その包み 「マクス」と書かれし あなたの老い憂う
血しぶきに染まるバットと枯芙蓉
年越の蕎麦を詰まらせジジイ逝く
いつもより粘りけ強い餅食わす
寝た切りに冷水浴びせ冬の虹
襟巻の跡が鮮やか絞殺体
春を待つジジイの望み鉈で ....
英国の風景画家の海の冬
診察のドアにもクリスマスリース
十二月渡る世間のBの面
上手ねと褒められ餅を焼くこども
コロッケと名乗るぬくもり八十円
炬燵から出ないミーコを確かめる
小春日の汽笛が遠ざかってゆく
フランスに
往きたし
金はなし
はつ冬の影をあつめ歩きゆく
くろい猫のため真昼の月をみる恋人たち
オブラートつかんでなにかわすれた聞こえますか
日蝕はじまる点滴はまだか母よ
われたきつねのおめん王女だだこねる砂丘のはて
花粉撃ち抜けわた ....
サクサクと熱いコロッケが食べたいな
廃校を惜しむ恩師と焚火かな
小鳥来るこの木何の木気になる木
箒抱きハロウィンの魔女出来上がる
待ち合いのストーブぽぽと音立ちて
くちびるをなめて駅舎の鳳仙花
ため息の数だけ捨てる衣替え
亡き吾子の泣き声混じる蝉時雨
蝉を喰う人と観ている墓地の空
あいつ誰?彼氏?いやいや法師蝉
枯葉舞う廃線後から早五年
冬木立少し昔に気を取られ
冬めいて部屋に取り込む鉢ひとつ
冬めくも猫を{ルビ抱=いだ}いてミルクティー
くちびるが一番先に冬めいて
冬めいてなんの未練もない鳥よ
パソコンを切って冬めく夜を知る
手 ....
マフラーの ひと目ひと目に 編み込んで
イグアナ 負けるな イグアナ
木人椿殴る間にも妻は子守
回送の電車にパンダ蝉の声
押し花のごとく押されし法師蝉
レシートを栞がわりに蝉涼し
曇り空
ひんやりと澄んだ風
休日の午前九時
秋夕焼子を肩車して帰る
蝉の腹神に近づく前に死ぬ
茅蜩や空の密度の濃きところ
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