創書日和。風 【一目散】/佐々宝砂
 
一道の暴風、屋を壊り、天井床畳をさへ吹上、
あるひは赤金もておほへる屋根などもまくり取離ちたり。
              『閑田次筆』(伴蒿蹊)


一目散に過ぎてゆく風、風、
違う、過ぎてゆくのは風じゃなくて、
あれは、

一筋に過ぎてゆく、
脇目もふらずに、
吹き上げられる石ころ、バケツ、トタン屋根、
なんなんだよあれは!

ダウンバースト?
竜巻?
乱気流?
違う、あれは、
一目散に過ぎてゆくあれは、

一つ目に一本足の、
鍛冶の神、
その末裔、

あいつの名は一目連。
鎌鼬とも違う。
あいつは人を切り裂かない。
ただ、すべてを吹き上げて、
ごちゃまぜにして、
めちゃくちゃにして、

一目散に過ぎ去ってゆく。

   グループ"創書日和、過去。"
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