雪の記憶/愛心
を見上げながら
嬉しそうに笑っていた
「ゆきだよ
ママ
ゆきがふってきたよ」
私は自分に言われた訳ではないのに
「うん
雪が降ってきたね
神様が大切にしてた
宝石が降ってきたね」
と呟いていた
少女の母親は風邪を引くからと
嫌がる少女を無理やり家に入れた
私は気にせず続けた
「ねえ
何で雪が簡単に溶けちゃうか知ってる?
それはね
雪が魂の記憶だからだよ
だから
暖かい生きてる人に触れると
『また生きたいなあ』って
涙に変わっちゃうんだよ」
私は誰もいない外に向かって
小さな声で呟いていた
雪はまだ
降っている
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