49、反射 【はんしゃ】/雨宮 之人
 
波打った光は選ばれて
海空(うみそら)は青 木々は緑
キャビネットは銀で コンクリートは灰
虹色は水滴の奥へ 息を潜めている

姿見に映した背中
もちろん翼など生えていなくて
どうやって見たか、なんてことは
口が裂けても 僕は言えない

夜明け空の藍や
夕焼けの橙(だいだい)
世界はそういうかたちで、僕に映される

都合のよい頭だ
そいつが都合のいいように
世界はそうやって、僕を映している
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