記憶の断片小説続編・ロードムービー「卒業」/虹村 凌
 
えば行けるのかも知れない。よくわからない。

あれは少し曇った日だろうか。俺があまりギラギラせずに済んだって事は、
きっとそういう事だろう。少し曇った日に、俺は何度目かの彼女の部屋への訪問。
何をしたのか覚えていないけれど、まだ早い時間だった気がする。
俺がどうして、そんな自由時間を得る事が出来たのだろう。
無理矢理にでも、理由を作ったに違いない。

結果だけを言えば、俺は舞子と番った。
初めてのセックス。
まだみんなが会社へ向かう途中、そんな時間だったかな。
九時、いや十時かも知れない。昼前の情事、遮光カーテンが部屋を暗くする。
何も音の無い部屋、CDケースに幽かな光が当
[次のページ]
   グループ"記憶の断片小説・ロードムービー「卒業」"
   Point(0)