記憶の断片小説続編・ロードムービー「卒業」/虹村 凌
 
第四ニューロン 「新宿」

 朝早くから、家族に嘘を付いて家を出た俺は、待ち合わせ時刻の30分前には、
新宿駅南口改札の前に突っ立っていた。せわしなく煙草を吸い散らかす。

 どうでもいい話だが、今の俺は、常に携帯灰皿を持っている。
携帯してこその、携帯灰皿だ。家にあっても意味は無い。
スモーキンクリーン。煙草を吸う者の義務だ。
歩き煙草はするけどな。子供には気をつける。
ただ、化学物質過敏症の人の事を考えると、歩き煙草も止めようかとも思う。

 携帯を何度も開いては、時間が過ぎていくのを確認する。
初デートだと言うのに、家族に嘘を言った俺は、適当な格好をしている。
俺は
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