記憶の断片小説続編・ロードムービー「卒業」/虹村 凌
た。
舞子の事ばかり考えていた。
その頃、舞子は田村 ゆかりに、俺の事を話していたらしい。
俺がどれだけ使えない人間であるか、どんな人間であるかを。
今も、ゆかりが俺に対してよい感情を持たないのは、
その時の舞子の話が全てだろう。
少しだけ思い出したけれど、それぞれの出来事が、もういつの日かも覚えていない。
ただ、太陽が毒々しく空に輝いている日に、舞子は俺を口に含んだ。
前章で書いたのは、それだ。
あまりにも毒々しく、燦々と照りつける太陽、気色の悪い俺の顔。
彼女は体調を崩し、家で寝ていた。
いや、途中まで送ってもらっただろうか。道は覚えているか?
今も、行こうと思えば
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