光る春
心一新
風渡る
東京湾から夢の島桜貝
春霖を今日も潜りて友のふみ
神々の手持ちは瑠璃色だけでした
ひそひそと夜のとばりを辿る
一滴の水を両手で受ける
空仰ぎそっと息吐く
冬すずめ棺の道に轢かれおり
冬の夜ペンキ塗り立て触りたし
冬日向ページは確か二十八
ウニコール氷の海と星雲に富め
冬桜失意の空に咲き居れり
夕暮れの
冷たい雨に
せかされて
出した手にドス突き立てて歌留多会
爺婆の死臭漂う年始酒
期間工仕事始はいつからか
酉年に鳥追遊鳥殺し
初空に猟銃向けて鳥狙う
初烏字を間違えてハットリくん
血に染まるテロルを思う初枕
暴力の時代喜ぶ憂国忌
北風に乗せて嘘吐くJSSJ
ドラゴンが冬干からびて漢方薬
気狂いが三人寄って墓囲う
初富士に望みを託す期間工
オバハンの毛穴も開く初明かり
趣味兼ねて消防隊員火事見舞
牡蠣フライ生っぽくって嫌な予感
横文字の職業名乗る寒い奴
枯園に子供のままの声響く
....
断捨離といふ転機あり去年今年
寒荒の指切り落とす旋盤工
鐘氷るJSSJのKSJS
親殺し子殺し競う枯野原
コンビニおでんに漂う謎のブツ
鮟鱇の吊るし切りして夜が明ける
ユニクロのセーター掛けて首を吊る
くだら野にJSSJの首ひとつ
寝た切りが寝間に忍ばせる青写真
冬ざれてニート息子の頸絞める
シリウスの明かりに浮かぶ轢死体
夢半ばJSSJが凍え死ぬ
口だけの頭掻き切る憂国忌
母親に毒を盛られて木の葉髪
舌凍る無収入者の恨み節
低脳が物言うほどに海凍る
こめかみに食い込む拳冬銀河
実行は人に知られず寒牡丹
夕時雨妹の腋透けるシャツ
脳天にポインセチアの花咲かす
毛皮 ....
冬暖孤独死体もすぐ腐る
ヒラリーの口元の皺隙間風
冬の朝新逗子駅で物色中
重ね着で誤魔化しきれずAカップ
寝静まる両親殺って年籠
オリオンの下でまさぐる白パンティ
その包み 「マクス」と書かれし あなたの老い憂う
血しぶきに染まるバットと枯芙蓉
年越の蕎麦を詰まらせジジイ逝く
いつもより粘りけ強い餅食わす
寝た切りに冷水浴びせ冬の虹
襟巻の跡が鮮やか絞殺体
春を待つジジイの望み鉈で ....
英国の風景画家の海の冬
診察のドアにもクリスマスリース
十二月渡る世間のBの面
上手ねと褒められ餅を焼くこども
コロッケと名乗るぬくもり八十円
炬燵から出ないミーコを確かめる
小春日の汽笛が遠ざかってゆく
フランスに
往きたし
金はなし
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【俳句】季語を含む17音律「5.7.5」の俳句と、その形式を崩した自由律俳句、無季俳句などの俳句作品のみ受け付けます。俳句批評は散文のカテゴリへ。
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