猛る蝉このあと夏の虚ろ哉
違う星では無かろうか、この灼熱の星
一時のカードゲームにしてはあまりに長い
お掃除ロボにびくびくしながら買物す
送り火を灯す背中に旅ガラス
神戸までハイウェイ一路夏の旅
どこだろう夏の高速ドライブウェイ
三日目の神戸の家や冷房裡
玄関の外一歩なる熱射かな
線香の匂い路満ちて盆の夕
三粒ほど熟れてあじはふ青葡萄
初めての完熟いちじく急ぎ買ふ
フル装備して青柿を消毒す
どの友も傷み抱ふや盆の月
ラジオからの平和宣言蝉と聞き入る
炎昼や果樹に地下水噴射せり
足音でギャーと{ルビ喚=わめ}くや朝の蝉
屋根裏にスズメバチの巣作りけり(季語春)
大手術せし友持ち来ぬうなぎ飯
蟻の行進またゐで歩く炎天
木に成りながら腐る実の形相
空中でキャッチ出来たかバッタを雀
今日も今日とてアラートな一日始まる
蔓草の{ルビ畑=はた}の花木を絞めに絞め
夏受診診察までの四時間待ち
塀越しの貸家に白き{ルビ百日紅=さるすべり}
西瓜に塩かけるなといふ眼鏡女医
地球が剥き出しの本能を見せてくるから人間も剥き出しの本能になる
おかあさん生きているから暑いです
根っこの無い言葉信じて砂漠広がる
悲しみの薄れし朝にヒヤシンス
子と行きし回転寿司や夏祭り
夏祭り検査の予約入りにけり
夏祭り消息絶ゆる{ルビ女=ひと}想ふ
夏受診余談の混ざるゆとりかな
子の帰るまで採らず置くトマトかな
もぎ来たる真赤なトマト喜ぶ子
食卓の寸時の談笑戻り梅雨
夏{ルビ夕餉=ゆうげ}回転ずしの鮮魚かな
{ルビ外国=とつくに}へ戻りゆく子や蝉しぐれ ....
苦しみが露と消えぬる涅槃かな
愛ゆえに生きる我らに山は笑む
悲しみの霧雨はただ降りにけり
「旅」にはたった一つしかない。
自分自身の中へ行くこと。
── ライナー・マリア・リルケ
宇宙人地球で蟬になってます 👽
手のひらの生命線 ....
夏空を仰ぐやけふも降らるるか
樹々{ルビ並=な}べて{ルビ草臥=くたび}れてゐし夏の庭
ニアミスの姉と妹の夏帰省
光線の具合よき朝ジニア撮る
にわか雨竿に干したるままにして
{ルビ花=はな}の{ルビ輪郭=りんかく}は
{ルビ鋼鉄=こうてつ}のようでなければならぬ
....
来し夏や強く脈打つ波濤かな
玄関の蚊取り線香{ルビ超=ちょう}ジャンボ
夏バテやパソコンスマホカメラ{ルビ皆=みな}
ご近所さん忘るる程や{ルビ冷房裡=れいぼうり}
担当の{ルビ漢=をとこ}真白き腕の夏
....
You've been thunderstruck
お前は雷に打たれたんだ
── AC/DC
老鶯の声雷にふと揺 ....
触れることのできるこの時間も
いつかは終わる
── never young beach
何気ない静かな日々に夏陽さす
もう二度と ....
山里の産直カマスいと太し
猫の来ぬ高き{ルビ枝=え}に干すカマスかな
今朝もまた飽かず数ふる茄子の花
きのうまでプラムの接客今日の客
古株が遠慮してゐる金魚鉢
根詰めるなと今にも母が言いさうな
花遍路なつかしき人は風の中
鯛そうめん郷土料理の昼餉かな
冷汁の味噌と魚は地元産
地消地産えひめ米買ふ梅雨さ中
{ルビ小=ち}さき{ルビ枝=え}に長茄子の花{ルビ濃=こ}むらさき
散歩日和さ
埃が光ってる
── never young beach
夏きざし隣街まで散歩して
挨拶に日傘を上ぐる日和かな
話しかけやすさうな ....
花は見たい人のために
いつでも存在する。
──アンリ・マティス
屋上に猫駆けあがり夏の空
撃ち合ひに父も子もなし水鉄砲
水鉄砲 ....
ふりむくな ふりむくな
うしろには夢がない
── 寺山修司
紫陽花や今日も明日も通る道
紫陽花や毎日通るこの家も
....
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【俳句】季語を含む17音律「5.7.5」の俳句と、その形式を崩した自由律俳句、無季俳句などの俳句作品のみ受け付けます。俳句批評は散文のカテゴリへ。
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