50、煙 【けむり】/
雨宮 之人
ゆらり 細く立ち昇る
煤(すす)けた灰色の煙突から
青い空へ溶けていく
風向きは 西から東
よく わからないものへ
もう 手の届かないところへ
貴方のカタチが なくなって
粉だけになって しまうなんて
煙は貴方の、何なのだろう
唯物論が幸福なんて、嗚呼
そんなはず、ないだろう!
沁みたわけでもないのに
鼻の奥がツンとする
仕方がないからずっと 空を見つめて、生きているのさ
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