春は
自然ですよというふりをして
人にしか聞こえない言葉で話している
十字架みたいに人生は
僕らの痛みを朝陽に晒す
....
うぉ~ん うぉ~ん と森が鳴る
樹齢300年のミズナラの大樹を倒すため
ぼくは特大のチェーンソーを抱え
森の奥を彷徨った
腹がへったので
紅鮭、イクラ、昆布のおにぎりと
ロースカツサン ....
よこなみ、海はどこに牙を隠す。
目にはみえない太陽がどこに、
隠れているかもわからないままで。
終わった、わたしは、なにもいらない。
わたしは、そんなに悲しくはない。
わ ....
*
まだ寒いのに
もう立ってしまうのか
立って 先に
行こうとするのか
その後ろ姿を見つめて
僕たちは
ずっと後から
暖かくなろうとするのだが
まだ寒いのだ
もうこんな ....
さざめきざわめく 風の向こう
「今日もまたお寒い一日で」
遥か燦然と風の向こう
光の海原さざめきざわめき
そっと生まれる春の風、
光の海原きっと日毎に吹き広げ
田舎はイヤだ!嫌だ!
年寄りばかりで
見てごらん あの歩く姿を
ふらふらよろよろしながら
スーパーの駐車場を
さまよえる幽霊のように歩いている
といっても俺も年寄りだ
若いときには
年 ....
年を取ると
排泄が大変になってくる
頻尿
寒い夜中に何回も起きなければならない
車の運転中に何回もトイレへ駆け込まなければならない
渋滞しているときは漏らしたくなる
トイレが心配で好きな旅 ....
青い魚が三月、泳いでいた
眼もなく、口もない魚
、と呼べる生き物なのかどうか
みんなはそれを魚かどうなのか
、と疑問符をハンガーのようにぶら下げていた
一途な男の弾丸が放たれるが
....
幻のステージに、
昭和を生きた女がいる
鳥の羽根で飾られた衣装を纏って
ジャズとロックンロールと演歌を混ぜた
──アジアンであり、
──洋風でもあり、
戦争に負けた戦後の日本みたいな
....
忘れ去った君のあたたかい肌
不思議な痛みが走る鎖骨の水
朝起きて眠れないから働く
傷つけたいほどの鈍欲を食べて
自然に触れ合いましょってなんなんだろうか
彼女を好きになる ....
深海の水底に眠る者たちよ
我らはいま至福の中で歌っている
君たちは永遠に若く
我らは次第に歳をとってゆく
君らが捧げた{ルビ生命=いのち}は
決して無駄ではなかった
傲慢な思想 ....
いくせんまんのやさしさで
あかるいよるを私に頂戴
ジメジメとした闇は好きだわ
なんてゆうのは強がりだから
いくせんまんのあわれみで
すてきなよるを私に頂戴
月がかた ....
書きたいことはなにもない
けれど
ここで詩を読んでると
僕も何か書きたいと
そんな気持ちになるのです
と
のたうつので精いっぱいなのですが
なんとなく
下に行くほどきりがなくて
上に行くほど見苦しい
そんな場所がここにあるよ
お母さん
今朝のカレーは夕べのカレーより
美味しいねって言ったとき
それは
お母さんが一晩寝ずにかき混ぜていたからよ
と言いましたよね
僕はずっとそれを信じていて
逆にカレーを食べたいと ....
丸の内駅のホームで、あなたを見かけたとき、BOSEのヘッドホンから聞こえていた音楽より、脈がバクバク鳴る音のほうがはるかに大きくて、動けなくなった。まるで、両方の靴が触れている地面から、たった今足が二 ....
絶え間なく拡がる透明な浜辺に
渚 黒々と鋭角の境域
思惟の力動 絶えず打ち寄せ
感覚超えた存在達と共鳴し
感覚の残滓打ち捨てながら
舞い踊る舞い躍る
渚 黒々と ....
雑木林の茂みから車道へ出て来た
サバトラ猫の鈴ちゃん
金網フェンスを伝って行き
施設の厨房がある裏庭を覗いてみる
昼食の準備が始まっているのね。
いい匂いがしているわ。
....
「Uさん、こんにちは!ちょっとお邪魔してもよろしいですか?」
居室の木戸をノックし在室を確かめて引き戸を開ける
同室のGさんは先ほど入浴日なので脱衣所へ
職員に誘導されて行かれる姿を目に ....
金と銀の龍は螺旋を描き
{ルビ蒼穹=そうきゅう}をかけ昇り
久遠の果てまで行ってしまった
アレクサンドリア図書館に
地球の円周を解き
数学者は美しい数式を描いた
ガンジスの行者は
....
ももを食べました
塩で食べました
レバーを食べました
タレで食べました
叔父が余命を宣告されました
ねぎまを食べました
塩で食べました
十人いた父の兄弟姉妹の
最後 ....
朝霧のもやる中で
ぼくは尾瀬の夢をみた
ニッコウキスゲの咲く湿原に彷徨い
{ルビ詩=うた}を歌いながら
ぼくは大切な何かを忘れてしまい
グルグルと彷徨った
あれは何だろう
ルビー ....
私は趣味で
自称詩人をやっています
と告げた場合の相手の反応を
考えると
背筋に寒気が走る
「えっ?」
にこやかだった顔が真顔に戻り
それを察知されないようにと
コーヒーに手を伸ばすだ ....
森影繁く深い暗まりに
踊る人影の在りて
〉迎える意識〈
静かさに尚より一層
明るく輝き私を映し出す
いけると想って
いこうとする崖っぷちで
立ち止まらない
それが大事
残酷な太陽に弄ばれる
三月の未来がみえる
なにも残らない枝先に
硬い蕾があって
は ....
夜陰の大雪原に独り
垂直に立つ童子の私
ふと何かを感じ
天空 仰ぎ見れば、
巨大な光の眼、眼、眼
私を見ている私を観入り
巨大に在る光の眼、眼、眼
(私が見ているのではなく ....
孤独。ぽつん。天国行くコンテンツ。僕何処?
こどくぽつん てんごくいくこんてんつ ぼくどこ
飼い犬来て、人は縄跳びできぬ。良いか。
かいいぬきて ひとわなわとびできぬ いいか
....
「寮母さん、寮母さん。」
タクシーの後部座席でフロントガラスに揺れるワイパーの
雨しずくを見ているうちに眠りこけてしまった私を
「もう着くで。」
肩を叩き 起こしてくれたYさん
....
この世の卒業写真
近頃若すぎる写真が目立つ
あまりにも若すぎると
三途の川で
足止めをくうかもしれない
閻魔大王が
見間違うかもしれない
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