高層ビルの二十八階から双眼鏡で
おふざけなほどに複雑な街を見て哲学した
京王百貨店に急ぐ ....
私の家には、かあさまととうさまと私の妹が住んでいた。
かあさまのゆりかごはいつもの窓辺でゆれ ....
きりんのノートを買った
書きなぐる
黒いペン
今日のこと
今日のこと
ぐるぐる ....
やったらやり返される
だから貴女に返してあげたんだ
あたしの苦痛
貴女は何も知らないのね
....
いつもそうでした
いつもいつもそうだったのでした
悲しいことだと思うでしょう でも確かだった ....
私の嘘が
針千本 飲むくらいで
許されるなら
週末の淀んだ駅の構内で
すれ違う人々の心の{ルビ懐=ふところ}に
「ある独りの人」がおり
....
ル ワール 踊ろう 初めての秘儀
喪失ではなく 手に入れた 許し
与えられた 掌 から 零れ落ち ....
朝になれば羽が体に滑り込み軽くなる
見えない羽が元気をくれる
誰でも持ってるふわふわの羽
眠る ....
あちこちに光を反射する海と
緩やかに登っていく山の斜面とに
張り付くような町を
通り過ぎる
....
「小林亜星」とささやいてみる。
フランス人になった気持ちで
やさしく、女をいたわるように、
....
奴らのように強くあれよ
奴らのようにたくましくあれよ
奴らのように自由であれよ
奴らのよう ....
雨に打たれ散る花のことなどしらない
サボテンのとげが雲に向かって伸び
天上では太陽に向かって縮れ ....
冷蔵庫のモーターの音だけ響く部屋で
ベッドに横たわると
たった一人の自分の呼吸さえも
聞こえな ....
ある日わたしは不思議な感覚に襲われたあるいは教わることができた
それをファンタジーと呼ぶことにした ....
深夜列車の中で
丸々太った
『マルチーズ』と
四角く太った
『ヨークシャテリア』を
....
あの日
誰もがわたしに
優しくしてくれた
あたたかい言葉を投げかけてくれた
よかったね、と
....
ポケットのなか
ちゃぽん ぽ ぷぃ
泉が ひとつ
水 さかな 跳ねる
....
198円の綿菓子を買ってきて
入道雲をつくって食べる
けして摑めない
あ ....
赤
夕空と海の混じり合うそのすきまに
すべり込むうみどりの影のさみしさ
赤い包みのキャンデ ....
俺のげんこつは、いかつくて、怒ったように角張っている。
お前にげんこつを作らせたら、親指が中に入っ ....
ごまめを煮る、ごまめを煮る、
大晦日。
母が去り、娘も去りて、父独り、
帰郷する息子を待ちつつ ....
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