創書日和「雪」  写真/逢坂桜
 

  1月のお題が「雪」と知り、真っ先に思い出したのは、あの写真だった。

  推定年齢3歳の冬の写真。

  私が、ちいさな両手を見つめて泣いている。

  人が見たら意味不明だろう。

  長い間、私にとっても意味不明だった。

  親は「素手で雪にさわって泣いた」と見たままを言う。

  それにしては、どこか釈然としなかった。

  あるとき、ふと思いついた。

  きっと私は、雪が冷たいものだとは、

  指先がちぢこまるくらい冷たく、いたいものだとは、知らなかった。

  だから素手で雪にさわり、あまりの冷たさに顔をゆがめて泣いた。

  こ
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