雪の記憶/愛心
小さい頃
雪っていうのは神様が落とした
宝石だと信じていた
人が亡くなって
魂が神様のところに逝く
また人間として生まれ変わるとき
人間だったときの記憶は
宝石の雪に姿を変えて
雲という名の宝石箱に入れられ
大切に保管される
ふるーくなってしまった雪は
宝石箱がパンクしないようにと
神様が一粒一粒大切に
ゆっくりと落としていった
雪は
宝石は
キラキラしながら
地面にとけていった
私は洗濯物を干そうとベランダに出た
ふと見ると
髪を腰まで伸ばした少女が
赤いコートに身を包み
晴天だった曇り空を見
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