創書日和「窓」/虹村 凌
お母さん
お父さん
僕はもうハイライトを吸っても咽なくなりました
きっと僕の肺は真っ黒でしょう
それでもお母さん
お父さん
僕は乳癌になったりしないんだ
だから僕が好きになる女の子は乳癌にならないんだ
さぁ彼女の部屋まで煙草を吸いに行こう
きっと狭い部屋だから僕が寝られる隙間なんて無い
部屋干し下着の暖簾をくぐって
さぁ彼女の部屋まで
お母さん
お父さん
僕は900円を稼ぐ為に高校生に水を汲みます
彼らが一食で使う金額であり
彼らが15分もかからずに食べ終わる食費を
彼らの4倍5倍の時間をかけて稼ぎます
それでもお母さん
お父さん
僕は彼らと代わりが無い
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