記憶の断片小説続編・ロードムービー「卒業」/虹村 凌
 
それだけの会話で幸せになれちゃう人間だった。人間だった。
俺の制作速度は加速度的に増した。阿呆みたいに、腐ったラブソングばっか書いた。
書いても書いても枯れない。ノートが積み重なる。まとめて友達に渡す。
そして舞子がそれを読み、返事を書いて俺に寄越す。文通気分だ。
嘉人は何も言わなかった。彼もまた、返事を寄越した。


            I fucked them up

 俺がいなけりゃ、あいつ等は幸せにいただろう。
全ては俺の所為であり、俺の責任である。俺がその幸せを破壊したんである。
それも、俺がもっとも愛した手段、文字によって、致命傷を与えるにいたったのだ。

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