記憶の断片小説・ショートシネマ 「ロイド」/虹村 凌
 
「4本目の煙草・ジョナサン」

花火をしたり、少しだけエッチな事をしたり。
そんな風にして、僕らの時間は過ぎていって、
結局は朝方に、ほんの少しだけ眠っただけだった。
僕はその頃、まだライチの方が好きで。
ロイドが鍵を探している事に、埃だらけの二階の寝室で、
窓から差し込む光の中、綺麗な逆行を受けて、ライチを抱きしめたりした。
ライチは平然として、「どうしたの?」と笑う。
僕は突然に彼女が愛おしくなってしまった。素直に、そう言ったけれど、
「ほら、もうだめだよ」と優しく突き放すと、一階で僕らを待つロイドの下に向かった。

その朝、僕は米国大使館にVISA申請の用事があったの
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