記憶の断片小説続編・ロードムービー「卒業」/虹村 凌
俺は舞子と頻繁に連絡を取るようになった。以前のように緊張しなくなった。
馬鹿みたいに彼女にのめり込み、彼女の詩を書き続ける日が続いた。
誰もが避けて通る顔の俺に、彼女は優しかったから、惹かれた。
俺は家族以外の誰かに、甘えたかった。精神的に辛かった。死にたかった。
俺の顔は日々崩れ続け、朝起きる事さえ苦痛だった。
ただその中で、誰かを愛する事を知って、死ぬ事は止めようと思った。
恥ずかしい話だと思う。横恋慕でもって、生きようと思った。
人間として、俺自身が最も蔑む行為である。
若さって何だ?振り向かない事なのか?省みない事なのか?
愛って何だ?躊躇わない事なのか?
チクショウ。チクショウ。チクショウ。
幾度か、嘉人を交えて舞子に会った。そして俺は、彼女だけと会うまでになった。
まだ暑さの残る季節だったと思う。俺は、俺は、俺は。
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