奏と競争に埋もれ
喘ぎながら走り続けたのは
何時からなのだろう ....
オレンジ色の弾丸が胸に突き刺さった瞬間
例えようのない
熱さを感じた
もう おしまいという感覚が全身を駆け巡り
明日の夢を失った
ダダダダン!
ダダダン!
マシンガンがさく裂 ....
鮎は一年
人生80年
較べてみても変わりはない
それぞれの生を営み
生まれては
滅んでゆく
今は花咲く季節
若葉の繁る季節
人は眩しい季節を迎え
若さを取り戻し
夏を越 ....
その瞳
若葉を追いかけ
揺れていた
琥珀に映る
車窓の眺め
カツ節削り祖母想う
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