たつた今氷柱光となるところ
白鳥の舞い踊る岸雪は降り
神走る跡を追い追い御神渡り(おみわたり)
若菜落ち暗渠に響く人の声
元日によろしくお願いする片恋
たとえれば揺れてる独楽が生きること
初風を感じず大海ゆく帆船
初あかね真っ赤な血の香がにじむ夢
門松は大きなお家の玄関 ....
大年の停泊船の汽笛かな
大年に離れて暮らす我が子想う
晦日にも富士は茜に染まる威容
大年のざはめき寄せるワンルーム
熱燗に一年を汲み飲み干すよ
恋萎れアロエの花が咲いてるよ
足踏みし登場待つよ亥の子たち
マフラーの真っ赤に意味を与えるよ
近畿ではちくわぶの意味わか ....
のぼる坂道 続く道
見える爪先 続く道
沈黙を白く照らして冬の月
寒月や卒塔婆の梵字流れゆく
ワンルームマンションに独り月氷る
たくさん寝ても 眠れなくても 壊れていく脳細胞
水晶の大海開ける冬の空
柿落ちる音に驚き雀散る
冬日の木漏れ陽に歌う見えぬ鳥
紅葉燃ゆ冬日の暮れ子が遊ぶ
万物に灯りをつけて冬陽沈む
落ち葉舞うもう絶え間なく絶え間なく
鰯雲流れ流れて西へ行く
木立の間茜の光冬陽落ち
夜闇に揺れ浮かぶ冬の薔薇
宙に飛ぶ光のサンタイヴ近し
網戸から漂い入る夕げかな
冬陽落ち廃墟の瓦礫で子が遊ぶ
震えながら花の香掬う戻り道
蠢く闇の夜陰しずまる
風一吹き静まる街に冬陽射す
ぽかんとして我一人居る冬陽の底
帰ろうよ声の木霊する冬の暮れ
冬夕焼湖底に街の沈む音
鰓呼吸忘れ神楽に舞忘れ
薄明の空の淵より捕鯨船
身籠れる長鬚鯨の尾の重さ
子鯨に親鯨添う成層圏
魚影から涙一滴雪月夜
雪積もる東京ロンドンニ ....
夜寒さの無音の部屋で飲む焼酎
薄陽射す花野広がる忘却の果て
ひたすらに草を食む牛只在りて
ひんやりと肌刺す冷気に我保つ
何故だろう独り静かに此処に居る
ゴォとまた街の彼方が唸っている
羽釜洗う少し向こう蜘蛛の子跳ねた
ピヨピヨと盲人歩く秋空のした
松の枝昇り竜に似て曲がっている
ちらほらと柿の葉柿色に染まっている
鯵/秋刀魚 海鰻/甘鯛 団扇海老
沖潤目 鱓/石鯛 尾長黒
鯒/細魚 鮋/島鯵 目近鮪
夕陽焼 鼻福/眼福 鱈腹途
新妻は義母に会いたし秋高し
故郷の見えなくなりて雁来たり
秋晴れや雲なき空の青深し
汝が静か深まる青に吐息つく
秋深まり君なき夜の銀河濃し
鈴木さん花野に一つ椅子がある
うっとりと金木犀の秋日かな
込み上げる郷愁の念空高し
群れをなす曼珠沙華と青空と
ここからは金木犀の香の範囲
<枯葉はシャベルで集められる
思い出も未練もおなじこと
そして北風はそれらを運び去る
忘却の冷たい夜のなかへと>
(「枯葉」 ジャック・プレヴェール 高畑勲訳 ....
夜闇に目覚めて迫る闇の奥
闇蠢く無の充溢に襞重ね
襞を折る無名の漆黒生動し
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【俳句】季語を含む17音律「5.7.5」の俳句と、その形式を崩した自由律俳句、無季俳句などの俳句作品のみ受け付けます。俳句批評は散文のカテゴリへ。
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